vol.6【満月が、山の麓から、昇った】
私達の暮らす会津地方では、地元住民にとっても、故郷を遠く離れた人にとっても、「心の山」といえば会津磐梯山です。
福島県は県内の天気予報では「浜通り」「中通り」「会津」と地方別に分類され、実際には会津地方は千葉県以上に面積が広く、一言に会津出身と言っても磐梯山が見えない市町村に住んでる人も多いのですが。
…と、ここまでは前置きです。
先日、満月が磐梯山の麓から昇ってきました。
月が昇る方角って、真東からだったり北東からだったり様々なんですね。
月明かりが雲にも反射して幻想的でした。
「満月が 山の麓から 昇った」
最低限の文章とは主語と述語さえあれば成立しますから、最も短く書くのであれば
「満月が 昇った」
だけでも十分なのですが「山の麓から」とだけ加えてみました。
ここへまた「飾り」を加えた文章にする事も出来ますね。
満月が 山の麓から 美しく 昇った
満月が 山の麓から 朧げな輝きを放ち ゆっくりと 昇った
加えれば、加える程、長くなります。当たり前ですが。
とにかく「美しい」と感動した事をなんとか言葉に表したくて、努力は伺えます。
このページのvol.1では、「言葉に出来ない美しさ」というのをやめよう、何としても言葉に表現しよう、という提案がありましたものね。
飾り言葉をたくさん加えたとすれば、どこかで一呼吸しやすい様に句読点で区切るか、必要性を感じない飾り言葉をどれか削るかしかありませんね。
「満月が 山の麓から 朧げな輝きを放ち ゆっくりと 昇った」は、
「満月が 山の麓から 朧げな輝きを放ちながら昇った。ゆっくりと」
「満月が山の麓からゆっくりと昇った」
「満月が昇った。朧げに、ゆっくりと」
なんて添削も良いでしょう。
飾り言葉を加えずに表現を工夫する方法もあります。
ここまで挙げたヒントの中にも幾つもあるのですが
「文句の順番を変える」です。
要は高度な倒置法なのですが。
「満月が 山の麓から 昇った」
↓↓↓
満月が 昇った 山の麓から
昇った 山の麓から 満月が
昇った 満月が 山の麓から
山の麓から 満月が 昇った
山の麓から 昇った 満月が
基本形と合わせると、6通りに分かれます。
それぞれに印象が変わるでしょう。
単純に満月が昇ったという現象の説明なのですが、もしこれがポエムや小説の一文なら、
その前後にくる文章により現象説明だけではない事もあります。
つまり…
ポエムなら「書き手の心情」
物語なら「登場人物の心情」
ですね。
私は個人的に倒置法を多用します。
例えばここを遡っても
「加えれば加える程、長くなります。当たり前ですが。」と書いてました。
これもある意味、倒置法です。ただしこれは「文の硬さ」をほぐす目的です。何の心理描写もありません。
飾り言葉を加えずとも、文句の順番を変えるだけでそんな効果もある事を覚えるのも良いかもしれません。