英語ディベートってどんなもの?受験においてどうなの?
みなさんこんにちは、初めまして!今年の秋から University of Pennsylvaniaに進学予定のせなです。最近はミャンマーにとって軍事介入か経済制裁のどちらが効果的なのかを考えてるといつの間にか日が暮れて行きます。
今回のテーマは日本でちょっとずつ注目を浴びているもの…
『英語ディベートってどんなもの?受験においてどうなの?』について話して行きたいと思います!あくまでも個人的な意見にはなりますが、海外大同期の中でもディベートとの関わりが多かったため、ディベートに興味がある又は既にやっている皆さんの参考になれば幸いです。
結論から言うと、受験においてどういう立ち位置をしめるかはやる気次第で大きく変わります!
読者の方々の中にはディベートマニアからディベートについて全く知らない人までいろんな方がいらっしゃると思うので、以下、4部構成で説明していきたいと思います。
1) ディベートってなんなのか?なんで大事なのか?
初めにディベートとは何かの紹介をしたいと思います。
ディベートには大きく2のパターンがあります。
a)即興型
論題が試合の20~30分前に発表される即興型のディベート。その場でランダムに肯定側と否定側に振り分けられた後、決められた時間内にチーム(基本的に2~3人)で準備し、試合を行います。準備時間中は基本的にネット検索などは禁止されています。
b)準備型
論題が大会の数ヶ月前に発表される準備型のディベート。チームで数ヶ月図書館やパソコン室にこもって、ひたすら両サイド分の資料を集めたりデータを回収したりします。当日肯定側と否定側に振り分けられ、用意した資料をもとに試合を行います。
国内で開催されている大会は基本的にこの二つのパターンに分けられます。しかしながら、世界大会は少し特殊で、「ワールズ方式」というフォーマットが採用されます。こちらは試合の半分が即興型で半分が準備型という特殊な形式で、瞬時的論理思考力かつ情報収集力が求められます。
2) ディベートをやってみてなにを得られたか?
ディベートを通して様々な有益なスキルを学ぶことができたと思っています。
a)純粋な英語力
英語ディベートを通して新しい単語も身につくほか、英語でスピーチを聞くのでリスニング力もつくと思います。多種多様な論題についてディベートできるような知識をつけるため、多岐の分野に渡る英語の記事 (New York Times, The Economist等)を読む習慣もつき、読解力や理解力も上がりました。最近だとバイデン政権vsアフガニスタンが面白い展開になってきましたね。個人差はありますが、実際自分の周りには海外経験もない中、英語ディベートを通して望んでいた英検/TOEFLレベルまで上達した友達はたくさんいます。
b)論理的思考力
曖昧な意味合いで『論理的思考力』という言葉が使われるようになって久しいですが、具体的にはどのような力なのかが説明されていない気がします。ここでは僕が考える、ディベートで身につく「論理的思考力」を定義させてください。
1つめに、物事を色んな視点から見られるようになるということだと思います。絶対に自分の意見が正しい!と信じ込むのではなく、自分の意見に賛成していない人はなぜ賛成していないのを考えることがディベートでは重要です。例えば、動物実験廃止したい!と頑固に主張するだけではディベートに勝てません。廃止しない理由を考えることはディベート上とても重要で、その中で柔軟に物事を考えることも出来るようになると思います。
2つめに、時事問題について頭を使って考えられるようになることだと思います。自分はディベートする前はニュースを見ても「へーそうなんだ」、と深く考えず鵜呑みにして生きていました。しかし、ディベートをすると、なぜ今イスラエルとパレスチナは争っていて、どのような解決策があるんだろう?タリバンとアメリカ軍の関係は?炭素税は効果あるのか?プラスチックストロー導入で何か変わった?などと学習意欲が飛躍的に上がった気がします。日常会話においても色んな分野に興味がある人と話が合うようになりましたし、雑談も深くなったりするので今まで以上に人生を楽しむことができています。
3) ディベートと受験の繋がり
それでは肝心な質問にようやく入ります!前提として『受験』のためにディベートをするのはおすすめしません。興味のない活動をするのは時間の無駄ですし、意味がないのでやめたほうがいいです。これはあくまでも僕の個人的な主観なので、参考程度で読んでいただければ幸いです。
a)国内
国内に関しては国立私立に関係なく、総合型・推薦入試で大きく役立つと思います。そもそもグローバル化が進み、生徒の海外進出や交換留学も増しているこの情勢下において、国内大学は英語を喋れる人を集めたいというスタンスです。課外活動の欄でアピールできる他、英語が堪能であるという点もボーナスになると思います。もちろん英語の検定試験のスコアアップにもディベートは役立つのでまさに一石二鳥です。
また、書類だけでなく、2次選考でグループディスカッションや面接がある大学に関してもパフォーマンスは発揮できると思います。自分は国内大学を受験していないのでいまいち各大学の状況はわかりませんが、周りにディベートを自己アピールの軸としたアプリケーションで様々な大学に総合型・推薦入試で受かった人はいます。
b)海外
海外大の入試ではディベートをするだけでは自己アピールにはなりません。具体的にその活動を通して何に貢献したかが明確になって、初めて実績として使えると思います。これはどんな活動においても同様です。あくまでも自分の場合にはなりますが、自分は学校のディベート部の部長でした。ただ部長としたという事実だけでなく、具体的に部長として行ったこと(活動の工夫・どのように部活を強めていったか)をアピールしました。アメリカでは日本以上に論理的に考える人を重宝します。ウォール・ストリートのレポートによると、全国規模のディベートの実績を取っていたりキャプテンだったりした人は、20~30%ほどほかの課外活動をしていた人に比べて大学に受かる確率が上がるデータは出ています。(https://www.pbs.org/accidentalhero/parents/college.html#:~:text=State%20and%20national%20award%20winners,%2C%22%20according%20to%20the%20report.)
