自然素材にやすらぐ女性建築家の自邸_1
建築家・熊澤安子さんの自邸は、設計事務所のアトリエを併設した兼用住宅です。
朝、訪ねると、熊澤さんは緑豊かな路地の植栽に水やりの最中でした。いわゆる「旗竿敷地」や「敷地延長(敷延)」と呼ばれるような土地。旗の「竿」のように細い路地で道路と敷地がつながっていて、熊澤さんはその細い路地の両脇に雑木林のような自然風の植栽をほどこしました。
建物の配置と周辺の状況↓ 赤い△のところが敷地入り口。
20mほど緑のトンネルの下を歩くと、ようやく建物にたどりつきますが、まだ玄関は見えません。左手には建物にビルトインされた駐輪スペース。玄関を目指し、右側を奥へと進みます。
完成から9年がたち、今では緑のトンネルのようになって奥が見通せないほど。白いブラバンシアの郵便受けが緑のなかで映え、ここが敷地への入り口であることを控えめに伝えています。
振り返るとこんな感じです。落葉樹をメインに、足元には山野草があしらわれ、風情のある庭です。路面には大谷石が敷かれています。大谷石は栃木県産の柔らかい石で緑との相性がよく、雨にぬれても滑りにくいといったメリットもあります。そして、年月や使用とともに風化していきます。欠けたりすり減ったり凸凹が大きくなったりといった変化を許容できるかどうか、採用する際には検討が必要です。
さあ、先へ進みましょう。
玄関へと続く屋根付きの通路沿いにはベンチがあります。荷物の一時置きなどに便利ですね。突き当り右手に玄関ドアがあります。
玄関前には小さな中庭が開けています。ガラス開口部の向こうは熊澤さんが主宰する設計事務所のアトリエです。木のフェンスと建物、緑に囲まれたプライベート感のある庭でありつつ、アトリエの様子をさり気なく見せることで、お客様を迎えるための雰囲気がつくられています。
振り返ると、自転車置き場とを隔てる白い壁に緑が映えて、しばしため息。
次の記事では、玄関から中へと入り、室内の様子をレポートします。
この住まいの様子を、動画で体験することができますので、よろしかったらご覧ください。
設計 熊澤安子建築設計室
所在地/東京都
家族構成/夫婦+子供1人
構造・規模/木造2階建
敷地面積/ 218.97㎡
延床面積/142.44 ㎡
各階床面積/1階 74.32 ㎡、2階 68.12 ㎡
竣工/2012年 6月
施工会社名/幹建設 https://mikiken.co.jp/
造園/風(ふわり) https://www.87fuwari.com/
家具製作/Hao & Mei http://www.haoandmei.jp/
【外部仕上げ】
屋根/ガルバリウム鋼板平葺き、一部縦ハゼ葺き
外壁/左官仕上げ
【内部仕上げ】
玄関
土間/大谷石
床/唐松フローリング
壁/漆喰
天井/OP
照明/株式会社ケック
建築金物/ドアノブ•施錠金物/堀商店
リビング、DK、玄関ホール、家族室、寝室、子ども部屋
床/唐松フローリング
壁/漆喰
天井/OP
照明/ヤマギワ、パナソニック、ダイコウ、オーデリック
ドアノブ/堀商店
キッチン/造作
キッチン設備機器/コンロ:リンナイ、換気扇:三菱
アトリエ
床/ナラフローリング
壁/漆喰
天井/OP
照明/ヤマギワ、パナソニック
ドアノブ/堀商店
トイレ
床/タイル/名古屋モザイク
壁/タイル/名古屋モザイク、漆喰
天井/OP
建築金物/堀商店
洗面所
床/唐松フローリング
壁/タイル/名古屋モザイク、漆喰
天井/OP
照明/ルイスポールセン
洗面カウンター/コーリアンカウンター(造作)
洗面器/T-form
洗面用水栓金物/グローエ
浴室 床/タイル
壁/タイル、サワラ縁甲板
天井/サワラ縁甲板
照明/パナソニック
ドアノブ/堀商店、中西産業
バスタブ/TOTO
和室
床/畳
壁/半田土塗り壁
天井/ガマ貼合板
照明/ヤマギワ、パナソニック
ドアノブ、堀商店
施錠金物/中西産業株式会社
その他
照明器具/フロス、ルイスポールセン、フレーム、ヤマギワ、ダイコウ、パナソニック
暖房方式/OMソーラーシステム 給湯方式/OMソーラーお湯取りシステム