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右近しのぶさん

2021.05.29 11:32

わたしのぼうしの

パンフレットのモデルをして頂いた

福岡在住の右近しのぶさん。

約2年前に

カメラマンの児島由季子さんにご協力頂き、

しのぶさんの

わたしのぼうしと、ご自身が体験された癌に対する率直な気持ちをインタビューさせていただく機会がありました。

ここに

ご紹介させていただきます。

長文になります。

ある日突然、電話が鳴って「ガンですよ。」ていうお知らせがドンと来たんです。

私の場合はそうでした。 

その日のその時間だけが止まってるかな。

思い出せない感じがします。 

私がこの帽子と出会ったのは、ちょうど抗がん剤治療が始まって髪が抜ける頃でした。 

友人もきっと、髪が抜けるよって言い出しにくかったんでしょうね。 

何気なく2つの帽子がポーンて、黒いのと明るいのと送ってくれて。 

何だろうこれ、なんかボロボロじゃん、って最初は思ったけど(笑) 

(1枚は、ダメージ加工の生地)

多分友人は私なりに似合うカラーを選んでくれていたんだろうけど。 

被ってみようかな、でもまだ髪の毛も生えてるしなーって思いながら。まぁ、自分で買ったものをまず被ってみたんですよね。 

そうしたら、毛ってここ(前頭部)が抜けたりとか、眉毛もなくなる。ここ(後頭部)もなくなるんですよね。 

そうすると、普通の医療用の帽子を悪く言うつもりは無いけども、浅かったりとか、なんかとってもピターッとフィットして、いかにも ”病気です” みたいな感覚になるんです。 

でも、「病は気から」って普段から言うことが多いんで、前向きに明るくって思っていたので 

友人から頂戴した帽子を被ってみようと思って、被りました。 

最初は被り方も分からなくて、なんかヘンテコリンな、こうなったり、ああなったりしながら(笑) 

そうしたら、被り方の動画があるっていうの聞いて、それを検索して被ったのが最初です。 

あーこれカッコいいじゃん。イケてるじゃん、とかって被り方を練習してました。 

 

私の周りの人はどう見えてるか分からないんですけど、普段私は、結構ハードなイメージが強いんですよ。 

色もカラフルなものより、グレーだとか黒だとかっていうのが多かったので、帽子をくれた友人もきっと 

渋めのものを選んでくれたと思うんですが、でもあの帽子はきっと、男性のガンの方にもとてもいいかなって思います。 

帽子を被っていて感じたのが、ある日突然、玄関のチャイムが、ピンポーンってなるじゃないですか、来客する時って 

そうしたら、あ、私ハゲやし、どうしようってなった時に、たまたまこの帽子をとって、無造作に被れた。 

あっという間に被って、お客さんを対応することができた。 

そうやって、なんか生活の中の何気ないことで、自分の中の帽子に変わっていく。そんな気がしました。 

カツラももちろん、カツラとして被るけど、カツラを脱ぐっていうより、 

帽子を脱いで人に会うっていう普通の流れの中に、帽子はあるからいいなーっていう気がしました。 

少しずつ生活の中に取り入れていけたから、「わたしのぼうし」になっていった気がします。 

 

 

 

でも、この帽子がいろんなパターン、サイズがあったり、カラーがあったり、柄があるように 

みんなそれぞれガンの種類があって、ステージもあってっていう中で、そういった状況に立場を置かれることになるので 

本当に自分の帽子というかわたしのぼうし、というカラーで、わたしはとても楽しめるんじゃないかなって思っています。 

一瞬だけでも、色が目に入ったりすると、今日はここの色にしよう、とか、明日はこっちっとか、過ごしていくと、 

癌、治療とも、毎日戦わなくて、前に前にちょっとずつ、こなせていけたらなーっていう気がしていて。 

この帽子、とても気に入っています。 

 

