右近しのぶさん
わたしのぼうしの
パンフレットのモデルをして頂いた
福岡在住の右近しのぶさん。
約2年前に
カメラマンの児島由季子さんにご協力頂き、
しのぶさんの
わたしのぼうしと、ご自身が体験された癌に対する率直な気持ちをインタビューさせていただく機会がありました。
ここに
ご紹介させていただきます。
長文になります。
ある日突然、電話が鳴って「ガンですよ。」ていうお知らせがドンと来たんです。
私の場合はそうでした。
その日のその時間だけが止まってるかな。
思い出せない感じがします。
私がこの帽子と出会ったのは、ちょうど抗がん剤治療が始まって髪が抜ける頃でした。
友人もきっと、髪が抜けるよって言い出しにくかったんでしょうね。
何気なく2つの帽子がポーンて、黒いのと明るいのと送ってくれて。
何だろうこれ、なんかボロボロじゃん、って最初は思ったけど(笑)
(1枚は、ダメージ加工の生地)
多分友人は私なりに似合うカラーを選んでくれていたんだろうけど。
被ってみようかな、でもまだ髪の毛も生えてるしなーって思いながら。まぁ、自分で買ったものをまず被ってみたんですよね。
そうしたら、毛ってここ(前頭部)が抜けたりとか、眉毛もなくなる。ここ(後頭部)もなくなるんですよね。
そうすると、普通の医療用の帽子を悪く言うつもりは無いけども、浅かったりとか、なんかとってもピターッとフィットして、いかにも ”病気です” みたいな感覚になるんです。
でも、「病は気から」って普段から言うことが多いんで、前向きに明るくって思っていたので
友人から頂戴した帽子を被ってみようと思って、被りました。
最初は被り方も分からなくて、なんかヘンテコリンな、こうなったり、ああなったりしながら(笑)
そうしたら、被り方の動画があるっていうの聞いて、それを検索して被ったのが最初です。
あーこれカッコいいじゃん。イケてるじゃん、とかって被り方を練習してました。
私の周りの人はどう見えてるか分からないんですけど、普段私は、結構ハードなイメージが強いんですよ。
色もカラフルなものより、グレーだとか黒だとかっていうのが多かったので、帽子をくれた友人もきっと
渋めのものを選んでくれたと思うんですが、でもあの帽子はきっと、男性のガンの方にもとてもいいかなって思います。
帽子を被っていて感じたのが、ある日突然、玄関のチャイムが、ピンポーンってなるじゃないですか、来客する時って
そうしたら、あ、私ハゲやし、どうしようってなった時に、たまたまこの帽子をとって、無造作に被れた。
あっという間に被って、お客さんを対応することができた。
そうやって、なんか生活の中の何気ないことで、自分の中の帽子に変わっていく。そんな気がしました。
カツラももちろん、カツラとして被るけど、カツラを脱ぐっていうより、
帽子を脱いで人に会うっていう普通の流れの中に、帽子はあるからいいなーっていう気がしました。
少しずつ生活の中に取り入れていけたから、「わたしのぼうし」になっていった気がします。
でも、この帽子がいろんなパターン、サイズがあったり、カラーがあったり、柄があるように
みんなそれぞれガンの種類があって、ステージもあってっていう中で、そういった状況に立場を置かれることになるので
本当に自分の帽子というかわたしのぼうし、というカラーで、わたしはとても楽しめるんじゃないかなって思っています。
一瞬だけでも、色が目に入ったりすると、今日はここの色にしよう、とか、明日はこっちっとか、過ごしていくと、
癌、治療とも、毎日戦わなくて、前に前にちょっとずつ、こなせていけたらなーっていう気がしていて。
この帽子、とても気に入っています。
本当に逆にこの帽子で、あ、この色って、目について、この色に合わせてお洋服を選ぼう、とか出来るし、
どの場面にもサッと忍ばせて持っていける。ポケットからはみ出して出てたとしても恥ずかしくないし、素材もハンカチみたいだし。
病気の時って、色が目に入ってくることって、あまり無いというか。下を向いて歩いていると分からないんですよね。
みなさんは外側からどう見えるか分からないですけど、
壁ってこんな風に正面に目の前にあって、横からも見れないし、向こう側からも見れないし。病気の時や、向かい合う時ってですね。
色んな面では見ないし、もう、正面からここにあるのが壁で、目の前に。
その中の模様も、その裏のカラーも見ようとしないから、
なんかこういった帽子みたいなものが一つ、物体であると、そういうものに気づかされたりしますね。
ここの裏にはこの色があるじゃない、じゃあ明日この色着て行こう、とか。
この色が好きとか、この色嫌いとか。
全然反対に、こうやって裏返すと、真っ白な自分になれるかなぁ、とか。
そんなこともいっぱい感じます、私は。
こんな風に部分的にはすごくツイストしてても、穴が空いていたとしても
それがそういう壁のように、目の前にある時って分からないんですよ。
だから、ちょっと問題を上から見たりとか、下から見たり、横から見たり出来る。
これ、それこそこの帽子みたいに。
叩いてみたりだとか、被ってみたりだとか。
ガシって持ってみたり、汗を拭いたり、寒いなって抱きしめてみたり。
だから、わたしはとてもこの帽子に幸せを感じたかな、っていう気はしています。
ありがとうございます。
私、この帽子に出会った時に、「わたしのぼうし」っていう、もちろん商品名ではあるけど、
その前に、「自分らしく」っていうことが、言葉として書いてあって、それがとても心に響いたんです。
あの、病気だからとか、普通だからとか、
そういうことは感じずに、なんか、自分らしくあることが、いつかそこにたどり着けると思うので。
自分らしく生きていって欲しいと思います。
あんまり頑張らずに、こなせたらなって思います。
それが前に進めるキーポイントかなって思っています。
自分らしくってなかなか出来ないですもんね。
病人の私たちもそうだけど、周りにいる家族だったりだとか、お友達だったりとか、
助けてくれる人も、自分たちと同じように辛いかな、っていう気がするので。
みんなで頑張ってるんじゃないかなって、
みんな自分らしさに戻れるために、みんなが応援してくれている。
それは本当に思います。綺麗ごとじゃなく。
(児島)わたしのぼうしの商品のコンセプトは、病気の人に向けてではないですよね。自分らしく生きていきたい人へ、ですね。
わたしもそう思う。
ぜひ、男の人も女の人も、こどももおじいちゃんもおばあちゃんも、みーんなに被ってもらいたい。
明日元気になるために。
ガンだじゃなくても、いいんじゃないかなっていう気は本当にしています。
一般の人でもいいし、もちろん病気の人も被って欲しいし、ストレスもないし。
みんなに発信できるといいですね。
ただなんか、わたしが何かのきっかけになれば、と、それは思います。
なんかちょっとしたきっかけになれば、本当にこの人いるの?でもいいから。
そのきっかけが誰かに届けば、この帽子に届くはずだから。
オープンでいいと思ってます。生活も何もかも。
実際いる人じゃないと、モデルさんじゃ、、ね。
テレビの中で「398円です。」ていう感覚じゃね。本当?みたいな。(笑)
でも、騙されて買うっちゃけど。(笑)
そんなんです。そんなんでよければ。
以上が、インタビュー記事です。
感謝です。
わたしのぼうしを応援してくださる
皆様。
いつも本当に有り難う御座います。
これからも、一つ一つ、作り続けていきます。