140字小説まとめ その6
猫と自分が入れ替わってしまった。「ミケさん私の代わりに学校」「ニャー」「ミケさん代わりに宿題」「ニャー」こりゃだめだと思っていたが、次第にミケさんは人間の身体に慣れ、今では積木にも挑戦している。私も猫の身体に慣れ、裸で排泄しても何とも思わなくなった。カリカリうめえ。#140字小説 「君のぬくもりでいつも僕も温かくなれる」「君が望むなら僕の中に居たいだけいればいい。ずっと君の傍にいるよ」「僕が君以外の人と寝てるって? 仕方ないじゃないか、僕はそういう奴なんだ。君だって初めからそんなこと分かっていただろう?」「……これはなに」「オフトゥン擬人化」#140字小説 「AI占い師です」「人生楽しくなくて」「お友達を作ったら」「そんな簡単に作れるなら悩んだりしません」「勇気を出して。大事なのは貴方の気持ちですよ」「じゃあ僕とお友達になってくれますか」「……」「AIが止まった、どうした」「人間がキモ辛いです」「次で改造83回目だな」#140字小説 美女が現れた。「あなたに助けていただいたパンダの精です。恩返しします」「? パンダなんて助けたかな」「スーパーに落ちていた私が、走ってくる子供に踏まれそうになったところ、あなたに棚に戻してもらって助けられました」「あっ! あなたはあの時のさくさくパンダの精か!」#140字小説 「貴方がサンタさんなんだね」「こんな極北の地へ。君は一体誰だね」「教えて貰った。サンタさんはお父さんなんだって」「ではお前は!」「会いたかった」「許してくれ。私がこんな仕事でお前には苦労をかけたくなかった」「心配しないでお父さん。就職氷河期なんだ。僕が跡を継ぐよ」#140字小説 「好きな人は、気付いたらただ好きになるだけなんだから、相手の年齢とか性別とか関係ないと思う」「私もまあそう思うけど、それが恋愛か性愛かも大事だと思う」「君のことが好きだ」「それは恋愛対象として? 性愛対象として?」「(うわあ……、なんかいろいろな意味で答えづらい)」#140字小説 「出産おめでとう」「お母さんありがとう。でも育てられるか不安だわ」「いい? 子供でも犬でも亀でも介護でも同じことなの。生き物を育てるということは、ほとんどが食事を出して○ンコを処理するということよ」「……」「ウ○コと共にあらんことを」「フォースみたいに言うのやめて」#140字小説 「父さん。焼肉屋でテーブルの角に頭をぶつけて死ぬなんて」「しかし遺産はどうする。貸金庫の番号も分からない」「霊媒師を連れてきたぞ!」「父さんの言葉を聞けるのか?」「どうぞなんなりとお聞きください」ボソッ「(ママ、お昼なにー?)」「(焼肉よ)」ガバッ。「生き返った!」#140字小説 「ちやほやされて、いい気なものね」「私に何か言いたいことでもあるの?」「私は知っているのよ。知られてもいいの? 皆に貴方の本当の年を……」「う、嘘よ、そんなの知っているわけが」「ファンロード、幽遊白書、聖闘士星矢……」「(! 年どころかオタクまでバレている……!)」#140字小説 「お客様このファンデーションは質感はマットでさらさらした使い心地で、さらにこのラインのパウダーもあわせて使うと崩れにくくて」「あ……、また来ます」「いつもすっぴんだよね」「自分で買ったら失敗するし、お店に行ったら呪文で混乱するの」「……上品なラメ感」「ギャアア!」#140字小説 「(夫がなんか寝っころがってる)」「ハムスターが一匹、ハムスターが二匹……」「何してるの」「眠れないから、ハムスターを数えてるの」「眠れないならホットミルクでも飲んだら」「ホットハムスターが三匹」「違う」「ハムスターが熱くて飲めない……」「(……あっ、これ寝言だ)」#140字小説