「スタジオのトイレ掃除はじめました」 多井隆晴、RTDマンスリー優勝記念インタビュー第2回(全3回)
AbemaTV「麻雀チャンネル」にて3月から11月まで放送された、RTDマンスリーリーグ2016にて、見事優勝した多井隆晴選手(RMU)にお話を伺いました。
インタビュアーは、観戦記を担当しました鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)が務めます。
【スタジオのトイレ掃除とか、気持ちを落ち着かせるために何でもやった】
前回の続きで、予選BLACK DIVISIONで最下位に転落した多井。
果たしてその打開法とは!?
― こういう状況に追い込まれたことって、正直今までないですよね?(そもそもそれが異常なのだが)
多井「そうだね、初めての経験」
― ですよね。こういうときって、精神状態の保ち方とか、どうしたんですか?
多井「うーん、麻雀の内容的には、ミスではなくて不運続きって感じだったから、正直慌てなかったんだよね。あとは、精神状態の問題。ほんと何でもやったよ」
― 何でも?ですか?
多井「そう、何でも。例えば、食べ物を変えたり、わざと寝ないで行ってみたりとか」
― 多井さんも、そういうことするんですね。なんか安心しました。
多井「するよ!実は、あのとき以来…
シャトースタジオのトイレ、掃除してるしね( ̄▽ ̄)」
― ええええええっ!?トイレ掃除すか?
多井「そうそう、とにかく徳を積もうと思って、トイレ行くときは、ついでに洗面台とか全部きれいに拭いたりしてから出るようにしてるんだよね。それやったタイミングから成績が良くなっちゃったから、やめられなくなっちゃってさ。今でもやってるわけ」
― すごい。。。徹底してますね。
多井「そうだよ。だからさ、最近は掃除するの面倒くさくて…
トイレ我慢したりしてるんだよね」
― そんなやついるんすかwwww本末転倒過ぎるでしょww
最後はただの面白い話になってしまったが、不調の客観的原因分析と、精神状態の保ち方については、学ぶべきところがあるだろう。
【イメージと違ったのは白鳥。将来が怖い】
― ちなみに、予選を戦ってみて、今まで持ってたイメージと違う人っていました?
多井「そうだなあ。白鳥はすごいと思った。あいつ、歳は若いのに、麻雀が若くないんだよね。玄人好みの麻雀というか。守備をしっかり固めるんだけど、踏み込みがしっかりしてる。将来怖いと思ったよ」
多井「あと、たろうが予選で負けるとは思わなかった。やっぱり彼も、相手の視点と客観的な視点を持ち合わせた数少ない打ち手だからね。負けたのは意外だったかな」
【決勝ではよく打てた。特に、しっかり踏み込めたのは非常に良かった】
― その後、連勝に次ぐ連勝で予選を突破し、決勝戦に駒を進めたわけですが、決勝での戦いぶりを振り返ってどうでした?
多井「決勝では、1回戦目に苦しいところからトップを獲れたんだよね。8回勝負だから残り7回あるわけだけど、2回戦目には早くも『マークされてもおかしくないなあ』っていうのを意識してた。それを意識しながら、守備もきっちりできたし、踏み込むこともできたんだよね。これは良かった」
― そうですね、確かにきっちり攻めていました。で、2連勝を決めて迎えた3回戦目では、いよいよ他家の見逃しも始まりそうな感じですよね?
多井「そうだね。3回戦は、マークの度合いがさらに強まるよね。でも、そこでもマークされていることを意識しながら、しっかり守備と踏み込みができた。その結果、トップでしょ。勝負を決めたのは、おそらくこの3回戦目のトップだろうね。まだ決定まではいかないけど、これで相当有利になったと思ったよ」
― このときも、やっぱり藤田さんのことは気にしていたんですよね?
多井「もちろん。ずっと気にしてた。ここまでポイントを持つと余裕もできるから、藤田さんをラスにしようと意識して立ち回ってたけど、結局藤田さんにラス引かせることができなかったんだよね。やっぱりしぶといなと思ったよ」
― やっぱり藤田さんは最後まで強かったわけですね。ちなみに、他に、決勝でうまくいった局とかってあります?
多井「普段と違うことやってうまくいったのは、6回戦のテンパイ連荘だね」
決勝6回戦、多井はダントツから藤田のリーチに対して終盤にテンパイすると、無スジの2mを勝負してテンパイ連荘を果たした。
このテンパイ連荘を含む大連荘で6連勝目を決め、優勝を確定させた。
これは、確かに多井らしくないとは感じたのだが、どういう意図があったのだろうか。
多井「開始前のコメントでも言ったんだけど、あと5年、10年は多井に勝てないんじゃないかと思わせるぐらいの内容で勝とうと思ってたんだよね。そういう意味で、対局者の心折りにいった連荘だし、実際折れたかなと思ったよ」
なるほど。この辺りは、勝負論ということになるのだろう。この後も10年単位で同卓するライバルたちの心を折っておく。そういう駆け引きも重要になるということである。
予選の奇跡的な追い上げから、決勝での完勝。
正に、多井のための大会にしてしまったと言っても過言ではない出来で、RTDマンスリーリーグ2016の頂点に立った多井。
その多井を支えている雀力の源はどこからきているのだろうか。
<第3回(最終回)、多井の日常生活に続く>
鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)