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「みどり色のつりがね」プロイスラー ホルツィング

2016.12.16 12:30

ホッツェンプロッツでお馴染みのプロイスラーの絵本「みどり色のつりがね」が入ってきました。

絵を手掛けているのはプロイスラーとは「クラバート」でコンビを組んでいるヘルベルト・ホルツィングです。この絵本が本格的な絵本ははじめての作品のようですが、そんなことを感じさせない素晴らしい絵を見せてくれています。

お話はロシアを舞台にした不思議なおとぎ話です。

ある村のイワンというお百姓の畑から、青銅の釣り鐘が出てきました。

村の皆はこれを神様からの授かりものだと喜びあい、やぐらを建て、鐘を吊るし、お祭りの度にその鐘を鳴らしました。

鐘の音は周辺の村にまで響き渡り、聞いたものは皆、生まれ変わったような爽やかな気持ちになるのでした。

そんな鐘の噂をロシアの皇帝が聞きつけます。

傲慢で情け知らずの皇帝は、その鐘を自分のものにしようと村へ出向き、鐘を奪ってしまいます。しかしその鐘を運び出そうとしても、全く動きません。馬を六頭の馬で曳いても、十二頭の雄牛で曳いても、大勢の兵隊たちを使っても、その鐘を載せた車を動かす事が出来ません。

頭にきた皇帝は、自分のための鳴らぬ鐘など、二度と鳴るのを許す訳にはいかないと、鐘を粉々に壊してしまいます。

翌朝には雪が振り出しました。

イワンは畑が凍りつく前に、鐘をもとの土の中にかえしてやろうと畑を見てみると….。

お話は不思議な結末を迎えて終わります。

鐘を使ったメタファーというと、ラース・フォン・トリアー監督の傑作映画「奇跡の海」を思い出しますが、プロイスラーの紡ぎ出す物語は、シンプルながらもとても深い物語に感じられます。

そしてホルツィングの絵が素晴らしいのです。

人々の衣服の装飾や建築物の装飾、何よりこの物語の中心となっている「鐘」の美しさを見れば、この鐘の美しい響きが聴こえてくるようでもあります。

少し前にドイツ語原書版が入荷しましたが、すぐに売れてしまいました。

この日本語版は絶版になって久しく、中々手に入りづらい珍しいものですので、お探しだった方はお早めにお願い致します。

当店在庫はこちらです。

みどり色のつりがね」プロイスラー ホルツィング