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五耀會のデリー公演

2016.12.19 17:22

2016年12月10日、五耀會のデリー公演を拝見いたしました。公演から10日ほど経ちますが、まだその感動と余韻に浸っています。 

五耀會は、日本舞踊界を背負う舞踊家、西川箕乃助さん、花柳寿楽さん、花柳基さん、藤間蘭黄さん、山村友五郎さんの5人で構成された舞踊家のグループで、皆さんそれぞれ異なる流派の方々だそうです。


その五耀會の皆さんが、12月の第1週、デリーに滞在され、現地のスィタール奏者ファテ・アリー・ハーンさん、タブラ奏者のアマーン・アリー・ハーンさん兄弟、カタック舞踊家のサンギータ・バネルジーさん&グループとコラボレーションされました。主催は、国際交流基金ニューデリーセンター。私は、通訳として携わる機会を頂戴しました。  


最初の2日は、こちらの音楽家との創作作業。最初に、五耀會の皆さんから日本舞踊の紹介がされました。短い作品を踊られ、それをクイズ形式で解説されていました。


続いて、音楽家から、ご自身の家系や流派の紹介、スィタールとタブラの楽器や奏法とレパートリーの説明がされました。社会・文化的な背景に関わる点についても質疑応答がされていて、非常に興味深かったです。様々な質問からは、皆さんの好奇心と探求心が強く感じられ、常に色んなことを考えたり、疑問を持ったりすることの大切さを感じました。


また、日本側もインド側も皆さん海外でのご活動経験が豊富なので、それぞれの分野の特徴を、とても分かりやすく簡潔にご紹介され、瞬時にお互いの特徴を捉えて、コラボでどう生かせるかという発想に繋げられていました。 


休憩をはさんで、創作作業。日本舞踊の天女と漁師の物語「羽衣」は主にスィタールと、リズミカルで豊作祈願も込められた「三番叟」はタブラと共に創作されるとのことで、舞踊家の皆さんが、踊られるストーリーや曲のイメージを音楽家に伝え、音楽家がそれを音で表現するという形で進行していました。


 創作の過程は、Facebookの毎日新聞社国際事業レポートに連日掲載されていました。

(※画像をクリックするとリンクが開きます)

北インドの古典音楽は、拍子にバラエティーがあり、旋律も比較的自由…というか、その作品のためにセットされたラーガ(旋律)と拍子のサイクルに則った中での即興で、柔軟性に富んでいるため、もし日本舞踊に沢山の規則やルールがあったとしても絶対にマッチするだろうと踏んでいましたが、どちらのピースもすごい勢いで創作が進められ、一流の舞踊家と音楽家同士の創作の過程を拝見できたことは、本当に勉強になりました。舞踊や音楽は言語外の表現なので、その道の達人たちにとっては、殆ど通訳の必要がない雰囲気でした。 


また、カタック修行中の身として私が驚いたのは、日本舞踊がすごくカタックにソックリなことでした。カタックには、「ヌリッタ」と呼ばれるダンスの技術や身体表現をみせる純粋舞踊と、「アビナヤ」という演劇的な表現がありますが、まさに日本舞踊にも、それに似たそれぞれの表現が存在しているようでした。今回の場合だと、「羽衣」がアビナヤ作品で、「三番叟」がヌリッタの要素が非常に強い作品でした。 


続いてカタックとのコラボ。最初は、カタックのデモンストレーションと体験から始まり、コラボ作業へ。ここでも、五耀會の皆さんの広大なキャパシティーが垣間見られました。朝日、雨、自然など普遍的なテーマとリズムの掛け合いを、それぞれの舞踊で表現する場面が多かったのですが、それを5人で一瞬のうちに振付けられてかたちにされていかれていました!!


もちろん、ご本人たちにとっては当然のことなのかもしれませんが、私の心の中では感激と感動が止まりませんでした。舞踊はもちろん、お一人お一人が日常の仕草、お話、言葉遣い、ユーモアのセンス、教養…と全てにおいてスマートで、時間が許せばもっと色んなお話をしてみたかったです。 

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公演は、学術・芸術的なイベント施設が多く立ち並ぶローディー・ロードにあるチンマヤ・ミッション。プログラムは、最初に五耀會の皆さんの純粋な日本舞踊の作品、「七福神」、「早舟」、「船揃」、「夢の跡」、「河」でスタート。続いて、カタックとのコラボ作品、スィタールとの「羽衣」、タブラとの「三番叟」で幕を閉じました。どの作品も、それぞれ異なった良さがあって、あっという間の1時間半でした。 

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たまたま海外からデリーに来ていたインド舞踊関係のお友達や、こっちでインド舞踊留学をしている友人も、いたく感動していたと同時に、皆が口を揃えて「カタックと似てるー!!」の連発。デリー在住の日本人カタック修行者としては、デリーだけでなく、インドの舞台芸術が盛んな地域の人々にも、日本が誇る芸術を是非ご覧頂きたいです。 


強い衝撃と胸に残る感動、そして学びの機会を与えてくださった五耀會の皆様と国際交流基金ニューデリー文化センターの皆様に改めて感謝申し上げます。 

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