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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

フランス革命の道20-幻の時計アントワネット

2021.06.01 10:41

1783年、王妃マリー・アントワネットは、技術の世界でも伝説をつくることになった。伝説の懐中時計「ブレゲNo.160」通称マリー・アントワネット。ブレゲの愛用者であったアントワネットか、もしくはアントワネットに捧げようと思った誰かか、いずれにしても使者が、当時の最高水準の詰まった時計を所望した。

ブレゲは「時計のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼ばれ、歴史を200年は進めたという天才である。現代の時計の技術の4分の3は、ブレゲが発明したか、改良したものだとのことだ。ミニッツリピーターや時計の角度で狂わない機構も彼が発明か改良したものだ。

時間と金の糸目はつけないという注文に、ブレゲはさらに自動巻きや永久カレンダーなども開発してしまう。しかし時間に左右される人間の運命は、アントワネットの命を奪い、ブレゲその人が亡くなっても完成できず、弟子達が受け継ぎ、1827年に完成した。が引き取り手のない時計は、一旦ブレゲ家で保管された。

その後サロモンズ卿が引き取り、1923年に美術館に寄贈されたが、83年に盗難に会う。ブレゲは2004年にこの時計の復元計画を立て、08年4月に完成、盗まれた時計もその前年07年12月に発見されていた。アメリカのサターン計画などの国家プロジェクトは技術を大きく進歩させたが、これもその一つと言えるだろう。