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鍼治療と二重盲検

2021.05.08 21:45


実際に鍼を打った場合と、打たないで打ったと思い込ませた場合に優位さがなかったという結果について、だから鍼灸はまやかしであると考える人もあれば、だからこそ術者の変化が重要なのだと考える人にわかれます。


このテストを行った人は、きっと鍼刺激そのものがどう効くのかを調べたかったはずです。しかし、鍼刺激によって鍼としての効果がある訳ではないということを証明してしまった訳です。(このテストには色々と疑問もありますが・・・) 

それでも現実的には効果がある訳ですから、そこに残されたものは、効果を出せる人と、出せない人がある。つまり術者の問題によって効果が大きく変化するということだろうと思います。 


湯液(漢方薬の治療)と鍼灸治療の大きな違いはここです。湯液は、薬を相手に飲んでもらうという行為から成り立ちます。つまり他と個をわけやすい治療法です。しかし、鍼は、鍼そのものの種類が変わる訳ではないので、湯液より他と個をわけにくい治療法となっています。

術者が変わると全く同じ手技を行っても効果が違います。これはあきらかな事実です。

つまり、やり方だけでは説明のつかない何かがあるということになります。施術する人の人間力だろうと言う人もいるかもわかりませんが、それだけで説明できるものではありません。 


古くさいと言われている日本式の鍼灸は、術者の変態があってこそできる技術なので、術者自身が一定の時間をかけて変化していくことでできる技術です。

他と個を徹底的にわける西洋医学の考え方しかできない人は、それを疑問に思い、排除しようとしてきました。そして誰がやっても同じ結果になるものだけを取り入れてきました。もちろん、それはそれで意味のあることですが、それだけでは現実社会には上手く適応できません。


だからこそ他と個をわけない東洋医学の考えと対立が起こるのです。どこまでいっても平行線なので、そんな議論をする時間は勿体ないと思ってしまう程です。 

このことを術者は認識すべきだと私は考えています。古くさいと言われるのは、習得に時間がかかるとされるのも一つの理由ですが、他と個をわけないということを意識して取り組んでいるかで決まってきます。治療経験の時間が長いというだけの術者では全く何の意味もありません。

古くさい方法論でしかマッチしないものが一杯ある訳ですから、その適応さえ見分けられれば大きな力を発揮します。


もっと明確に他と個をわけない技術力をつけるように努力して欲しいと思っています。穴をなくす為には術者の変化が必要不可欠です。指導者はそれに常に注意して鍼灸の発展をしていかなければ未来はありません。他と個をわけるのは西洋医学がやってくれているのに、それを追随しても全く意味がありませんからね。


そうでないと本当の意味での鍼治療は滅びていくのではないかと思っています。 子供が考えてもわかりそうな気がします。