金剛の杵(きね)から(令和3年5月法話)
誰もが動かせなかった金剛の杵を、菩薩である金剛手菩薩が自由自在に扱ったのを見た大衆は、
「まことに不思議です。菩薩の偉大なお力を拝見して、ようやく信じることが出来ました。
私達にも、その最勝の力を与えて下さい」と。
お釈迦様が説かれます。
「菩薩が神通力を獲得するには、10法を修行したからである。
第1は、自分の命を捨てても、終生正法を捨てないこと。
第2は、全ての人に対して謙遜し、まだ最上の法、悟りを得ないのに、得たと思って高ぶってはいけない。
第3は、劣っている弱い多くの人々に憐れみを掛けて、これに損害を与えないこと。
第4は、飢え渇きに苦しみ悩んでいる人々を見れば、喜んで最上の食べ物を与えること。
第5は、常に恐怖に襲われている多くの人々を見れば、その人々に安楽を与えること。
第6は、病気の為に呻き苦しんでいる人々には薬を与えて、その病気を治療してやること。
第7は、貧乏な人々には恵みをたれて、貧困の境遇から救い出してやること。
第8は、仏の塔廟または形像を見れば、その廟を清浄し、その像を塗り清めること。
第9は、常に喜びに満ちた言葉をもって、多くの人々を慰めること。
第10は、重荷を担って疲れて困っている人々を見れば、その重荷を助けてやること。
この10法は、口には言いやすいが、これを実行するということはなかなか出来ないものだ。
その中にただ一つでも、普通人の到底なし得ざるものである。
この上なく難しい10法を完全に修行した結果、
金剛手菩薩のような最もすぐれた神通力を獲得することが出来るのである。
高慢で、へりくだることが嫌いな人や、自尊心の高い人々では出来ないのである。
今後、この10法を修行して、大人格者となるように努力するがよい」と。
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尊いお釈迦様の教えを聞いても、にわかに信じることが出来ない私達に
仏様は「仏智不思議」を見せて下さいます。
しかしこれは仏様の「方便」なのですが、
この仏様の方便の縁に会えることが難しいのです。
「仏縁(ぶつえん)」ある人であることがポイントです。
この仏縁は、仏様の側に行ってお参りすることで結ばれることが出来ます。
勿論、他にもありますが、仏様のお側に行ってお参りし、掃除など仏様の喜ばれそうな事をすることです。
一度よりも、二度三度と回数多いほど、仏縁は深まっていきます。
そうすることで、仏智不思議を授かったり、
仏智不思議よりも大事な「仏様の教え」を授かることが出来ます。
仏様の教えは、私達が幸せになるための方法です。
幸せになる方法を知らなければ、幸せになることは出来ません。
今回、10法を教えて頂いています。
この中の1つでも、実践してゆくように心掛けて頂きたいと念願します。