天使の手袋 第2話 新月の夜
天使の手袋
第二話 新月の夜
ある月が見えなくなる新月の夜のこと。
男性は天使が届けてくれた
「天使の手袋」
をつけて
「今の気持ちを何て言おう」
1人心躍りながら、いつもより早足で彼女の
元へ向かいました。
半月の夜は、勇気がなく彼女の元へ行けず
時だけが経ってしまったのです。
ふと空を見上げると、雪が降り始めました。
「あの時も、そういえばこんな雪が降ったな」
いつもすれ違ってしまう
彼女と自分の心のすき間に降る雪を想い出しました。
なんとなく、男性は心が焦り始め
いつもは必ず青信号で渡るところを、
はやる気持ちを抑えきれず
赤信号で渡ってしまうところでした。
高鳴る鼓動を抑えながら、
横断歩道をちょうど渡りきったとき
偶然彼女が目の前を通りました。
「やった!」
と思った瞬間、
別の男性が
「ごめん、寒い中待たせたね」と
彼女の肩をぐいっと抱き寄せました。
何と言うことでしょう。
彼女との心の距離は、すでに手の届かぬはるか遠くへと
離れてしまっていたのです。
男性は、また勇気と希望をなくしてしまいました。
「・・・寒いな、手は温まったけど、
心はまだ凍えるように寒いよ。
僕には天使はいないのかな・・・」
そう1人ぽつりと言い、
夜空を見上げましたが、
月も天使も男性には見えませんでした。
天使の手袋 第三話 最終回 「満月の夜」につづく
※2016年12月25日公開予定
-words by Mika Ohmae-
-photo by ZedLord-Art-
※2016年12月14日 9:06分 満月 (双子座)
【作品補足】
“天使と悪魔”
短編小説
(ショートストーリー)
“都会にある心の忘れものをみつける旅へ
ようこそ。
天使がひととき地上に舞い降りて
大人になったあなたへ
奇跡のショートストーリーを贈ります”
三部作の第二部
「天使の手袋」
※株式会社サイバーエージェント運営
@womanプラチナブロガー時代に連載した作品。