下り藤と上がり藤など藤家紋の由来・意味を解説!戦国武将などもまとめました
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日本には、実に5000以上の家紋があると言われていますが、中でもよく使用されている家紋を「日本10大家紋」と呼んでいます。その10大家紋の中で、最もよく使用されているとされているのが「藤紋」。
そんな藤紋ですが、過去には藤原鎌足(中臣鎌足)をはじまりとする藤原氏の支流が使用し、権力と地位の象徴として使用されていたことがあります。
このページでは、その藤紋の中で特に有名な「下り藤」「上がり藤」を中心に藤紋の由来や意味を解説するほか、この家紋を使用していた著名人を紹介します。
10大家紋の一つ藤の家紋【藤紋】
下り藤 読み方 ふじもん 家紋の分類 植物紋
藤はマメ科のつる性落葉木本で、淡い紫色の花を咲かせ華やかな藤棚を作ります。古くから観賞用の花として親しまれ、繁殖力の強さから、めでだいとされる縁起の良い植物です。
藤原氏が藤紋を用いたことで武家や庶民の家紋にも使用され、江戸時代には幕臣約160の家紋となったほど代表的な家紋です。石田三成や大久保利通も藤紋を使用していました。使用者は、公家では一条家、二条家、九条家、武家では本願寺氏、大久保氏、片倉氏、黒田氏、新庄氏です。
また、「藤」の付く名字にちなんで安藤氏、加藤氏、内藤氏、藤井氏、佐藤氏なども使用しています。 特に藤の葉を左右に伸ばし円型に描く藤丸や、十字形の八つ藤が人気となっていました。
「藤紋」の由来とは
藤紋のはじまりは藤原鎌足から~1200年にわたって栄えた藤原氏
「藤紋」のなりたちについてお話しする前に、「藤原氏」が誕生するきっかけとなった出来事と、それにかかわった天智天皇・藤原鎌足の関係について解説しておきましょう。
「藤紋」の由来
時は飛鳥時代。聖徳太子が生きていた時代にさかのぼります。聖徳太子は「天皇を中心にした政治」を作り上げた人物なのですが、その聖徳太子が亡くなると蘇我入鹿という人物が天皇に代わって好き放題に政治をするようになってしまいました。
この事態に危機感を覚えた中臣鎌足という人物と、当時の天皇の息子であった中大兄皇子は、二人で協力して蘇我入鹿を殺害します。そして、中大兄皇子は皇太子の立場にありながら日本の政治に深くかかわり、後に父の跡を継いで天皇となり、天智天皇を名乗りました。
この中の「中臣鎌足」という人物が、藤原氏の祖となる人物です。
中臣鎌足が中大兄皇子から藤原を下賜される
中大兄皇子を支えて日本の政治にかかわった鎌足は、亡くなる前の日に天智天皇となった中大兄皇子から「藤原」の姓を下賜されました。これをきっかけに「藤原氏」が日本に誕生し、藤は藤原氏の象徴となっていくのです。
ただ、藤紋が藤原氏を代表する家紋であったかと言えば必ずしもそうではありません。藤原氏は「公家藤原家」から、地方の「武家藤原家」へと広がってい行きますが、藤紋を多く使用したのは武家藤原家の方です。
また、地方でも大変な勢力を持った藤原氏にあやかるために、藤紋を使い始めた家もたくさんあるとか。藤紋を使っているからと言って、必ずしも藤原氏と関係があるということではないようなので注意しましょう。
藤原氏の著名人とは?
ここで紹介した藤原鎌足が有名なのはもちろんですが、他に著名人と言えば「藤原道長」が有名でしょう。
藤原道長
藤原道長は天皇に娘を嫁がせ、天皇の代わりに政治を執り行う「摂政関白」という地位を得た人物です。※ちなみに、この娘は「彰子」といって、彼女についていた女官があの有名な「源氏物語」を書いた紫式部です。
また、日本の79代目首相の細川護熙氏は藤原家の嫡流・近衛家の血を引くことで知られる人物です。
護熙氏はさらに天皇家の血も引いている上に、著名な戦国武将・細川忠興とガラシャの子孫でもありますので、日本の高貴な血をこれでもかと引いているサラブレットのような存在。細川ガラシャの父が、あの有名な明智光秀であることも、血筋の素晴らしさに拍車をかけています。
藤原氏の存在を形にしたような「藤紋」の成り立ち
上述したように、「藤紋」が生まれたのは中臣鎌足が「藤原」の姓を下賜され、「藤原鎌足」となったことに由来するのですが、実は藤という植物は藤原氏の存在をそのまま形にしたかのようなものです。
多くの方が知っている通り、藤というのは支柱となる他の木に絡みつくような形で伸び、見事な花を咲かせます。これが「天皇家を支えに日本の権力を手中に治めた藤原氏の成り立ち」に似ていると言われ、藤紋の存在を一層強いものにしています。
藤原氏は、その姓に使用されている「藤の花」を特別なものとして大切にしており、よく藤を見て楽しむ催しを開いたと言われています。
「藤紋」の種類!どんなものがあるのかを解説
基本は「下り藤」
藤原氏の家紋は、「藤紋」の中でもこの「下り藤」を使用しています。藤の花は上から下に下がっていますよね。まさにその形をそのまま家紋にしたのが「下り藤」です。
下り藤
「下り藤」の後にできた「上がり藤」
藤原家の勢力が強くなると、分家の広がりも大きくなります。そこで、本家と分家を区別するために「上がり藤」の家紋が造られました。
上がり藤
下り藤をそのまま逆にしたような形が印象的ですね。下り藤は「花が下がる」という形をしていることから縁起が悪いと考えられ、そこから上がり藤の家紋が生まれたという説もあります。
(後略)