キース・ネルソン (Ex-Buckcherry / Ricky Warwick) #2
元Buckcherryのギタリストで、現在は The Almighty / Blackstar Riders のリッキー・ワーウィックのソロ活動をサポートしているキース・ネルソン。
(↓良い曲です!)
彼の超ロングインタビューから、興味深い箇所を抜粋して訳をお届けしていますが、今回はその後編。
予想もしていなかった人の名前が飛び出してビックリでした!
今回のテーマは…
「人生が変わるその瞬間」
「人生は偶然の連続」
「店に来たホームレスは救世主」
です。
I: インタビュアー
K: キース
「その瞬間」をどう捉えるか次第
38:20
(前回記事の「人生を変えた瞬間」の話を受けて)
I: 今振り返ってみて、そういった予期せぬ幸運や人生を変えるような偶然に出くわした時、キミの反応はどうだったの?
言ってしまえば、ブライアンはキミの人生を手助けする筋合いはなく、キミもまた偶然一人の客に言われたことを真に受ける必要もないわけでしょ?
K: んー、よくわからないけどね。
僕らは皆それぞれに自分が考えるアプローチや意見を持っているけれど、人間、時には他人からのアドバイスを素直に受け入れるだけの謙虚さが必要だと思うんだ。
キミがA地点からB地点までたどり着きたいと思っているなら、実際にそれをやってのけた人に方法を訊かなきゃいけない。
あれが幸運な巡りあわせだったのか、それとも何か神様の力が働いたものなのか知らないけれど、オレが言えるのは、「オレが彼の話に耳を傾け、実践したらそれが上手くいった」ということだけだよ。
多分あの日、彼はGuitar Center のスタッフ4人ぐらいと話したと思うし、他の連中とも同じような話をしたかもしれない。
でも、その話をここまで深く受け入れたのが偶然オレだった、というだけかもしれないし。
I: こういう話を聞くと、いつもめぐり合わせってすごいなと思うんだよ。
もしブライアンがその日その時、角を右に曲がらずに左に曲がっていたら、彼はGuitar Center に来てなかっただろうし、キミに会うことも無かった訳で。
人生は偶然の繰り返し
40:10
K: 似たような話がつい二週間前にあったよ。
オレは外出しようと思い、家の前で自分のバイクにまたがったんだけど、そこで急に忘れ物に気付き、また家の中に戻ろうと思った。
その時、偶然にも向かいの家に住む男も同じようにバイクに乗って出かけるところだった。
で、オレは忘れ物を自分のカバンに入れ、もう一度バイクにまたがって家を出た。
すると、1.5 kmほど行った交差点の真ん中で、ついさっき見たその隣人のバイクが粉々になっていたんだ。
辺りにはガソリンが漏れ、まだ救急車も到着していないような状況、多分オレは第二か第三発見者だったと思う。
居合わせた人が何とか彼を歩道に避難させたところだった。
もし、オレがあの忘れ物に気付いた時、「いや、まぁいいか」と思って家に戻らずに出発していたら、オレがその事故の当事者になり得たんだ。
説明は出来ないけど、オレ達の人生にはこういう偶然ってのが起きるものなんだよな。
店に来たホームレスは…
41:15
I: どうやってドラッグから抜け出したか訊いても大丈夫?
K: あぁ、良いよ。
オレが「何とかしなきゃ」と思ったきっかけは、ある朝鏡を見た時、「これ以上生きたくない、でも死にたくもない」と思ったことだった。
この「前に進むのも後退するのも怖い」という感情を持った時、オレは「誰かに助けを求めなきゃ」と思えた。
実はこの頃、オレが働いていたGuitar Center には、ホームレスみたいな男が顧客にいたんだ。
見た目も汚らしくて、腕にも出来物がたくさんあって肌がボロボロ。
オレは初めて彼を店で見た時、店長に「ホームレスが入って来たんじゃないですか?」と言いに行った。
すると店長は、「いや、あれはホームレスじゃない。彼はウェスト・アーキーンだ」と言うんだ。
そう、Guns N’ Rosesとの共作で知られている人で、”You’re Crazy” とかいくつかの曲でクレジットされているはずだ。
(*実際には”It’s So Easy” ”Bad Obsession” “Yesterdays” など)
で、オレは彼を接客したんだけど、もうとんでもないドラッグ中毒野郎だった。
「そのうちジャムろうぜ!」って電話番号を渡されたんだけど、内心「とんでもない!」って思たよ…。
オレも荒んでたけど、あそこまでじゃなかったからさ。
I: だよな、別次元って感じだ。
K: その後、しばらく姿を見せなかったんだけど、数ヶ月後のある日、彼は戻ってきた。
見違えるような見た目で、腕の肌もきれいになって、こんな感じで足取り軽やかに入ってきたんだ。
オレは「おい、一体どうしたんだ!?」って訊くと、「シラフになったのさ。キミもいつか試してみると良いよ」と。
そう言い残して彼は店を出て行った。
シラフへの第一歩
43:10
そして、さっき話した「鏡を見て目覚めた瞬間」があり、最終的にオレは彼に電話し、「キミの助けが必要なんだ。力になって欲しい」と頼んだのさ。
I: 「彼」ってウェストに!?
K: あぁ、そうさ。
I: なんて皮肉なことなんだ…
K: だろ?
で、彼はオレに「もう残ってるクスリは無いな?」と訊くから「あぁ、もう無い」と。
もちろんウソだった。(*多分、ウェストもわかってたでしょうね・笑)
彼は、「じゃあ、5時に迎えに行くから一緒にミーティングに出よう」と誘ってくれた。
その後、オレは残っていた最後の一発をキメてから、迎えに来てくれたウェストとご飯を食べに行き、シラフになるための最初のミーティングに連れて行ってもらった。
90年代のウェスト・ハリウッド
44:20
この集まりが行われていたのは、夜中の11時・ウェスト・ハリウッドの「ボーイズ・タウン」だ。
これがまぁ、すごい集まりで、まさに ”freak show circus”(奇人・変人の集まり)といったところさ。
I: その「ボーイズ・タウン」ってのは何なの?
まぁ、主にはLGBTの人達が住んでた一角なんだけど、言ってしまえば、何でもありって感じのコミュニティさ。
イーストLAとかコンプトンみたいな意味の危なさではなくて、もっとこう…「狂ってる」という感じかな。
トランスジェンダーの人が隣に座ったかと思えば、通りかかったホームレスの人が入って来て参加したり、別の誰かはわめき散らしてたり…そういった意味のクレイジーさだね。
まさに「どんな人も受け入れるホーム」という感じだった。
でも、ここに参加したことが、オレにとってはドラッグから抜け出す最初の一歩になったんだ。
終/