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透明になっていく。

2021.06.04 15:00

Naoyaです。

最近家の用事で、ちょっと距離のある場所まで出向くことが時々あって、雨が降っていなければ自転車で出かけています。普段から多少遠くても自転車で行けそうな距離ならわりと行ってしまう方ですが、コロナ禍になってから遠くに出かけることも少なくて、そこまで自転車で長距離を走らせることもあまりなくなっていました。自転車は変わらず毎日のように乗っていますが、せいぜい近所の買い物程度です。

ご無沙汰の長距離走行。この頃、体の感覚がちょっと鈍っていましたが、ちょくちょく自転車を漕いでいるうちに、以前の感覚がどんどん蘇ってきたように思えます。坂のあるエリアも結構多いので、どうしたら無駄に疲れず効率よく進められるのかを、体で感覚的に掴み取りながら、延々とペダルを漕いでいます。

走っていると、ほんのり湿り気を帯びた空気を感じることや、空の色や雲の形、いろんな色の紫陽花やたわわに実った枇杷の木を所々で目にすることが多いので、もうそんな季節なんだなぁと実感しています。

今日は二十四節気の9番目、芒種(ぼうしゅ)です。芒とは、穀物の種子の先にある毛のことで、芒種は穀物を植えるという意味です。梅雨が近づいてくる今の時期は、田植えのシーズンです。

自転車を走らせていると僕は無になれます。ふと脳裏に思い浮かんでくる物事があったとしても、延々と頭の中に滞在せずに景色のように流れ去っていく感じ。デジタルなものと向き合うこととも、生身の人間と交流することとも違って、外の空気や自然に触れることはリセットや浄化の作用があると改めて痛感しています。

目的地を目指して、ただ漕ぐことだけに集中している自分がいます。走っていると、まるで自分自身が透明になっていくようです。心地いい風に吹かれながら、頭の中の雑音や濁りのようなものが、どんどん洗い流されていくのです。もちろん、逃げずに併せ呑まなければならない清濁の「濁」の要素も、人生においてあることはよくわかっています。そこから逃げることはありません。でも、自分の視界や未来を遮る障害物のような雑音や濁りは、極力どんどん手放しておきたい。一定のリズムで漕ぐことに没頭していると、禅や瞑想に近い感覚があるように思えます。いらないものが自分から剥がれ落ちて風に舞って、頭が空っぽになることで透明度がアップしていくように思えるのです。

これを書いている時点で関東はまだ梅雨入りしていませんが、自転車で出かけるタイミングのときは、なるべく雨が降らないで欲しいなぁと思っています。

ちなみに。自転車を漕いでいると透明になっていくだけでなく、いいアイディアが突然浮かんだりもします。やはり、空っぽな状態の場所には新しいものが生まれたり宿ったり、湧き上がったりするものです。