中国に関する質問(二十七)
★【中国では、女優と監督を兼任する女性映画監督が多数いる】
【質問】
年明けから国立映画アーカイブ(東京・京橋)で開かれていた中国映画特集で「青春祭」を観て感動しました。監督は張暖忻という1940年内蒙古生まれの女性で、繊細ながらもリアルな感性が光っていたように思います。それにしても、中国ではずいぶん前から女性の映画監督が活躍していたのですね!そのへんの事情がわかれば教えてください。
【回答】
張暖忻は、懐かしい名前ですね。日本では、かつて中国映画祭で張監督の作品である「青春祭」、「おはよう北京」、「雲南物語」などが上映されました。ほとんどの作品の中、女性が主人公だ。とても残念ですが、張暖忻は長い闘病生活の後、1995年に亡くなりました。
もう一人の女性監督の黄蜀芹(ホァン・シューチン)は1939年生まれ、張暖忻と同じ時期に活躍していました。黄監督の作品である「舞台女優」、「画魂」にも日本では上映されました。現在、黄蜀芹は中国電影協会理事、上海電影協会副会長を務めています。
現在活躍している女性監督の代表と言えば、李少红(リー・シャオホン)の名前をあげたいです。李少红はバラエティー番組にも活躍しているようです。李少红は数年間軍隊の体験があり、1978年に北京電影学院の監督学校に入学、1982年には監督として北京電影製作所に配属された。監督作に「大明宮詞」「紅楼夢」などがあります。 最近、李少紅はマスコミの取材に応じて、こんなエピソードを披露しました「私は1995年の世界女性会議に出席した。その時よく聞かれた質問は『中国には女性監督が何人いるか』ということ。私は、北京電影製作所だけで20人以上の女性監督がいると言った」。
中国では、女優と監督を兼任する女性映画監督も多数います。例えば、1997年に北京電影学院を卒業した徐静蕾(シュー・ジンレイ)はいつも自身が監督を務める映画に演出します。つまり、女優業と監督業をうまく両立している。徐静蕾のブログも大人気で「ブログの女王」と呼ばれている。ブログの累計アクセス数が1億ページビューを達成した。
2003年、徐静蕾は日中合作作品の「最後の恋、初めての恋」で日本俳優の渡部篤郎と共演しました。同年、徐静蕾の監督作である「私とパパ」が第16回東京国際映画祭で上映されました。2010東京・中国映画週間にて徐静蕾が監督兼出演の「上司に恋する女」が上映されました。 中国の女性監督は映画に影響を及ぼすだけではなく、社会問題にも影響力を持つと考えられます。
女優・監督のジョーン・チェン(陳冲、チェン・チョン)は筆者が子供の頃のアイドルです。80年代の初頭に20歳の陳冲がアメリカへ留学、彼女は中国人の留学を先導してくれたといっても過言ではない。1998年には「シュウシュウの季節」で映画監督としてデビューしており、同作で金馬奨の最優秀作品賞と最優秀監督賞を受賞した。彼女は俳優としても監督としても中国でもアメリカでも大成功を収めていると言えます。
現在、ハリウッドで「中国生まれの女性監督」にも大活躍しています。38歳のクロエ・ジャオは北京に生まれ、ニューヨーク大学で映画作りを学んだ。昨年9月、イタリアで第77回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門の授賞式が行われ、クロエ・ジャオ監督の「ノマドランド」が最高賞にあたる金獅子賞を獲得しました。
先日発表されたばかりの2021年ゴールデングローブ賞のノミネーションでは、3人の女性監督が監督賞にノミネートされており、複数の女性監督が同賞にノミネートされるのは同賞の歴史上初めてとなる。クロエ・ザオは、「ノマドランド」で4部門にノミネートされ、アジア系・中国人女性監督として初めてゴールデングローブ賞にノミネートされたことになります。