ZIPANG-5 TOKIO 2020 速報 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産一覧表への記載推薦に関する国際自然保護連合(IUCN)の評価結果及び勧告について【環境省】
奄美群島 奄美大島「高知山展望台」からの眺め
奄美大島 大浜海浜公園
島の文化 神秘と豊穣の文化に触れる…
我が国が世界遺産一覧表への記載を推薦している「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)の評価結果がユネスコ世界遺産センターから通知され、世界遺産一覧表への「記載」が適当と勧告されました。
評価結果の概要について、環境大臣の談話を添えてお知らせします。
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の
世界自然遺産推薦に関する IUCN 評価結果及び勧告に係る
小泉環境大臣談話
令和3年5月 10 日
この度、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が、世界に冠た
る自然地域の一つとして世界遺産一覧表に記載されることが適当で
あると、国際自然保護連合(IUCN)によって評価されました。
2018 年の延期勧告を受けての推薦書再提出の後、昨年の世界遺産
委員会も延期されるなど、地元自治体をはじめとする関係者の皆様
がこの日を心待ちにされていました。
コロナ禍での明るいニュース
になったことも含め、今回の勧告を非常に嬉しく、また感慨深く思い
ます。
最終的な決定は7月に予定されている世界遺産委員会を待たなけ
ればなりませんが、今回の勧告により、本件の世界遺産登録に向けて大きく前進したものと考えております。
一方で、IUCN からは保全管理上のご指摘も頂いており、関係機関、
関係自治体、専門家、地元の方々と連携して、より一層の質の高い保全管理が行えるよう、引き続き努力を致します。
いずれにせよ、政府として、世界遺産への登録に向けて引き続き万全を期してまいります。
推薦地の特徴、概要等について
推薦地の特徴
推薦地の概要
世界遺産に推薦された地域は、奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島の4地域です。
推薦地の特徴は、次のとおりです。
推薦地は、中琉球の奄美大島、徳之島、沖縄島北部と、南琉球の西表島の4地域の5構成要素で構成され、面積42,698haの陸域である。
中琉球及び南琉球は日本列島の南端部に位置する琉球列島の一部の島々であり、推薦地は黒潮と亜熱帯性高気圧の影響を受け、温暖・多湿な亜熱帯性気候を呈し、主に常緑広葉樹多雨林に覆われている。
推薦地は、世界の生物多様性ホットスポットの一つである日本の中でも生物多様性が突出して高い地域である中琉球・南琉球を最も代表する区域である。推薦地には多くの分類群において多くの種が生息する。また、絶滅危惧種や中琉球・南琉球の固有種が多く、それらの種の割合も高い。さらに、さまざまな固有種の進化の例が見られ、特に、遺存固有種及び/または独特な進化を遂げた種の例が多く存在する。
これらの推薦地の生物多様性の特徴はすべて相互に関連しており、中琉球及び南琉球が大陸島として形成された地史の結果として生じてきた。分断と孤立の長い歴史を反映し、陸域生物はさまざまな進化の過程を経て、海峡を容易に越えられない非飛翔性の陸生脊椎動物群や植物で固有種の事例が多くみられるような、独特の生物相となった。また、中琉球と南琉球では種分化や固有化のパターンが異なっている。
このように推薦地は、多くの固有種や絶滅危惧種を含む独特な陸域生物にとって、全体として世界的にかけがえのなさが高い地域であり、独特で豊かな中琉球及び南琉球の生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息・生育地を包含した地域である。
世界的にかけがえのない地域
推薦地を含む4地域は、その面積が日本の国土面積の0.5%に満たないにも関わらず、日本の動植物種数に対して極めて大きな割合を占める種が生息・生育している。例えば、維管束植物は1,819種、陸生哺乳類21種、鳥類394種、陸生爬虫類36種、両生類21種が生息・生育している。
全体として、陸域生物多様性ホットスポット「ジャパン」の陸生脊椎動物の約57%が推薦地を含む4地域に生息し、その中には日本固有の脊椎動物の44%、日本の脊椎動物における国際的絶滅危惧種の36%が包含される。
また、推薦地では、国際的絶滅危惧種95種を含め、絶滅危惧種の種数及び割合も多い。 IUCNレッドリスト記載種のうち、奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギは1属1種で近縁種は存在しない。沖縄島北部のヤンバルクイナは、絶滅しやすいことが知られている島嶼の無飛翔性クイナ類の1種である。トゲネズミ属は固有属で、中琉球の3地域にそれぞれの固有種が分布する。イリオモテヤマネコは“ヤマネコの生息する世界最小の島”西表島だけに生息する。