しかしながら、ディベーターがたまたまもっと良いエッセイを書いたり成績がよかったりすることも考えられるので、データを鵜呑みにするのはよくないと思います。もちろん、「大学に受かる」という定義も曖昧なので、あくまでも参考程度に。
また、ディベートをしている人口は世界的に多く、ほかの人と差別化するのが難しいため実績のためにディベートをするのはおすすめしません。自分の場合はディベート以外のことにあまり興味を持てなかったので、ディベート一本で行きました。ほとんどの課外活動はディベート、実績もディベート、推薦状もディベート関連満載でしたがこの策は我ながら危なすぎたと考えているので、自分を構成する一要素ぐらいの気持ちで取り組むことをお勧めします。
4)自分のニッチな話
ここまではある程度抽象的な話を行ったので、簡単に自分の経験について色々と語って行きたいと思います。ディベートを始めたきっかけは、なんとなく英語で議論するのって楽しそう、という軽いノリでした。初めての試合を行った時は、自分がもともと賛成する側でディベートを行うことができたので楽しかったのを覚えています。しかし、初めて自分の本心のスタンスではない側でディベートをした時は(酒類を禁止するべきである)躓いてしまいました。基本5分話すところ、1分ほどしか話すことができず、何を言えばいいか全く分かりませんでした。こんな頑固な自分にディベート続けるの難しいと思ったのに対して、コーチはたくさん自分の肯定側が何を言えるか教えてくださいました。そんなアドバイスを聞くうちに、いつの間にか、禁酒法についてニュートラルなスタンスになったのを覚えています。このように色々な論題を一方的に見るのではなく良いこと、悪いこと両方で見る大切さを実感しました。また、ディベートに励む理由の一つとしては初めて出た大会で残念な負けをしたからです。これは準備型の大会で、夏休み毎日6、7時間かけて準備していました。絶対優勝するぞ!という意気込みで励んだのに関わらず、準々決勝で負けてしまいました。特に勝ったと確信していた試合だったからこそなおさらダメージは大きかったです。その時にパートナーとの二人の努力が全部無駄だと思い、悔しくて泣いたのが忘れられません。正直その大会で心が折られ、ディベートをやめるか非常に悩みました。でも、なぜかここでやめるのは悔しくてやっぱディベートが好きで続けたいと思い、退部届けを破り捨てました。この時響いたのがコーチの言葉で『勝ち負けも大事だが、この競技が好きでなければ参加する意味がない。楽しめるならそれで一番。』という言葉でした。それ以降、勝ちには全く拘らず純粋に楽しむことに集中しています。新しい英単語を覚えた時はどうやってディベートに入れようかということが真っ先に頭に浮かんだり(epistemeとrobustなどなど)、授業中質問するのにもPOI(Point of Information、ディベート中に相手に異議を唱えたいときに使う質問の型)っぽく言ってみようかなということが思い浮かんだりと、僕は完全にディベートに取り憑かれてしまいました。ニュースを見る際の心構えも変わりました。例えば、ジェンダーの問題が原因で精神的に大変な思いをする人のニュースを見た際、メールで Mx. 〇〇って書くのがふさわしそうだな、マルクスを読んでみよう、などと思うようになりました。
ディベートを始めてそろそろ2年半ぐらいになります。高校ディベートを通して素晴らしい経験を多々できました。全国大会の成果によりイギリスに二週間派遣される副賞を頂きロンドンのディベートキャンプでジェラートを食べたりしました。他にも韓国や上海の大会にいく機会があったりして、一人でとんでもないスイートルームに泊まることができて興奮したりしました。ポラロイドで撮ったみんなとの写真は一生の記念です。今ではオンライン大会がたくさん開催され、ベッドでも世界大会に参加できるようになりましたが、それもそれで寝癖を気にせずスピーチをできるので満足します。単純に学校の帰り道にくだらない議論をしたりするのが一番懐かしく思う事かもしれません。
今でも、電車乗りながらニュースをチェックしたり、フォルダーに上手なディベーターの音源を回収したり、資料のノートブックを作ったりするのが趣味です。ディベートのお陰で幅広い分野に興味を持つことができる。ギャップイヤーながらとても忙しく楽しく毎日を過ごせています。
5) 結論
ディベートは現状日本ではあまり注目されていないと思います。特にメディアではディベートは『論破』する競技として誇張され、その影響もあり周りにディベートをしているというと怖がれることもあります。ディベートとは様々なトピックに興味を持ち、頑固な意見を貫かないことを目的とする、言語のスポーツである。このことを今回は知って頂けると嬉しいです。自分はディベートを通して学習意欲も上がり、もっと論理的に、丁寧に様々なトピックを理解することができるようになりました。受験に限らず、自分の成長の面でもメリットもあるので是非興味ある人は試してみて欲しいです。もちろん興味がなくてもこんな競技があるんだということだけでも頭の隅においてくれると幸いです。
また、今年の夏World Schools Debating Championship という大会がオンラインで開催されます。HEnDAと言う団体のfacebookに情報が掲載されています。日本にとって初めて決勝ラウンドを賭けた大会となり、自分も日本代表のメンバーの一人として参加します。よろしければ応援よろしくお願いします!
長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!