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Hana ノ Namae

アスファルトから スミレ

2023.05.23 22:00
(2021/5/2 青森市)

(2021/5/18 青森市雲谷)

(2022/6/18 田代平)


菫(すみれ)

本菫(ほんすみれ),マンジュリカ

スミレ科スミレ属/多年草


『菫(すみれ)』の語源には諸説ある。

"つみれ(摘みれ)"にして食べたから

"摘まれる"花と言う意味から

染料として使われることを意味する"染みれ"から

茎を絡ませてお互い引っ張り合う子どもの"相撲取り"遊びから

等々。


明治時代に著名な植物学者・牧野冨太郎氏によって、大工道具の"墨入れ"に形が似ているところから説が広められたが、"墨入れ"が存在する遥か昔からスミレと呼ばれていたのでそれはガセとなった。

漢字の「菫」は小さな草の意で、“僅か(わずか)“の字とも通じる。

万葉集に登場し、万葉仮名で”須美禮"と書かれている。日本では古来から親しまれてきた春の野辺を代表する花の一つ。春は様々なスミレの花を楽しめる季節で、種類も大変多い。


本種の正式和名は”スミレ(菫)”だが、他のスミレと呼び分けるために、”ホンスミレ(本菫)”や”マンジュリカ”と呼ばれることもある。

”マンジュリカ”は「満州の」という意味で、戦前に日本から多くの人々が渡って暮らしていた中国東北地方(満州)でも多く見られたところから、今でも日本ではこの名前で呼ばれる。

他にも、”ケナシスミレ(毛無菫)”、”キンモンスミレ(金紋菫)”、”オオバナスミレ(大花菫)”、”スモウトリバナ(相撲取り花)”といった別名がある。

 

 春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ

 野をなつかしみ一夜寝にける (山部赤人)


花期は5〜6月。濃紫〜赤紫色の筋が入った花を咲かせ、葉っぱが手漕ぎボートのオールのようなヘラ状なのが特徴的。

風流で可憐な感もあるが、山間部だけでなく街中のアスファルトの小さな割れ目からにょきっと現れて咲いていたりする、中々に逞しい奴だったりする。種を運ぶ蟻んこの仕業らしい。


花言葉:貞操/愛