また推薦地では、多様な種分化、固有種の例が豊富に見られる。例えば、維管束植物は188種が、昆虫類は1,607種が固有種である。特に、陸生哺乳類(62%)、陸生爬虫類(64%)、両生類(86%)、陸水性カニ類(100%)では極めて高い固有種率を示している。
これら推薦地の固有種には、進化的に独特かつ地球規模の絶滅危惧種であるEDGE種として選定されている種が20種もあり、そのうち、オキナワトゲネズミ、リュウキュウヤマガメ、クロイワトカゲモドキはトップ100種にランクされている。
このような、生物種数の多さ、絶滅危惧種や固有種の数の多さと割合の高さ、また、多様な種分化や進化の独特さは相互に関連しており、中琉球及び南琉球が大陸島として形成された地史の結果として生じてきた。
琉球列島は中新世中期以前にはユーラシア大陸の東端を構成していたが、沖縄トラフや3つの深い海峡の形成によって大陸や他の島嶼と隔てられ、小島嶼群となった。そこに生息・生育していた陸域生物は、小島嶼に隔離され、独特の進化を遂げた。このため中琉球及び南琉球では、海峡を容易に越えられない非飛翔性の陸生脊椎動物群や植物で固有種の事例が特に明瞭に示されている。
表 日本全国と推薦地を含む4地域との種数と固有種率・絶滅危惧種率
アマミノクロウサギ
アマミヤマシギ
イシカワガエル
アマミシリケンイモリ
イリオモテヤマネコ
琉球列島の古地理と生物の動向の推定図
A:中期中新世以前(〜約1,200万年前以前)
推薦地を含む現在の琉球列島は大陸の東端に位置し、大陸と共通の陸生生物相を有していたと考えられる。
B:後期中新世〜更新世初期(約1,200万年前〜約200万年前頃)
①沖縄トラフが拡大を開始し、大陸と中琉球・南琉球の間が開き始めた。後期中新世(約1,200万年前〜約500万年前)にはトカラ海峡、慶良間海裂が形成され、中琉球と周辺の陸域(九州・北琉球や、南琉球)が分断され、中琉球にアマミノクロウサギ、トゲネズミ類、トカゲモドキ類、ハブ、ハナサキガエル類、サワガニ類などの陸生生物相が隔離された。
②鮮新世(約500万年前〜約260万年前)には、南琉球が大陸から分断され、ヤエヤマセマルハコガメやキシノウエトカゲ、サキシマハブ、ハナサキガエル類等の陸生生物が南琉球に隔離されたと考えられる。
C:更新世初期〜現在(約200万年前頃〜)
①大陸では中琉球と共通の祖先種をもつ陸生生物が絶滅してゆき、中琉球は遺存固有な陸生生物相が形成されたと考えられる。
②気候変動(氷期―間氷期)に伴う海面変化で、近隣の島嶼間で分離・結合が繰り返され、生物の分布が細分化され、中琉球、南琉球のそれぞれで、島嶼間の種分化が進行した。
③イリオモテヤマネコとリュウキュウイノシシは、大陸に最近縁種が分布することから氷期の海面低下で南琉球と大陸の間の距離が極く小さくなった際に、大陸から海を渡って南琉球に侵入してきた(9万年前〜5万年前頃)と考えられる。
(2019年2月提出の推薦書(仮訳)より)
IUCN評価結果の概要について
1.IUCNの評価結果
・我が国は平成31年2月に、ユネスコ世界遺産センターに対して、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を世界遺産一覧表に記載するための推薦書を提出しました。
・今般、国際自然保護連合(IUCN)により、本件の[生物多様性]に関する顕著な普遍的価値が認められ、世界遺産一覧表への「記載」が適当と勧告されました。
※評価結果の具体的な内容は追ってお知らせいたします。
(参考1)諮問機関による評価結果の4つの区分
①記載(Inscription):世界遺産一覧表に記載するもの。
(奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の場合は、①記載(Inscription)に当る)
②情報照会(Referral):追加情報の提出を求めた上で、次回以降に再審議するもの。
③記載延期(Deferral):より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの(推薦書の再提出後、約1年半をかけて再度諮問機関の審査を受ける必要がある)。
④不記載(Not to inscribe):記載にふさわしくないもの(世界遺産委員会で不記載決議となった場合、例外的な場合を除き再推薦は不可)。
(参考2)国際自然保護連合(IUCN)
IUCN(International Union for Conservation of Nature)。国家、政府機関、非政府機関で構成される国際的な自然保護ネットワーク。野生生物の保護、自然環境及び自然資源の保全に係る調査研究、途上地域への支援等を行っている。1948年設立。
2.今後の予定
・今後、第44回世界遺産委員会拡大会合(令和3年7月16日~31日)が開催され、IUCNの勧告を踏まえ、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を含む各締約国からの推薦案件について、世界遺産一覧表への記載の可否が決定されます。
