三つの浄化
https://www.asahi.com/articles/ASJD92W0WJD9UBQU00C.html 【私たちは病原微生物と一緒に暮らしている】より
弘前大学大学院医学研究科臨床検査医学講座准教授 齋藤紀先
どんなに清潔な暮らしをしていても、私たちの周りにはいつもバイ菌が存在しています。病院の無菌室にでもいないかぎり、私たちはバイ菌と一緒に暮らしているようなものです。そんな中で私たちは常にバイ菌をやっつけながら健康を保っています。
私たちは生まれてから日常的に無数のバイ菌、すなわち「微生物」に接触しています。微生物は大まかに「細菌」「ウイルス」「真菌(カビ)」「寄生虫」に分類されます。このうち細菌は外部から侵入するだけでなく、普段から私たちの体内にずっと居続け、いい意味でも悪い意味でも共存していることが多いのです。
例えば、皮膚にはブドウ球菌、口内にはレンサ球菌、大腸には大腸菌といった数々の細菌が、普段は悪さをしない「常在菌」として存在しています。常在菌は新たに侵入してくる微生物がそこで増殖するのを防ぐのに役立っています。
納豆やみそ、キムチやヨーグルトがめったに腐らないのは、その中に大量の菌がすでに存在しているからです。
しかし、なんらかのきっかけで常在菌が悪さをしたり、一部の人がもっている菌やウイルスが病気を発症させたりする場合があります。
誤嚥性(ごえんせい)肺炎や膿瘍(のうよう)(感染で膿(うみ)がたまった状態)の原因となる嫌気性菌はすべての人の口腔(こうくう)内や腸管に存在していますし、人によっては胃潰瘍(かいよう)の原因となるピロリ菌や肝炎の原因となる肝炎ウイルスと共存している場合もあります。
このように、体の中に「菌がいる」という事実があっても、それが正常であったり、病気として発症していなかったりする状態を「保菌」と言います。私たちは「保菌」をしながら、様々な微生物と共存しているのです。
一方、微生物の体内での異常増殖によって、病気としてなんらかの症状が出ている状態を「感染症」と言います。
ニキビが腫れて少し白っぽく膨らんだ状態や、爪を深く切りすぎて爪の横が腫れ、青白っぽくなった状態などは、私たちが日常よく目にする細菌感染症の実例です。表面的に見えない細菌感染症には、肺炎、膀胱(ぼうこう)炎など多数ありますが、普段健康な人にはあまり縁がありませんね。
ウイルス感染症としては、みなさんおなじみのかぜやインフルエンザ、ノロウイルスによる感染性胃腸炎がその代表例です。
真菌による感染症としては、足の水虫など皮膚の真菌感染症があります。
このほか、大きな寄生虫(カイチュウやサナダムシなど)は内臓や腸管の中に寄生し、小さな寄生虫(マラリア原虫など)は細胞の中に寄生して感染症を引き起こします。
このようにさまざまな病原微生物によって、私たちの体は常に「感染症」の危険にさらされているのです。
https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/column/34949/ 【「人間は微生物の袋である」!?】より
これまで味噌を中心に、発酵食の素晴らしい健康効果についてお話ししてきましたが、今日はもう一歩進んだ“菌活”のお話をしたいと思います。
「人間は微生物の袋である」と言われます。
ノーベル賞を受賞した遺伝学者 J. Lederbergは、Science誌上で『人間は共生微生物とヒトから構成されている超生物である。人間にとって共生微生物は極めて重要な存在であり、大切にしなければならない』という内容の論文を2000年に発表しました。
要するに、人間は「人」という部分と「微生物」という部分が合わさった共同体だというのです。しかも、その微生物は、人の口腔、鼻腔、喉、肺、胃、小腸、大腸、皮膚、膣といったあらゆる場所にコロニー(集団。マイクロバイオームともいう)を作って住んでいて、健康にとって重要な役割を担っていますよ、と。びっくりでしょう?
