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アマデウスの旅11-司教と別れウィーンへ

2021.05.16 11:10

1780年半ばの頃、ザルツブルクのアマデウス・モーツァルトは戦争でバイエルン選帝侯になったカール・テオドールから翌81年の謝肉祭用のオペラを受注した。宮仕えの彼は大司教の許しをもらって、11月5日にミュンヘンに赴く。これがモーツァルトの悲劇「イドメネオ」である。近来このオペラはモーツァルトの傑作と見直されている。

ストーリーはギリシア伝説から取ったオペラセリアだが、音楽はもうそこを越えている。まず壮大な管弦楽で奏でられる序曲、そして音楽が統一性をもって切れ目なく動いていく。さらにフランスオペラから取り入れたバレエも入れ、クライマックスの音楽は悲劇的壮大さ満載である。

オペラの初演は81年1月29日に行われ、2月と3月に再演が行われた。しかしアマデウスの休暇はとっくに切れていたのである。そんなとき、くだんの大司教からウィーンにお呼びがかかった。ウィーンのお歴々に音楽を聴かせてやるためだった。アマデウスはチャンスとウィーンへ行く。

しかし、彼の身分は司教配下の演奏者である。招待を受けてもお伺いを立てねばならない。ついにアマデウスはブチ切れ、5月9日に大司教と大喧嘩をしてしまう。大司教からは「この小僧」とか「ごろつきの横着もの」と言われたらしい。そして翌日、アマデウスはザルツブルクを辞職してウィーンで自立する、25歳。