世界遺産登録に向けた経緯と今後のプロセス
IUCNの勧告に対する所感(コメント)
(一社)あまみ大島観光物産連盟 事務局長 境田 清一郎 氏
「世界自然遺産登録すべき」の勧告は、有難く受け止めますが、先人たちが残してくれた、「自然環境と伝統文化」に感謝し、後世へ継承することが今、生きている者の役割であることと世界に誇れる価値あるシマを再認識しました。
また、地元の自然と文化への自信と誇りを持ち、シマの魅力再発見の機会となり、子供たちへの教育で自然環境の保全保護と文化の継承につながる機運が高まることを期待します。
そして、令和3年度観光庁「日本版持続可能な観光ガイドライン」モデル地区として、
持続可能な観光につながるよう丁寧に活用する必要性とこれからの保全保護が重要であると考えております。
奄美群島・沖縄関連情報は下記のリンク記事をご覧ください。
ZIPANG TOKIO 2020
「自然と共生する島人 奄美の魅力は古来から育んできた文化や営みである」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/4071381
ZIPANG TOKIO 2020「古来より、海の彼方からやってくる来訪者『まれびと(稀人)』を歓迎しもてなす文化を持つ奄美の人々とは(その弐)」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/4086061/
ZIPANG TOKIO 2020「奄美群島国立公園 生命にぎわう亜熱帯のシマ~森と海と島人の暮らし~(その参)」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/4094364/
ZIPANG TOKIO 2020「阿室(あむろ)・屋鈍(やどん)・平田(へだ)三集落、宇検村の精神とは!『結い』の心でみんなでむらづくり 」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/4041118
ZIPANG TOKIO 2020
「 奄美固有のドロ土から産まれた『大島紬』漆黒色の魔力 寄稿文 Vol.1 」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/4228065/
ZIPANG-4 TOKIO 2020 古代染色奄美大島紬&琉球の彩りあふれる染織物
https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/8296756/
ZIPANG TOKIO 2020「2020年に向けて、あなたの文化プログラムを発信!!沖縄伝統芸能の普及を目指し『木曜芸能公演 ~百花繚乱~』文化庁」
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ZIPANG-3 TOKIO 2020 伝泊The Beachfront MIJORA 「奄美の伝統的・伝説的な建築と集落と文化を次の時代に伝えるために!」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/7032477/
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ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~世界文化遺産 今帰仁城跡~ 「聞こえ今帰仁 百曲がり積み上げて 珈玻羅寄せ御ぐすくげらへ 鳴響む今帰仁(1)」
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ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~ 世界文化遺産 今帰仁城跡 ~「ぬーんねしが 今帰仁村19の集落と祭り(4)」
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ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~ 世界文化遺産 今帰仁城跡 ~「琉球王国のグスク及び関連遺産群(5)」
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鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同・敬称略)
環境省 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 TEL 03-3581-3351
一般社団法人 あまみ大島観光物産連盟
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TEL 0997-53-3240
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