Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

中村鏡とクック25cm望遠鏡

1937年(昭和12)の火星スケッチ(2)

2021.05.05 04:36

 1937年の火星スケッチ2回目は、前田治久氏(後に静雄に改名、1914-1952)です。1936年(昭和11)6月30日に発行された、東亞天文協会観測部遊星面課「回報」第壱号の、前田治久氏の紹介記事から始めます。

 「前田治久氏・・・昨年(1935年)の火星接近に凄い所を見せられ、10cmの威力を十二分に発揮された。将来は火星を専攻されると言うから、差し詰め、日本のピケリングと言う処。本年中に20cm反射を完成され、1937年度の火星接近に備えられる筈である。他の天体は観測する気がせぬそうだから、徹底的な火星狂である。」

 前田氏の機材等についての記述はありません。

 右端が前田治久氏です。

 向かい側、左から3人目が前田氏です。

 残念ながら、1937年の前田氏の火星スケッチは残されていませんでした。しかし、このような記事を見つけました。

 この時前田氏が使用した、20cm反射望遠鏡についての後日談です。

 佐伯恒夫氏が前田氏の熱意や機材を受け継いで、生涯、火星観測を続けられた事に一層感慨を深めました。

(参考文献)

遊星面課回報,東亞天文協会観測部遊星面課,1936-6-30

星の手帖’84春,清水勝,河出書房新社,1984,P.2

星の手帖’82春,清水勝,河出書房新社,1982,P.120

(1~4枚目の写真は伊達英太郎氏天文写真帖より、遊星面課回報は伊達英太郎氏天文蒐集帖より、前田氏のハガキは全て伊達英太郎氏保管)