【本祭レポート】真利子哲也レトロスペクティブ
本祭レポートの初回は、
初日の1プログラム目を
振り返ります!
お届けするのは、トークを担当した
野口です。
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11月26日(土)16:45~
真利子哲也レトロスペクティブ
●登壇ゲスト
映画評論家 松崎健夫
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第19回京都国際学生映画祭の
オープニング企画は
真利子哲也レトロスペクティブ!!
トークショーのゲストは
真利子監督の同級生であり、ご友人
映画評論家の松崎健夫さんです!!
作品のイメージとは
また違った真利子監督のお話を
松崎さんから伺うことができました!!
MCは協賛企業である京都祇園屋さんのお着物を着た望月さん。
まずは、実行委員の野口より企画の説明です。
野口「今年で19回目を迎える本映画祭ですが、第7回の本映画祭にて今回上映した『マリコ三十騎』がグランプリを受賞しました。
そして10年以上の時を経て、今年真利子哲也監督は、『ディストラクション・ベイビーズ』を公開されました。
本映画祭はぜひとも真利子哲也監督の学生時代の作品を多くの方に観ていただきたいと思い、この回顧上映を企画させていただきました。」
そして、ここから約30分、松崎さんに真利子監督について話していただきました。
一部を抜粋してここに記させてもらいます。
野口「今回上映した『マリコ三十騎』『極東のマンション』をどのように評価されていますか?」
松崎「学生のころから、今でも真利子監督の作品には繋がるテーマがあります。
それは、なにがリアルに見えるのかということです。
『マリコ三十騎』では自分の祖先が海賊だったという話が出てきますが、「本当か?(笑)」って思いますよね?
でも、そんな突飛な設定を、大学の教授から告げられるというワンクッションを置くことで、その設定に本当っぽさ・リアルさを追加しています。
最新作の『ディストラクション・ベイビーズ』も、どうすれば喧嘩をリアルに見せれるかを追求していましたね。
『極東のマンション』でも、お母さんが出てくるじゃないですか?主人公の真利子くんに
「なにやってんの!」「ちゃんと服を着なさい!」とか言う(笑)
あのシーン、ほんとに怒られてみたいだけど、あそこのセリフって全部、脚本にあるんです。だからあのシーンって、お母さん自体は出てこなくてセリフだけじゃないですか、
あれは脚本読みながらセリフ言ってもらって、その音声だけ使ってるんですよ(笑)」
野口「真利子監督作品は“リアル”以外にも“暴力”というテーマもあると思うのですが
なぜ真利子監督は“暴力”をテーマにされたのだと思われますか?」
松崎「真利子監督の作品に“暴力”、というより“過激な表現”が出てくるのは、テーマというより映画を観てもらう、作り続けるためには“必要なもの”だと思っているんですよ。
『マリコ三十騎』では裸で大学走り回ったり、『極東のマンション』では飛び降り自殺をする人の視点の映像とかの“過激な表現”が出てきますよね。ああいう映像があれば、人はその映画を観たくなるんですよ、
学生映画なんて作っても観てくれない、でも観たことないものが映ってるよというフックがあればみんな映画を観てくれるし、観てくれれば次の作品を作ることも可能になるんです。
それは『ディストラクション・ベイビーズ』でも全く同じことが言えますね。
その“過激な表現”というのが、なぜ人による“暴力”になったのかはよくわかりませんが、僕が考えるには、今の時代、日本以外世界中に様々な問題があって、その不安や憤りなどを“暴力”という形にして表現しているのかもしれません。それは意識的というより無意識的かもしれません。
野口「真利子監督は今後、どうなっていくと思われますか?」
松崎「さっきも言ったように、真利子監督は自分の映画をどうやったら観てもらえるか?どうやったら作り続けられるか?を考えています。
それに加えて、真利子監督は“自分にないもの”を求めています。
『イエローキッド』でもボクシングがモチーフとして出てきますが、彼は脚本書くまで、全くボクシングのことを知らなかったんですよ。
でも、自分が全く知らないことだからこそ、それについて深堀りできて“リアル”を追及できるんですよ。
『ディストラクション・ベイビーズ』でも脚本を自分だけでなく、自分の知らない外のものを入れようと、舞台の松山出身である喜安浩平さんと一緒に執筆されてますよね。
こんなふうに、自分のないものを取り入れて映画を作ろうってのは突き詰めれば、「どんな映画でも作れる!」ってことなんですよ。
だからね、僕は真利子くんは早く「壁ドン」の映画作ればいいのに!って思ってます(笑)」
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次は初日の2プログラム目をレポートします!