本当に逆にこの帽子で、あ、この色って、目について、この色に合わせてお洋服を選ぼう、とか出来るし、 

どの場面にもサッと忍ばせて持っていける。ポケットからはみ出して出てたとしても恥ずかしくないし、素材もハンカチみたいだし。 

 

病気の時って、色が目に入ってくることって、あまり無いというか。下を向いて歩いていると分からないんですよね。 

みなさんは外側からどう見えるか分からないですけど、 

壁ってこんな風に正面に目の前にあって、横からも見れないし、向こう側からも見れないし。病気の時や、向かい合う時ってですね。 

色んな面では見ないし、もう、正面からここにあるのが壁で、目の前に。 

その中の模様も、その裏のカラーも見ようとしないから、 

なんかこういった帽子みたいなものが一つ、物体であると、そういうものに気づかされたりしますね。 

ここの裏にはこの色があるじゃない、じゃあ明日この色着て行こう、とか。 

この色が好きとか、この色嫌いとか。 

全然反対に、こうやって裏返すと、真っ白な自分になれるかなぁ、とか。 

そんなこともいっぱい感じます、私は。 

こんな風に部分的にはすごくツイストしてても、穴が空いていたとしても 

それがそういう壁のように、目の前にある時って分からないんですよ。 

 

だから、ちょっと問題を上から見たりとか、下から見たり、横から見たり出来る。 

これ、それこそこの帽子みたいに。 

叩いてみたりだとか、被ってみたりだとか。 

ガシって持ってみたり、汗を拭いたり、寒いなって抱きしめてみたり。 

だから、わたしはとてもこの帽子に幸せを感じたかな、っていう気はしています。 

ありがとうございます。 

 

 

 

私、この帽子に出会った時に、「わたしのぼうし」っていう、もちろん商品名ではあるけど、 

その前に、「自分らしく」っていうことが、言葉として書いてあって、それがとても心に響いたんです。 

あの、病気だからとか、普通だからとか、 

そういうことは感じずに、なんか、自分らしくあることが、いつかそこにたどり着けると思うので。 

自分らしく生きていって欲しいと思います。 

あんまり頑張らずに、こなせたらなって思います。 

それが前に進めるキーポイントかなって思っています。 

 

 

自分らしくってなかなか出来ないですもんね。 

病人の私たちもそうだけど、周りにいる家族だったりだとか、お友達だったりとか、 

助けてくれる人も、自分たちと同じように辛いかな、っていう気がするので。 

みんなで頑張ってるんじゃないかなって、 

みんな自分らしさに戻れるために、みんなが応援してくれている。 

それは本当に思います。綺麗ごとじゃなく。 

 

(児島)わたしのぼうしの商品のコンセプトは、病気の人に向けてではないですよね。自分らしく生きていきたい人へ、ですね。 

 

わたしもそう思う。 

ぜひ、男の人も女の人も、こどももおじいちゃんもおばあちゃんも、みーんなに被ってもらいたい。 

明日元気になるために。 

ガンだじゃなくても、いいんじゃないかなっていう気は本当にしています。 

一般の人でもいいし、もちろん病気の人も被って欲しいし、ストレスもないし。 

みんなに発信できるといいですね。 

ただなんか、わたしが何かのきっかけになれば、と、それは思います。 

なんかちょっとしたきっかけになれば、本当にこの人いるの?でもいいから。 

そのきっかけが誰かに届けば、この帽子に届くはずだから。 

オープンでいいと思ってます。生活も何もかも。 

実際いる人じゃないと、モデルさんじゃ、、ね。 

テレビの中で「398円です。」ていう感覚じゃね。本当?みたいな。(笑) 

でも、騙されて買うっちゃけど。(笑) 

 

そんなんです。そんなんでよければ。 

 以上が、インタビュー記事です。

感謝です。

わたしのぼうしを応援してくださる

皆様。

いつも本当に有り難う御座います。

これからも、一つ一つ、作り続けていきます。