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Ryohei Komori

フィッティングを受ける

2021.06.01 08:57

僕とフィッティングサービスとの出会いは2009年、20歳の時にアメリカのチームに入った時のこと。

それまでは、周囲の経験豊富な選手の意見を取り入れたりしつつ自己流のポジションでしたが、アメリカに渡りチームの初顔合わせのタイミングで、チームの拠点にもなっているバイクショップの地下で初めてバイクフィッティングなるものを受けました。

今、日本で行われているようなものを大きな違いは無く、各関節の角度を見ながらポジション出しをしていくものでした。

クリート位置から始まり、ローラーでペダリングしながらサドルやハンドルの各部の調整をしていく感じです。

ただ、所属選手全員を1日で行うということもあって、柔軟性などをチェックするアセスメントは最小限のものだったと記憶しています。

その時のフィッターのコメントは、バイクのセッティングを変えても変化が現れにくいね、というものでした。

おそらく、身体の方の適応力がそれなりにあったのでしょうか。

そのシーズンは特に変更などは行わず、そのポジションのまま走り切りました。

そこで過去の日誌を覗いてみると、その後も思っていたよりも多くフィッティングを受けていました。2010年、2014、2015年とコンスタントにいろんなフィッティングを受ける機会に恵まれていました。

使用する機材がサプライヤーやスポンサーの関係で毎年変わるので、ずっと同じポジションのままというわけにはいかず毎年何かしらの試行錯誤はあるのですが、自分の中での一つの指標として、フィッティングを受けた際の数字というのは大事にしていたと思います。

フィッティングサービスは、それを受けたからといって魔法のように走れるようになるわけではなく、現状のもしくは少し未来の自分の身体にとってより良い自転車の乗り方を身につけるためのものだと思っています。

ただ、ここ数年はフィッティングを受けることなく過ごしていました。

理由としては、机上で計算された数字と自分と感覚とに微妙な乖離があって、自分の感覚の方を大事にしようという考えがあったからです。特にロードだけではなくシクロクロスやMTBといった動きのある競技に触れていると、バイクをうまくコントロールするためにも自分の感覚を大事にしようという思いが強くありました。

そんな中、今回、チームメイトの勧めで高円寺にあるショップ・メイストームさんでフィッティングサービスをしている佐藤さんのフィッティングを受けることになりました。

なぜ考え方の方向転換してフィッティングを受けようと思ったかというと、佐藤さんのフィッティングを受けている人で変なことになっている人がいないのでそれなりに信用できそうだなと思ったことと、まぁ受けてダメだったら戻せばいいやというダメで元々精神からでした。

場所はここ↓

自宅からかなり遠いので、まずは体験してみなければなるまいということで丸1日時間を作っていざ東京へ。

結果から言うと、非常に有意義な1日になりました。

ただ単に数字だけを見て行うフィッティングは講習さえ受ければ誰でも出来るようになると思いますし、逆に誰でも出来るようにパッケージとして出来上がっているものは多くあります。それはそれで誰がやってもある程度のクオリティを維持できるので、入門編というか入口としては非常に良いと思うのですが、やはりフィッターの腕前で左右される部分も大きいと思います。

例えば、1人の同じ人間が違う自転車に乗った時に同じように漕いでもうまく進まないように自転車1台1台にそれぞれに癖があり、人間一人一人にも外からはわからない癖があり(体の動かし方だけじゃなくて考え方とかも)、そこをいかに上手く落とし込むかがフィッターの腕にかかっていると思います。

流れとしては、体をチェックしてポジションをみていくという、普通のプロセスです。

↑柔軟性をチェックしているところ

ですがその普通のプロセスの中に、マニュアル化はできないフィッターの技量に左右される部分が多くあると思います。うまく書けないので、もうみんなとりあえず一回受けてみて!っていう気持ちです笑

で、結果的に出してもらったポジションは、僕が自己流で試行錯誤しながら目指しているものに近かったです。選手としてある程度走っているので自己流でもそんなに外すことはなかったということだと思います。

出来上がったポジションは、「理想的にはこういうポジションで走れるようになった方が良いんじゃないか」と何度か自分でも試してみたポジションに近いものでした。

あぁ間違ってなかったんだと思うと同時に、なぜいつも試行錯誤しながらもしっくり来ず従来のポジションに戻してしまうのかということもなんとなくわかってきました。

佐藤さんとの会話の中で、どういう意識付けのもと、このポジションを自分のモノにしていくかというアプローチの仕方も少し理解できたと思います。

そんな意味でものすごくいい時間でした。

そして1人で随分遠回りしていたなぁとも思いました。もっと早くここに来ていれば、こんなに時間をかけなくてもよかったんだなと。

フィッティングサービスは急に世界チャンピオンのように走れるようになる魔法ではありませんが、大きなヒントと道標を与えてくれるものだと感じました。新しい走り方に適応するのに数週間は必要だとは思いますが、今後に期待です。