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A recollection with you

見え透いていたこと 編

2016.12.20 15:38

いつも、この店の中心は夜のことだ。

だから、天窓から見えるのは月や星。あるいは、真っ暗な空。当たり前だけど。

そう。この天窓は1日が経つことを教えてくれる意味でも役に立っている。


「うん?もう12時回ってたのか」

「そうですよ~」

「いや、夜に本読んでるとつい…」

「このままじゃ虫になっちゃいますよ?」

「いくら夜行性でもそうまではならないさ」

「へーえ」


と言いながら、詩歩はニヤけ顔でこちらを見てくる。というか、少しバカにしてやいないか…?


「僕に合わせて起きてたら、また眠れなくなるよ」

「あたしももう大人ですから。これくらいへっちゃらですー」


むすっとした顔で言う。そう言えば、そろそろ来る頃だ。


カランカラン


『こんばんは。遅い時間にごめんねー』

「いえいえ。どうぞ」


と言うと、彼女は僕が立つ斜め向かいの席に座った。夜遅い時間に来るとき、オーダーは決まってココアなので、淹れるのは詩歩に任せることにした。


『いつものって言わなくても、もう分かっちゃうんだ』

「お客さんの好みを知っておくのは、大事なことですからね」

『ふーん』


頷いたような風だ。


「そういえば、何か話したいことがあるんじゃなかったっけ」

『それもバレちゃってるのかあ~』

「いや。隠す気も、なかったでしょう…」

『もちろん!』

「ううむ…。それで話って何だい?」

『あー…彼氏』


と言いかけた瞬間、僕は察した。


「出来たんですかっ!!??」


詩歩なら食いつくと思ってたよ…。

先に寝かせるのに失敗したから許して、と目線を送る。もちろん気づいてもらえない。


『う、うん。そうなんだけどね。先週、クリスマスだったのに、会ってくれなかったんだー』


詩歩がそれに返そうとしたが、彼女は手で制止する。


『分かってるんだよ?彼、忙しいから』

「そう言われたら、なにも言えないですよ…」

『あはは。聴いて欲しいだけだから、良いんだー』


軽快に言っているようで、本当のところは落ち込んでいる。聴くだけで良いなら、そもそも話したいとは言わないはずだ。


『わたし、求めすぎてるのかなあ?』

「うーん、その辺りは彼と話さないと分からないところだけど。一緒に居たいと思うのは当然だし、それだけで求めすぎてるとは言い難いかな」

『もう少し様子を見てみた方が良いってことと?』

「うん。ついひとつのことで判断してしまいがちだからね」

『…ちょっと馬鹿にしてる』

「いや、至って真面目だよ」


少しの間目が合って、堪えきれず笑った。


『じゃあ、もう一杯ちょうだい』


いたずらっぽく彼女が言うので、分かりましたと答える。そして、詩歩に耳打ちする。


「詩歩。話持っていってごめんな」

「ううん。あたしまだ、知らなかったから」

「大丈夫。これから知れば良い」


詩歩の肩をとんと、軽く叩いてから、僕は2杯目のココアを淹れるのに取り掛かった。