『激動のゴールデンウィーク』(AM24:00様)
※この記事は試し読みに掲載された部分までをレビューしておりますので、ご注意ください
本日、読ませていただいたのはAM24:00様の合同誌『激動のゴールデンウィーク』です。
この合同誌は6名の作家が参加し、208ページ(うち、カラー挿絵3ページ)という大ボリュームですので読み応えがありそうですね。
掲載されているのは、静原認様の『ゴールデンウィークの神様』、みと様の『明日香のため 仰せのとおりに』、モンチ03様の『Wonderful Golden Week』などです。(残念ながらみと様の『明日香のため 仰せのとおりに』についてはリンクが見つかりませんでしたので、新しく掲載され次第、更新させていただきます)
では、作品ごとに感想を書かせていただきますね。
※以下において作品名を踏んでいただければ新規ウィンドウで開きます
『ゴールデンウイークの神様』静原認
主人公の前に現れた、GWを司る神様。曰く、このままではGWが木っ端微塵に消えてしまうらしく…!? 世界の滅びよりGWを愛し優先する主人公は、果たして大切な存在を守れるのか…!
開幕、未成年飲酒。
意味がわからないようですが、事実です。
主人公は中学生なのですが親戚に酒を飲まされながら人生ゲームに興じています。
そして主人公は人生ゲームでゴールデンウィークのマスに止まると唐突に勝利宣言するのですが、人生ゲームの勝利条件ってゴールした上で貯蓄の額によって格付けされるからゴールデンウィークと勝敗は直接には関係ないです。
ですが主人公にとってはゴールデンウィークこそが至高。
理由を一言で表現するなら主人公が底抜けのバカだから。
夏休みや冬休みは補習だらけで、せっかくの休みも山積みの課題に食われるけれど、ゴールデンウィークにはそういった勉強のあれこれがない。
よってゴールデンウィーク最高!
まあ発想が学生ですねえ。
実際、いっしょに人生ゲームをやっている親戚にはゴールデンウィーク中に勉強しておけば長期休みに補習や課題に苦しめられることはないと指摘されています。
もっとも、私自身も熱心に勉強をしたわけではないのですが、補習を受けたくないのでテスト対策は真面目にやっていましたね。
……とまあ、こんな感じで主人公の性格とゴールデンウィークに対するこだわりについて冒頭だけでうまく表現できていますね。
で、この後に自称ゴールデンウィークの神様がやってきますが、この神様も世界の危機とか言いながらユーモラスなんですよね。
主人公が「はっーはっはっはっはっ!!」と笑っていたらいきなりやってきて『「お邪魔するぞい、若造。威勢のいいホームシックな呼び声じゃのう。しかし、ワシは『はは』ではなく『おじいちゃん』なのでな。言ってみるがよい。『おーっじっじっじいちゃん』と。胸で受け止めるくらいはしてやらんでもないぞ」』ですからね。
で、主人公はゴールデンウィークを楽しむために自称神様の頼みを断ろうとしますが、放っておけばゴールデンウィークが消え去るといわれて「まてやこら話を聞かせろどういうことですか仙人じじい!!」と叫ぶんですね。
ギャグやコメディって結構好みというか肌に合う合わないがあるジャンルです。
だから私はギャグは基本的に書かずにシリアス一辺倒に寄せますし、うまいコメディを書く作家は素直に尊敬します。
本作は間違いなく当たりの部類だと感じますね。少なくとも私の感性とは合致しました。
残念ながら試し読みはここまでなので、ここから先の展開は買わなければわかりません。
気になる方はぜひ会場で買いましょう!
『明日香のため 仰せのとおりに』みと
学校を辞めたひきこもりの男の子。
慶一がちょっとコンビニへ行っていると……家が火事に!?
GW期間中、ハチャメチャな従姉妹、『明日香』のいる家でお世話になることに──。
(試し読みが存在しないため、感想はしかねます)
『Wonderful Golden Week』モンチ03
動物達が――喋った!?
犬の五郎!
「早く散歩行こうよ!」
猫のエリザベス!
「もう、ダラシないわね」
鳥のピーコ!
「ハラヘッタ」
主人公圭太
「お前ら暴れるな!」
GWに奇跡が起きる!
圭太と3匹のペット達が織りなす、ドタバタハートフルコメディを見逃すな!!
せっかくの連休なのに姉がやってきてペットたちを押し付けられる主人公。
しかもペットたちは人間の言葉を話すし、どいつもこいつも自分のことばかり。
ある意味で動物たちの性格はテンプレ通りです。
猫は世話されて当然だと思っていますし、人間に忠誠心なんてありません。
むしろ人間のことを召し使いかなんかだと思ってますね。
もちろんそれでもかわいいと文字通り猫かわいがりする人間も結構いるので、わがままなというところも含めて人気ですよね。
犬は思考が子供っぽいです。なんというか……「ごはん」「遊ぶ」「散歩」以外考えていないというか。
猫とは対照的に人間に文句は言いませんが、必ずしも言いなりにはなりません。
鳥に至っては犬よりも本能的で、言葉は喋れるけど意味を理解せずに復唱しているだけみたいな。
主人公自身もペットたちのことは好きじゃない。
それどころか、その世話のために自分の貴重な休日を消費させられる訳ですからかわいいどころか邪魔なだけでしょう。
とはいえ、ペットたちを保健所に連れて行って殺処分にしないだけマシですね。
姉に押しつけられた被害者とはいえ主人公がド畜生なら動物を殺していたでしょう。
まあ、そういう甘いところがあるから姉のわがままに付き合わされる訳ですが。
さて、本作はドタバタハートフルコメディらしいです。
ドタバタ→ペットたちに引きずり回されるのは確定
ハートフル→そういった描写がないので現段階では未確定
コメディ→キャラクターから考えて確定
ハートフルの部分は現段階ではわかりませんが、おそらくペットたちに対する愛着もしくペットたちから向けられる信頼などが描かれるでしょうから、今後の展開に期待です。
もしかしたら違うキャラが出てきてペットと主人公以外の関係性が描かれたり全く新しい切り口から物語が展開したりするかもしれません。
こちらも気になる方はぜひ会場で買いましょう!
レビュワー:キタイハズレ(文芸高等遊民所属・サイトオーナー)