今まで「自分は世界一孤独な人間だ」とか「自分一人の力で生きてやる」なんて思った青臭かった私、赤面ものです。いついかなる時も微生物さんたちは側にいてくれたのですね。
人体の細胞数と菌数を比べても、37兆対100兆個以上、と圧倒的に菌数の方が多い。だからこそ、微生物さんたちのご機嫌を損ねないように、彼らが味方になってくれるように環境を整備していく必要があるんですね。
体に住んでいる微生物の多くは、人体に有益な働きをしてくれています。たとえば消化管の中で働く乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌や酢酸菌などは、消化を助け、ビタミン、ミネラル、ホルモン刺激物質などさまざまなものを作り出して提供してくれるのですが、栄養バランスが偏ったり添加物や保存料ばかりの食事になると、それら有益な働きをしてくれる微生物が弱り、本来の力を発揮できなくなります。
鼻から肺までの呼吸器や皮膚に住んでいる微生物もたくさんいて、彼らも体の砦を守ってくれています。そこは“自然免疫”と言われる、免疫機能の第一関門で、外部からの侵入を許さないように常在菌が微生物バリアを張っています。
“菌”とか“微生物”と聞くと、「わ、ばっちい!バイキン!」と連想しがちですが、病原菌と言われる悪さをするものは、実はごく一部でしかありません。しかも、その病原菌を寄せ付けないようにするためには、味方である常在菌に活躍してもらう必要があります。
しかし、現代は抗生物質や消毒薬や食品保存料(菌の繁殖を防ぐ)や界面活性剤(乳化剤ともいわれ水と油を混ぜる物質。微生物の細胞膜にダメージを与える)がとても身近にあります。これらの化学物質は、有用菌も病原菌も関係なく殺菌したり除菌したり制菌したりする効果があるので、便利ではありますが諸刃の刃でもあります。
だからこそ、意識的に有用菌を“菌活”することは大切だと思います。具体的にどうするのか?というと、第一にはもちろんバランスの取れた食生活で、不自然な添加物をなるべく口にしない、発酵食や食物繊維で良い働きをしてくれる腸内細菌を応援する。そこまでは前回までのコラムでも触れてきました。
それに加え、なるべく自然由来の化粧品や洗濯洗剤、食器用洗剤、歯磨き粉を使う、また、自然の中の新鮮な空気と土壌菌を吸い込む、なども立派な菌活になります。都会ではなかなか土壌菌と戯れる機会がありませんが、公園を散歩したり、観葉植物やプランター菜園などで土や植物に触れるだけでも違います。
菌活上級者の方は、生ゴミコンポストがおすすめです。家庭で出る生ゴミを、ミミズや微生物に分解してもらい、堆肥にしてそれを土に戻すのです。そこでまた何かの野菜や花を育てれば、小さいですが栄養の循環を生み出すことができます。
しかも、生ゴミの90%は水分。それをビニール袋に入れて燃えるゴミに出すと、その焼却エネルギーは膨大です。生ゴミを土にできればCO2の削減にも大いに有効ですし、植物を育てる楽しみも増えるし、菌活もできるし、一石三鳥。是非トライしてみてください。
コンポストをやってみると、つくづく体の仕組みと自然界の仕組みは同じだな、と思います。どちらも微生物が分解者となって、物質を小さくして副産物としての栄養も生んでくれます。微生物が細かなパーツにしてくれたからこそ、植物はそれを根から吸収することができ、人は腸から栄養を吸収することができる・・・。
そんな風に微生物の目線で自然界を見ると、全ての有機物は繋がりあって命を紡いでいるようにも見えます。食べ物の分子は微生物を通じて私の一部になり、私の出す生ゴミや排泄物の分子も微生物を通じて植物や動物の一部になり、それはやがて私に帰ってきます。
ところで、赤ちゃんは胎児の時は無菌です。微生物を住まわせ味方にし、健康を確立していくその一歩は、生まれ出てくる過程の産道や、お母さんとの肌のふれあいから始まります。母親の無数の微生物のベールが初めのプレゼント。これを資本にして生きるためのスタートラインに立つのです。
初めのうちは十分な菌数もなく、種類も少ないためたくさんの病原菌の侵入を許します。だからたくさんの感染症を経験するし、それが当たり前の試練なのです。しかし、そのうち防御方法を体も覚え、常在菌のバリアも強くなり、簡単には隙を与えなくなります。健康な人の肌や腸内には、微生物がびっしりと隙間なくいて、その顔ぶれも多様。生物の多様性があることで地球の生態系が守られるのと、ここも同じことが言えます。
私たちはまさに、ひとつの地球のように体に無数の命を宿し、共生しています。生きているということは、発酵分解のサイクルに参加しているということに他なりません。有用な常在菌がそっぽを向いてしまわないように菌活を意識したライフスタイルをこれからも心がけていきましょう!
