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ZIPANG-5 TOKIO 2020 アフターコロナへのお膳立て(2−2) ーSDGsの実現は 地域の「共有幻想」にあるー・・・【寄稿文】林 英光 

2021.06.06 06:45

風土と人と伝説を活かす

~デザイン・色彩の役割~


世界の農協の始祖大原幽学の思想が伝わる(旧林家)


公共建築はその国の地域住民の中心であり、当然地域の心と誇りが伝わるものである。白黒グレー自然素材色の簡素で伝統的な立たずまいは、新市庁舎デザインに取り組む原点である。


尾張藩の武家の息子大原幽学が、江戸期にこの地で取り組んだ思想は、わが国と世界の農協の先駆であり、残念ながら幕府に咎められた末に自害。だがその精神は今も旭の地に世界にも生きている。


この地の特徴を大切にオンリーワンを目指そう


太平洋と利根川に挟まれた中世の旭と椿の海の古地図


眇眇たる九十九里の波頭は荒く舞い上がり、飯岡の台地も霞む

地域デザインには風土と伝説を忘れずに活かすことが基本となる大切な「共有幻想」である。
九十九里浜は義経一行が奥羽に逃れる途中、一里ごとに矢を指したところ九十九本であったので九十九里という。


旭市の旧矢指村に残る矢指ヶ浦音頭に、義経一行を偲ぶ歌がある。


「都逃れた義経さえも 伊達に来やせぬ 九十九里・・・」。


飯岡港漁獲量は千葉県2位 60Mの断崖にある灯台から九十九里海岸と富士山の遠望も


東総台地に寄り添う森と槇塀の美しい典型的な旭の風景


椿海は干拓で広大な干潟八万石に、農畜産は千葉県一、全国3番目の豊な恵みに


地域の伝説は地域計画や施設づくりの大切な元であり手がかりである。当地の椿の海伝説や義経伝説、武家時代の幕開けに、旭の如くの勢いで京の都に登った旭将軍木曽義仲。その子孫義昌公が江戸期にこの地1万石に封ぜられた縁で「旭」に。


ちなみに筆者の実家の地名西足洗いは弘法大師の足跡の沼である。
世界広しと言えど、地域にはその場所にしかない大切な物事がある。それが地域を元気にするデザインの元である。


庁舎正面の夕景 ロータリーは白砂青松と椿の海と九十九里、その湾曲に合わせた車寄せシェルター。最上階は深夜も故郷の灯し火に・・・

旭は3・11の地震と津波で、九十九里海岸と飯岡港、そして内陸部でも液状化で大きな被害に遭い、新市庁舎もその対策を考慮した。

この庁舎の場所は市民の意向に従い決定した。それは東総地区の要として図書館や音楽ホールのある旭文化の杜に接し、3・11の被災の経験から防災の設備をしてある数百メートルの長大な敷地にある。


建築も四角い普通の箱物ビルではないものをと、日本の・世界の農協の始祖である大原幽学の思想や、輝いた偉人の業績を偲んで日本一、そしてオンリーワンを目指した。一見アンバランスに見える姿になったが、遍く故郷を見渡せる展望空間も機械室の上に出来た。3・11の津波など被災の経験から、長大な敷地には災害仮設住宅用の上下水も埋設してある。


風土伝統に従い地域の個性を

数年がかりで旭の新市庁舎建設市民会議会長をしながら環境ディレクターとして関わり、最初から伝説と風土からプロジェクトのテーマを模索し、日本の環境基本色彩に基づき結論を得た。



真っ赤な旭の赤の受付と、皆さん心配された椿の花の紅色のシンボル柱が出来た。これで黙っていても旭の心の全てが伝わると思っている。 


デザインの極意 「 序破急」
都市もファッションもSDGsもこれで


旭市の雷神社 

御神幸祭に渡御する雷大神の神輿は、この式年御神幸祭にのみ奉じられる(かつては雨乞いにも多く渡御した)関東一の大神輿である。

序破急は雅楽から発した日本の伝統文化の真髄である。お華の芯添え控えのように、オリンピックの金銀銅のように。ロケーションも施設も、世界の在り方も 考え方を全体から部分へ、またその逆も、ビジネスのようにフィードバックが大切。これを怠るとダメ。


迎賓館を飾る七宝の世界的工芸家、当地出身の濤川惣助の優雅な表現で世界から愛された作品を見られる飯岡駅の展示。


戦後日本人が避けて来た、世界に誇れる伝統文化に幸せな未来の全てがある。
子どもたちに自信と誇りを、未来が期待出来る環境を、誰にでも分かる「デザインと色彩」で取り組もう。


美しい伝統の延長で国土も地域も取り組むことが、衰退成熟期のわが国日本のサバイバルの道である。いつまでも都市景観も建築もファッションも、洋風の借り物では日本も人も美しく見えない環境が続く。


建物のスカイラインは大地と天空を融合するもの、四角や直線だけでなく有機的に円弧と曲線で穏やかに力強く。(庁舎南側から)


日常の舞台である環境を美しくすれば、
人の心も姿も未来も美しくなる

環境が人をつくる。他のことは全て後で 自然に 一人でについてくる。


前号のアーカイブ リンク記事をご覧ください。

ZIPANG-5 TOKIO 2020 アフターコロナへのお膳立て(2−1)ーSDGsの未来は地域の自発的取り組みにあるー ・・・【寄稿文】林 英光

https://tokyo2020-5.themedia.jp/posts/18125073 



【寄稿文】林 英光

環境ディレクター
愛知県立芸術大学名誉教授



協力(順不同・敬称略)

千葉県 旭市役所

株式会社 横河建築設計事務所



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



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