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亀に噛まれて

2021.05.02 04:01

野生のカメを、持ち上げる。


そうするとカメたちはみんな、個性豊かであることがよく分かる。




バタバタと四肢を素早く動かして逃げたがる子、

顔を引っ込めて防御態勢になる子、

噛みつこうとする、臆病な子。


みんな、本当に十人十色で、性格がそれぞれ違うのだ。


つい最近出会ったアカミミガメの中に、特別臆病な子がいた。

実は、臆病者ほど攻撃的だったりするのだが

案の定、このアカミミガメもそうだった。


手に持てば、噛みつこうとする。

けれど手を放せば、どのアカミミガメよりも必死に逃げまどう。

水に入れれば、誰よりも水底深い隠れ場所を目指す。

いわゆるスッポンのように臆病な、

そんな性格をしたアカミミガメだった。




…ってことを一瞬忘れてしまい、

調査の作業中、他のアカミミガメと同じように持ち上げた瞬間。




がぶっと、私の手のひらに噛みついた。




噛みついているアカミミガメ自身も怖いようで、目をつむりながら噛みつき続けている。

引っ張ってもなかなか離してくれないので、力を抜いて、噛まれている手のひらを少し押し返す。

すると一瞬噛みつく力が弱まった。

その隙を狙って、手のひらから引き離す。






噛まれた時はすごく痛いし、離してもらうのに必死になる。

でも、ことが終わると、不思議と高揚感が湧いてきた。



…正直、すごくうれしい。

私の皮膚を口につけている姿に、愛おしさを感じる。


実は、野生のカメに噛んでもらう経験は今回が初めて。

噛まれようと思ってカメに噛んでもらうのも気が引けるし、、


どうやら私は、いつかカメが自然に噛んでくれる日を待っていたようだ。


つい、傷口を記念撮影してしまった。



亀に噛まれて、噛まれたかった気持ちを知る。

きっと「カメ」に関わる経験は、

自分にとっては、すべて財産なのだと思う。




そんな私が命を全うした、最後の瞬間は。

人生の終止符は、亀に踏まれて、が良いな。


実はそれが、このBLOGのタイトルの意味、だったりも。