歳をとりたい理由
どちらかというと、ですが
わたしはテレビよりもゲームと漫画で育ってきた人間なので
俳優さん、女優さん事情には詳しくありません。
山本耕史さんは正直別ですが
それ以外の方で、
この人が出てるからこのドラマを観よう!とか
この人が出てる作品だけはきちんと原作を読もう
なんてことにはほぼなりません。
だからなのか、好きな俳優さんはたくさんいらっしゃって
その人が喋っている言葉に「ああ、いいな」なんて思うこともたくさんあります。
あさイチ!のプレミアムトークに出ていた生瀬勝之さんがまさにそうでした。
あの時間は9時20分に家を出るために交戦状態になっているので、熱心に見れてはいません。
つけっぱなしのテレビから聞こえてきた一言に、ふと耳を持っていかれました。
「絶対、って使う人が増えてきてるなって。でもね」
「僕はね、死ぬということ以外に絶対はないと思ってるの」
そう話す生瀬さんの表情は、うまいことを言ってやろうとするゲストのそれではなく、ただ純粋にそう思っている、ありきたりな、柔らかいものでした。
「生きていることすらも、なんだろうな。夢現というか、そんなことはないのかもしれないんだけどね。でももしかしたらがあるのかなって。だってそう思ったほうが楽しくない?」
信じないようにしている、ってはっきり言い切ることができるのは、その人の強さだなと思います。
人は信じてほしいし、信じたいし、期待したいし、期待されたいものだと 心のどこかで否定していても、それは自明なことで 誰からも信頼されないことにはどこか寂しさを感じてしまう。
そういう感覚全てを信じないって、スケールが大きすぎます。
ただ一つ、絶対があるとしたら、生瀬さんにとってはそれは「死」という事象のみ。
『人間とは、生まれ落ちた瞬間から死に向かって歩きはじめる生き物なのだ』
国語の勉強に夢中になるきっかけになった、あの一節も…。
まだ「死」という事象のほうがわたしにとっては夢現のような存在で、生きている今のほうがよっぽど信用できるけれど
これから歳を重ねていくたびに
死をリアルに感じることが増えていくたびに
死=絶対 この美しすぎる等式を理解することができるのかな、なんて
こういうことがあるから
わたしは早く歳を取りたいって思うんだろうな。
そこは、昔から変わらず。