バンド活動と会社経営がなんだか似てる件
もう何年も車に備え付けのipodの音楽の入れ替えをしておらず、車の中ではLed Zeppelinという主に1970年代に活躍したバンドのアルバムばかりかかっているんですが、小学校と保育園の娘2人がいつの間にか「移民の歌」のイントロ「ドンドドダドンド、ドンドドダドンド」というリズムが鳴り始めると、脊髄反射で「ア〜アア〜〜〜、ア〜!」と全盛期のロバート・プラントも霞むようなハイトーンヴォイスでヘッドバンキングしながら叫ぶ姿を見て、父親としての責任を感じるこの頃でございます。
有難い事に様々な経営者の方とご縁をいただく事も多いのですが、いろいろとお話しさせていただくと意外と経営者のミュージシャン率高いんじゃないのかと思っていまして。
私自身、先日のブログでも書きましたが現在の共同経営者の現CTOとは元々バンドメンバーという関係から始まっておりまして、実はそれが経営の”け”の字も知らなかった我々が事業を立ち上げてこうして数年経た今も食べさせていただいている事ができている一つの大きな理由じゃないかと思う次第であります。
ヴォーカル vs ギター と CEO vs CTO
バンド活動時代と初期のグラムスという会社での役割と申しますと、
【バンド】
CTO : 作詞・作曲・ヴォーカル・ギター
CEO:作曲・アレンジ(編曲)・ギター・バックヴォーカル
【グラムス】
CTO:開発・コーディング・デザイン
CEO:マーケティング・営業・開発・プロダクトマネージメント
バンド活動のご経験がある方ですとこの構図でお分かりの方もいらっしゃる事と思いますが、まぁよくぶつかるパターンです。
しかし、ぶつかりながらも良い曲を書く、喜ばれるサービスをつくるという、ゴールは全く一緒なんですね。そしてお互いが本気だからこそ、お互いを認めているからこそ一緒に活動する訳で、納得するまでぶつかってでも一緒に良いものをつくろうとする訳です。
我々グラムスは起業する前にこの ”ぶつかり合いながら良いものを創造するプロセス” をバンド活動を通じて自然と身に付けたというのが、今思えばラッキーだったなぁと思う訳であります。
チケットさばきとマーケティング
バンド活動を行う上で、多くの売れないバンドがなかなか苦労するのがライブの時にライブハウスから課せられるチケット販売のノルマです。
自分で音楽をつくる以上、やはり多くの人に聞いてもらいたいと思うのですが、知り合いでもないのに聞いた事のないバンドのライブチケットをお金出して買う人はなかなかいません。
そこで我々はまず定期的に路上で演奏するところから始めました。
ある程度オーディエンスが増えてきたところで、自分たちの自主制作音源(CD)と一緒にライブのチラシを配ります。そして、そのチラシを持ってライブに来てくれたらチケット代無料という方法で、ノルマの倍以上の集客をしていました。
当時多くのライブハウスにとってチケット代よりもドリンク代の方が利益率も良いので、入場時に注文必須の1ドリンク代は中々の収益源だったんじゃないかと思うんです。もちろん、2杯目のドリンクを頼む人もたくさんいる訳です。
この方法で行った最初のライブは実はチケットノルマの代金はバンド側の自腹だったのですが、初ライブでいきなり満員にしたことから、ライブハウス側も喜んでくれたんですね。
そこで間髪入れずライブハウス側に交渉し、次回からはバンドに対するチケットノルマを無くしてもらう事に成功しただけでなく、利益分のキックバックまでもらえるようになりました。
これ、今思うとフリーミアムモデルで一回潜ってから巧妙にマネタイズポイントをずらしてってやってるなぁと。
メンバー探し
他にも、バンド活動と初期のベンチャー経営は良く似てるポイントがありまして。
・ライブ = プレゼン、ピッチ
・曲づくり = サービス、プロダクトづくり
・バンドメンバー探し = 初期メンバー探し
・レコーディング = プログラミング
・音源リリース = サービス・プロダクトリリース
これは元ミュージシャンの経営者の方には特に言えると思っているのですが、サービスやプロダクトに対するこだわり方の質というか、視点が少し違うのかなぁと思っております。
なんかやっぱり良くも悪くもアーティスト思考なんですよね。 いや、何も私自身がアーティストだと言っている訳ではないんですが、傾向として。
で、アーティスト的思考が染み付いていると、どうしてもこだわりというヤツが悪い面では盲目にさせてしまう事もあります。
特に私の場合、音楽時代は広く大勢に簡単に受け入れられる事を逆に良しとしていないところがありましたので(だから売れない)、これをビジネスでやる訳にはいきません。
だからこその、[ バンドメンバー探し = 初期メンバー探し ] が重要な訳ですね。
我々の場合はヴォーカルとギターの組み合わせでお互いがコンポーザーでもあり、それはZenFotomaticというサービス・プロダクトづくりにおいても同じです。なのでいわば2人ともフロントマンなんですよ。
リズムをボトムから支えたり、ストリングスや効果音で曲(プロダクト)をさらに演出するメンバーを探す事が大事でした。
と、多少こじつけやピンボケな点もありますが、バンド活動も初期企業活動も、まぁ似ているなと。
そして何もこれはバンドに限らず何らか一つの目的をチームで達成するという事に対して、社会人になる前に損得勘定なしでコミットできていると、特に小さなベンチャーを立ち上げる際には知らず知らずに身についている事もあるなぁと思う次第であります。
さて、我々グラムスにおいては今後はホーンや鍵盤、はたまたDJまで、そう、ビッグバンドになっていかなければならないフェーズです。
ここからさらに、未体験ゾーン。
各パートの皆がちゃんと練習して、スタジオで合わせて、最高の音(プロダクト)をぶちかまさねばなりません。
そしていつかは武道館、ではなく、カーネギーホールあたりでぶちかますかなっと。
そんな妄想の日々でございます。