https://www.tfk-corp.co.jp/3remediation/ 【三つの浄化】
私たちは、土と水の浄化から、自然界のサイクルにとって微生物がいかに大切であるかを学んできました。
そして、私たちヒトの体質も、共生する微生物の大きな働きを受けています。土の浄化・水の浄化・人の健康 これを「3つの浄化」と呼んでいます。
土の浄化
1.いのちを育てる土のちからを
土のちからが最も感じられ、その健康状態に左右されやすいのは農業です。
今、日本の農地の70%以上は連作障害土壌であり農法は未だに環境破壊型です。長年にわたって農薬や除草剤を多量に投入したために、土中生態系が破壊されたことで、地力は落ち、生産性も著しく低下してきました。その結果、作物は寒暖の差や天候異変に弱くなり、病原菌に対する抵抗力も低下し、ひ弱で病気になりやすくなっています。
農耕地の疲弊によって、安全な食料を安定的に国内生産できないという危機的な状況を救う途は、環境保全型農業への転換以外にはありません。
その途とは、
(イ)国や地方自治体が環境保全型農業を理解し、それを強力に指導推進すること。
(ロ)専業農家が十分に生産性を上げ、専業農家としての収益基盤を確立すること。
(ハ)消費者が安全な品質と多種類の作物を、常に適正な価格で安心して求めることができるようになること。
(ニ)食糧自給率の国家目標を70%以上に引き上げること。
です。
行政・農家・消費者が、それぞれの立場を尊重し、お互いに協力し合えば、それは難なく達成できるはずです。日本農業の生産性と収益性は向上し、とりまく環境条件は著しく改善されることでしょう。
土が不健康であれば、作物を食べる人も健康をそこないます。私たちは、長年にわたって環境保全型農業を研究してきた結果、技術開発、製品開発において先駆的な業績を残してきました。
1.健康な状態の土
小動物、微生物が多く住む、生きた土。酸素や水を多く含み、団粒構造を形成した土壌になり、植物の発育が良い。
2.障害を起こしている土
酸欠状態になった土。酸欠の理由として、機械化により土が固くなったこと。
また発酵が完了していない有機肥料が土中で再発酵し、酸素を消費する。さらに、除草剤や農薬により、微生物が死んでしまう。
酸欠は、好気性細菌の欠落や植物の発育にも悪影響を及ぼすほか、根腐れや連作障害をひきおこす。
3.放線菌や光合成細菌を施用して復活
放線菌や光合成バクテリアなどを含有した、生理活性物質の土壌生物性改善資材により食物連鎖が活発になり土が生きかえる。
そのため根の呼吸作用が促進され、健全な植物が育つ。
2.コンポストプラントとは
コンポストプラントとは
地力の回復、健全化に有効なコンポストプラント
近年、廃棄物をめぐる状況は深刻です。廃棄物の焼却処理がダイオキシン発生の主な要因となるなど環境への負荷は大きな社会問題となり、最終処分場のひっ迫も、今後の廃棄物処理問題を考えていくうえで大きな課題となっています。
平成12年には「循環型社会形成推進基本法」が成立し、その後、食品リサイクル法、グリーン購入法、資源有効利用促進法、家電リサイクル法などが次々と施行されました。
これらの法律は、国の目標として、あらゆる廃棄物を有益な資源に転換利用することを義務づけたもので、循環型社会システムの構築を図っていくことを求めていますが、実務としての手法は、まだまだ確立されていないのが実情です。
