火球について(2020年) ~地球と同じ惑星のなかま~
河越彰彦
明るい流星HR=0.17
昨年は18735分(約312時間)の観測で0等より明るい流星を54個見た。単純平均で一時間0.17個である。百時間当たりでは17個である。大きな流星群だけを観測していればもう少し割合は増えるが、それでも決して頻繁とは言えない。因みに昨年は561個の流星を見ているので個数比では9.6%。一割にも満たない。光度分布は図1参照。
火球はHR=0.04
火球となるとさらに頻度は低くなる。数字のうえではめったに見ることはないが、時々新聞、テレビで話題になるのは観測者が増えたのではなく四六時中撮影しているカメラが増えたからだ。決して火球が増加したのでもない。もし増えたとしたらとても興味ある現象だ。因みに観測した火球は13個であった。
火球のふるさと
昨年見た13個の推定放射点を図2に示す。図中の赤丸が放射点である。図の中央斜め右下の集中はおうし座流星群である。また11個が黄道に近いとこに分布していることから、小惑星的天体が黄道付近を公転していたことを想像させる。ほとんど地球と同じ順行軌道で、遠日点が火星と木星の間にあると推定できる。断定的に言えば地球型の岩石、非ガス天体だ。
火球は半分以上が散在流星
火球13個のうち流星群に所属していないのが8個。他は、おうし座流星群3個、おとめ座流星群、やぎ座流星群各1個なので半分以上が一匹狼の散在流星である。だから見栄えがする火球を写真で狙うなら、11月のおうし座流星群が適している。でも明るい流星なら何でもよいと割り切るなら、8月ペルセウス、11月しし群が映りやすい。
図2 火球の推定放射点
火球の日周変化
昨年の結果では突出した時間帯は無かった。敢えて挙げれば明るい流星は午前2時から5時にかけて多い。それでもHR=0.3~0.5しかない。これは予想どおりペルセウス群、しし群の影響だと考えられる。この調査は今後も継続したい。以上。