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雑食性の意味

2021.06.12 01:02

「雑食と記載されている種の食性ほど,曖昧なものはない」

魚類を専門とする,「世界淡水魚園水族館アクアトトぎふ」の館長さんがつぶやいた一言だ。



先週月曜の午後。

たまたま,彼の講義を受講する機会があり,講義開始前に少しお話をする機会を得た。




カメシーズンを迎えてから,糞分析の研究を少しずつ進めている。

最近は,ほぼ毎日カメの糞とにらめっこしている。


カメ類の食性が,いかに複雑であるか。

その複雑怪奇さを共有できたことが,嬉しかった。



カメ類は,雑食性である。

これはよく知られた事実だ。

実際に,糞から見つかるものはザリガニや貝類,植物の葉や枝,砂利,釣り糸やビニールテープといった人工物まで。

本当に多種多様なモノが,たくさん見つかる。



何を主食にしているのか?

なぜ,多種多様なモノを食べる必要があるのか?

雑食でなければならない理由,とは??


糞を観察し続ければ続けるほど,謎は積もる。




仮説をいくつか考えて見ると,大きく2パターンに分けられる。


・季節によって得られる資源が異なるために,多種多様な資源が必要である。

・消化効率があまりよくないために,さまざまな種類の資源が必要である。

・ハンター力(餌を捕まえる力)が乏しいため,栄養価の低い資源も食べる必要がある。


または


・グルメで食べ物の好き嫌いがあるため,さまざまな資源を利用する。

・成長過程によって必要な栄養素が異なるため,さまざまな資源を利用する。

etc...


基本的には雑食性でなんでも食べられないと「いけない」,必要が迫られているからか。

または,人間のように,食物資源を「選り好み」しているからか。




雑食性の意味。

野生個体の糞が,いつか答えを教えてくれるのだろうか。