顔面加工について
先日こんなTweetを見かけて、Twitterにいくつか書いてたのですがまとめておきます。
最近本当に増えましたよね。Photoshopで過度にポスタリゼーションかけたような加工写真とか、顔面加工しすぎて原形とどめてない写真とか。
撮影会モデルの中には「ネット掲載前に確認要」という方がいらっしゃいます。
自分も何人かそんな方を撮影したことがあります。
確認要としているのにも理由が皆さんいろいろでして、以下のような理由を話されていました。
- 以前、半目等のあり得ない写真を掲載された
- 下着等が写っていないか確認したい
- コンプレックスのある部分等が写ってないか確認したい
- 念のための確認
それらならバルクで確認していただいてまとめてOKもらった者の中から掲載するだけなのでたいしたことではありません。NGショットがあった場合に管理がややめんどくさいですが……
ところが、確認要と言いつつ実は「顔面加工要」という方がいらっしゃいます。何人かそういう方を撮影したことがあります。
顔面加工要はコスプレ界隈ではよく見られるキーワードですが、コスプレは500歩譲ってまぁ若ランではないんですよ。メイクや衣装だけではいかんともしがたいところもある程度直して世界観出したい、というのはわかるので。
ただポートレート撮影だった場合はどうでしょうか。難しいですね。
人にもよるとは思いますが、ポートレート撮影って一応撮る側としては可愛いと思えるショットを撮影・セレクト・現像してお渡ししているので、「それではダメなんだ、加工しないと……」と言われてしまうと、なんだか自分が撮ってる写真じゃなくて良くない?って気持ちになりませんか?
加えて、加工そのものより加工することで画質等、こだわって現像して出力している者が超絶劣化するからです。色空間、色合い、出力するJPEGの圧縮率、解像度、全部こだわって出力しているわけです。これらすべてを台無しにしてしまうのが「加工」です。フィルム時代で言えば現像してプリントした写真を落書きしてさらにそれを撮影した者を出力結果として出してください、となるわけですね。
正直、カメラマンからすると自分のポートフォリオにもなる訳なので、数ある写真の中に劣悪なコンディションの写真が混ざってしまうことになります。写真を撮るために撮影してないカメラマンならそれでいいのでしょうが……
また、よく重加工とか書いてる人もいますが、果たして皆さんカメラマンにちゃんと許可を得てるんでしょうか。カメラマンは最初から重加工前提で撮影することを承知しているのでしょうか。
写真には一応著作権があります。
著作権法
(定義)第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(著作物の例示) 第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
八 写真の著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
作品的な者でなければ著作物ではない、という厳しい言い方をしているケースが見られますが、それは感覚的な者であって、構図や設定、ライティングを工夫して写真作品として自分が工夫したと思っていればそれは著作物に該当します。
ポートレート撮影ならほぼすべての場合該当しますよね。ただし、同時にモデルの肖像権も認められており、モデルはネットへの掲載を拒否することができます。
なので顔面加工しないと公開NGだがカメラマンが著作権としてNG、となった場合、何も公開できず、フィーを支払って撮影したカメラマンがほぼ丸損になってしまいます。
また、カメラマンに無許諾で色合いを変えたり、顔面加工するのは著作権法違反です。ただし著作権法違反は親告罪なので、カメラマンが訴えなければ罪にはなりませんが。
確認要とだけ書いて実は顔面加工必須とされてしまうと、カメラマン側からすればそういう人を避ける術がありません。顔面加工NGとしたくても肖像権を盾に公開NGとされてしまったら丸損だからカメラマンとしては顔面加工を飲むか、損してでもポリシーを貫くか、となってしまいます。
そんなわけで僕の考えとしては顔面加工は僕自身の写真への否定でもあるので、NGとは言いませんが、撮影優先度としてはかなり下がることをご了承ください。
個人的な考え方で行けば、そのような重加工の写真を撮影して欲しいならば、相互無償か、むしろカメラマンにフィーを払ってRAWデータを買い取る位の気持ちで撮影されてはいかがでしょうか。
そんじゃーね