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同一労働同一賃金

2021.05.31 06:49

 令和3年4月1日から、同一労働同一賃金規制が、中小企業にも全面適用されました。そこで、同一労働同一賃金の留意点について、ご説明します。

(1) 従業員への説明義務

 事業者は、①パート社員や契約社員(雇用期間の定めのある社員)の入社時と、②パート社員や契約社員(雇用期間の定めのある社員)から説明を求められたときに、待遇差等について、説明する必要があります(パートタイム・有期雇用労働法第14条第1項第2項)。

(2) 入社時の従業員への説明の内容

 事業者は、パート社員や契約社員(雇用期間の定めのある社員)の入社時に、以下の事項に関して、事業者が行おうとしていることについて、説明する必要があります。説明は、口頭で大丈夫です。

 ①不合理・差別的な取り扱いの禁止(法8・9条)、②賃金制度(法10条)、③教育訓練(法11条)、④福利厚生施設(法12条)、⑤正社員への転換措置(法13条)

 具体的には、青森労働局が、サンプルを公開していますので、それを参考にするとよいと思います。

 青森労働局のホームページのモデル例5および6

https://jsite.mhlw.go.jp/aomori-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_kintou/hourei_seido/seido07.html

(3) 説明を求められたときの従業員への説明

 事業者は、パート社員や契約社員(雇用期間の定めのある社員)から説明を求められたときに、正社員との間の待遇の相違の内容及び理由等について、説明する必要があります。

 この説明については、法律雑誌である『ビジネスガイド』の2019年6月号、2021年2月号、2021年5月号にサンプルや注意点がわかりやすく記載されています。

 特に、『ビジネスガイド』の2021年5月号が説明しにくい待遇差についても、説明の例を提案しており、有用だと思います。

(4) 最高裁5判決の概要

 令和2年10月に、同一労働同一賃金について、5つの最高裁判決が出ました。

 ビジネスガイド2021年2月号103頁において、これまでの判例で判断されたものは、3つのタイプに分かれるとされています。大変参考になると思われます。


① 正社員人材を確保・定着させるという使用者の目的を踏まえ、それを重視して有期契約労働者への不支給も不合理でないという結論をとったもの

→ 賞与、退職金


② 長期継続勤務の期待から継続勤務の確保を目的とした給付であるとして、継続的な勤務が見込まれる有期契約労働者には同様の支給をすべきとしたもの

→ 病気休暇、扶養手当


③ 各労働条件の趣旨が有期契約労働者にも妥当するとして、(その勤続期間等にかかわらず)同様の支給をすべきとしたもの

→ 皆勤手当、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当、年末年始勤務手当、年始祝日給、夏期冬期休暇