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本を読む。―松山巖書評集本pdfダウンロード

2021.03.22 12:35

本を読む。―松山巖書評集

によって 松山 巖


ファイル名 : 本を読む-松山巖書評集.pdf


以下は、本を読む。―松山巖書評集に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。

厚さが51mm、重さが1120gある『本を読む。――松山巖書評集』(松山巖著、西田書店。出版元品切れだが、amazonで入手可能)には、33年間に亘り書き続けた松山巖の書評が収められています。取り上げた作品は541冊に上ります。松山の書評の特徴は、3つにまとめることができます。第1は、衒学的な文章、持って回った表現でなく、常に、簡にして要を得た素直な文章で綴っていることです。第2は、引用は必要最小限に止めていることです。第3は、作品の表面には現れていないが、著者の心の奥底の襞に潜むものに肉薄していることです。例えば、森洋子著『ブリューゲルの「子供の遊戯」』は、このように評されています。「ブリューゲルの『子供の遊戯』(1560年)という作品の分析を通して、中世から近世における子供の存在を確認しようとする。総数246人の子供(男168人、女78人)が描かれているといわれるこの絵には、91の遊びが数えられる。・・・このように精力的に子供の遊びを題材とするひとりの画家を知るだけでも、当時の『子供の存在』が十分に認識されてくる」。杉浦日向子著『東京イワシ頭』は、こう結ばれています。「漫画家杉浦日向子は怪談噺をよく描く。人間の奥深い闇こそ、じつは抜けるような青空を求める気持ちに通じていることを知っているからである」。富岡多惠子著『隠者はめぐる』は、このように綴られています。「書名通り著者は、貴族武家でもなく詩歌の世界に足跡を残した隠者たちを、次々に連想しては、彼らの歌や日記を読み解き、暮らし、家系や性格まで調べ、その生きた姿を浮かび上がらせる。挙げた隠者は少ないが、念の入った調査は彼らが孤高などという型に嵌った人物たちではないと教える。・・・契沖、西行、鴨長明も各々事情があるからこそしたたかに生き、詩歌を生きる糧とした。だから著者は隠者を語りつつ、じつは詩歌が生まれる契機と場を見つめている。それにしても人間はオモロイナという感慨が湧く。本書の功徳だ」。梯久美子著『狂うひと――「死の棘」の妻・島尾ミホ』の書評は、著者・梯と評者・松山の気迫の籠もった真剣勝負の観を呈しています。「著者は新資料を解読し、二人を知る人々、愛人の知人にも取材もする。加えて『死の棘』発表時に、書かれた様々な批評や発言も検討し、『死の棘』の真実に迫りつつ、新たな疑問を投げかけたのが本書である。もしかすれば、作家として転機を得るために敏雄は愛人を作り、浮気を仕掛け、わざと日記を広げ、ミホに見せ、<審き>を受けるつもりだったのでは。一方、ミホは敏雄の思いも、愛人のことも知りつつ、敏雄の思い通り一気に狂い、夫に<審き>を下し続けたのでは・・・。とはいえ著者は、これらの疑問を正当化し、自分なりの物語を綴ったわけではない。むしろ幾つもの疑問を読者に提示し、敏雄とミホの希有な愛の姿を描いたのだ。ノンフィクション作家としての矜持も強く感じる秀作である」。須賀敦子著『ヴェネツィアの宿』の書評には、思いがけないことが記されています。「とりあえず、本書のテーマを手短にいえば、『とうとうここまで歩いてきた』という述懐にすべてが込められているといえるだろう。・・・父親には母親以外に愛人がいて、二つの家庭をもっていたことが語られる。私は著者が自分の父親のこと、二つの家庭をもつ親のことを語りはじめたために驚いたのではない。体を悪くして入院した父親の横にいた、愛人の描写にたじろいだのである。<・・・彼女はからだつきも着るものも、ほとんどすべての面で母とは違っているのに、どこかふたりには共通するものがあるように思えた。どうしてだろうと考えていて、はっとした。このひとも、母とおなじように父のほうを向いて生きているうちに、父の好みに染まってしまったからではないか>。・・・これら(連作の)一枚一枚の図に奥行を与えているのは、著者が身のうちに蓄えはじめた孤独のもつ光である。めくるめく走馬燈に濃い陰影を作り出すのは、その孤独と引き替えに得た追憶という、過した時間を一瞬一瞬輝きに変えることのできる、内面の光である」。『ヴェネツィアの宿』を早速、「読むべき本」リストに加えました。