Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

ide LAB.

【研究論文】「特別支援学級・支援学校に通う子どもを養育する里親は子どもの自立について何を考えているのか-テキストマイニングによる分析を通して- 」

2021.05.10 03:02

「特別支援学級・支援学校に通う子どもを養育する里親は子どもの自立について何を考えているのか-テキストマイニングによる分析を通して- 」というテーマの論文が,日本子ども虐待防止学会『子どもの虐待とネグレクト』23(1)に掲載されました。


この論文は,支援級や支援学校(支援級・学校)に通う子どもの養育をする里親さんたちへのインタビュー調査をもとにして書いたものです。従来,知的障害・発達障害傾向のある子どもたちは児童養護施設など施設に措置されることが多かったと思いますが,里親家庭の普及促進の流れの中で最近では里親家庭に措置されることも多くなってきているようです。

そもそも,里親家庭で暮らす子どもたちが18歳を迎えた後の自立は大きな課題になってきましたが,支援級・学校に通う里子たちの自立をとりまく状況についてはまだまだ支援が十分でないばかりではなく,どんな状況にあり,里親がどのような困難に直面しているのかにも目が向けられていませんでした。

この研究ではそうした里親さんたちが里子の自立についてどのように考えているのかや,どんな困難を経験しているのかを明らかにすることに取り組みました。


支援級・学校に通う子どもを養育する里親さんたちは,早くから自立後のことを意識しながら日々,養育すると共に,措置委託が解除された後にも関係を維持する覚悟と想いをもっている一方で,障害ゆえに里親自身が里子の将来を思い描くことが困難な状況を経験している里親さんの姿が描き出されました。


「社会的養護と障害」という重複する困難に直面する子どもたちの養育では,里親個人に負担がかかってしまわないような仕組みや取り組みがより一層必要となります。ここまで社会的養護児童が主体的に将来を思い描き,取り組むことができる自立支援に取り組んできましたが,子どもたちだけではなく,彼らの養育者が肯定的な展望を描けるような支援が必要なんだということを改めて認識させられました。


あと,同じ雑誌の巻末には翻訳に関わらせてもらった『子どもの性的問題行動に対する治療介入』の書評も掲載されています。そちらも,ぜひ。