当社が開発し、取り組んできたコンポストプラントは、微生物の力で廃棄物の有機質を発酵分解させ、植物に有用な生理活性物質を生成させるシステムで、次のようなものをコンポスト化できます。
・家庭生ゴミ、野菜卸売市場生ゴミ、魚卸売市場の生ゴミ
・下水汚泥、し尿汚泥、集落排水汚泥
・食品加工場などから排出される有機廃棄物
・牛・豚・鶏・羊・馬・ヤギなどの畜産糞
・畜産加工場等から出る動物性廃棄物
近代農業においては、地力の低下による連作障害や、農薬の使いすぎによる環境破壊など、多くの弊害が生じてきました。
それは、植物の育成にとって有用な微生物や小動物までも死滅させてしまったことによる土壌生物相の崩壊によるものであり、土壌の改善が急務の課題となっています。
この改善には、コンポストが有効ですが、それには完全発酵したコンポストを利用しなければなりません。
昔のように土壌の地力が高かった時代には、土の中に有益微生物や微小動物が数多く生息していたので、未熟な有機物を施用しても、それが土壌中で完全分解され、植物に吸収されていました。
しかし現在ではそういった生物がほとんどいなくなったため、未熟な有機物を入れると、かえって有害になってしまいます。十分発酵していない半生成物を肥料として土中に入れると、土壌中で再発酵し、酸素を大量に消費して、作物の呼吸作用に大きな障害を与えてしまうからです。
逆に完熟発酵したコンポスト製品を土に与えた場合、作物には素晴らしい効果を発揮します。大きな分子の有機物が小さな分子の状態まで分解され、作物に有効な生理活性物質を含んだ肥料成分に転換されているからです。
3.コンポストプラントの仕組
コンポストプラントの仕組み
当社では、長年の研究の結果、特殊発酵菌(テリアス発酵菌)を利用したティーエフケイ式発酵処理生成法を開発し、下水汚泥を素材とした発酵工程においては、21日程度でコンポスト生成を可能にしました。
ティーエフケイ式発酵処理生産方法(三次発酵処理)
【 特徴 】
○発酵期間が短い(脱水汚泥ケーキの場合は約3週間)。
○発酵熱により、雑草種子や病原菌を殺菌する。
○水分調整剤としてのモミガラ、オガコなどが必要ない。
○加湿加水発酵方式及び脱臭菌により、粉塵・臭気・騒音がない。
○完成品(生成物)は農用地や緑地やゴルフ場に利用できる。
コンポスト生成は、次のような過程で行われます。
1.発酵前の調整
発酵前の調製混合機に生素材(有機廃棄物)と戻し生成物を投入し、弊社保有の発酵菌(テリアス菌)を加えて混合粉砕したものをポーラス状に発酵槽へ堆積します。脱臭菌の接種も行なうため、全工程に渡って発酵中の悪臭を抑えることができるだけでなく、できあがったコンポスト製品も無臭になります。
2.1次発酵(7日間)
一次発酵微生物の活動を助けるため、加水しながら空気を供給して好気発酵させ、タンパク質等の易分解性有機物を分解します。この段階で、発酵熱(約85℃)により病原菌や寄生虫卵、雑草種子などが死滅します。
3.2次発酵(7日間)
二次発酵可分解性有機物を吸送気による好気発酵で分解します。素材が乾燥しないように、水分を補充しながら、発酵を均一に進めます。
4.3次発酵(7日間)
三次発酵好気性発酵により、難分解性有機物を分解します。土壌に必要な有益微生物(放線菌)を増殖させて、発酵熱で水分を蒸散させます。
5.後熟貯留調整発酵(7日間)
三次発酵が終了したコンポストは一部生素材の水分調整材として利用します。残りは後熟貯留調整発酵させます。