映画『カリフォルニア・ゾンビ逃避行』
ロンドンゾンビ紀行が2012年で、この映画が2013年であることからこのタイトルに察するべきところはあるだろう。ところで、話の内容は「カルフォルニアにいる初恋の女の子のもとへ向かう」なので、逃避行ですらない。これは邦題が悪いよ。邦題が。
ポスターまで真似てんじゃあない。
内容としては、「好きだった初恋の女の子がカルフォルニアに引っ越して数年、自分を変えるために旅に出たら道中でゾンビパニック大発生!」というやつだ。いわゆるゾンビ青春もの。青春ものが好きなやつは絶対ゾンビものなんて観ねえぞっていう最大の弱点を抱えているゾンビ青春もの。無論俺は大好きである。俺が嫌いなのは青春ではなくアオハルであることを、きみたちは忘れないまま生きていて欲しい。
個人的には『アナと世界の終わり』『ゾンビーワールドへようこそ!』『ウォーム・ボディーズ』あたりを観てほしいジャンルだ。いいよなあ。いいよなあ。こういうのが。
冒頭のこのシーンだけでも百点をあげてもいい。
『こういうシーンが書きたい』『こういセリフを言わせたい』『こういう状況に陥らせたい』というプロット段階での欲が強い作品で、敢えて言うなら『物語になりきれていない箇条書きプロット(詳細版)』みたいな映画で、綺麗なシーンは幾つもあるんだけれども、それ以外のシーンがわりと雑っていうか『親友を殺さないといけない』というシーンがしたいので、親友をゾンビに噛ませるんだけど、そのシーンがわりと滑稽(ゾンビに噛まれている女の子と出会ってどっちが殺す? 俺嫌だよって話してたら普通に噛まれた)とかで、書きたいシーン以外が言っちゃあ悪いが微妙に雑である。人が死ぬ理由もだいたい「突如現れたゾンビの大群に襲われる!」しかないしね。それでも、撮りたかったんだろうなあ。というシーンや、冒頭三〇分しっかり時間を取って描いたBSS(僕が先に好きだったのに)やダメ人間さ、好きなお爺ちゃんとの約束はぐっとくるものがあって、俺はかなり好きな映画だった。ダメなところも含めて愛せるぜ。