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「宇田川源流」 仮想通貨の暴落の裏にデジタル人民元と中国の資金流出

2021.06.09 22:00

「宇田川源流」 仮想通貨の暴落の裏にデジタル人民元と中国の資金流出


 今年、それも3月以降仮想通貨が暴落している。なお、暗号通貨とかデジタル通貨などといわれているが、今日のブログではそれらを含めてすべて「仮想通貨」と総称して言うことにする。

 さて「仮想通貨」とはいったい何なのか。単純に言えば、実際にそれで買い物ができるわけではないので「通貨」ということを言うにはかなり微妙である。実際には「相場制の高い資産」であり、ある意味で美術品や金塊などと同じような感じで考えていた方がわかりやすい。通貨であると思ってしまうと、例えば日本の「円の紙幣や硬貨」と同じような感覚になってしまうと理解が少し異なるものになるのかもしれない。

 さて、その仮想通貨であるが、実際に暴落している。この要因に関して考えてみたい。

 実際に、「仮想通貨」というのは、基本的には、全く新しい概念であるために、その概念の中において、新しい規制や法律ができていないということになる。基本的には自由主義経済国において、禁止事項以外は何でも自由にしてよいということになっており、当然に、その自由の幅は広い方が良いというようにされている。禁止事項というのは「自由市場の秩序を乱す行為」は駄目であるとされており、当たり前の話ではなるが、例えば、紙幣の偽造や相場の操作、詐欺などは許されない。当然にこれらは「犯罪」ということだけではなく「秩序を乱す行為」というように解釈されるのである。しかし、それ以外、犯罪行為に関する者に含まれない行為はなるべく広く解釈されるということになるのである。

 これに対して、中国などの社会主義国家に関して言えば、そもそも「自由主義経済」ではなく「共産主義経済」であり、経済そのものに「自由」はない。単純に通常の資本主義自由主義国家の経済が、自由があり、政治権力による介入が少ないのに対して、共産主義経済は「社会や政治に管理された経済」ということを前提としている。よってすべてが「許可制」によって行われる。

 法律の構成も同じで、自由主義経済の場合は何かほかに害を及ぼすこと(医者などの免許制や自動車の免許、産業廃棄物など)に対する許可制以外は、基本的に自由な経済活動ができるのに対して、中国などの場合はすべての経済行為(行として行う経済)に許可が必要になる。自由主義は「できないこと」の限定列挙なのに対して、共産主義の国は「できること」の限定列挙である。

中国の仮想通貨トレーダー、政府の取り締まりにひるむ様子なし

 政府による追跡や禁止が難しいOTCプラットフォームの取引利用か

 17年時点で中国投資家はビットコイン取引の推定80%を占めていた

 中国の投資家は、暗号資産(仮想通貨)取引に対して政府が講じる2017年以来最も大掛かりな取り締まりにほとんど注意を払っていない。デジタル資産の投機的ブームを抑制したい中国政府の課題を浮き彫りにしている。

 中国の仮想通貨トレーダーが17年に国内交換業者での取引が禁止されて以来利用してきたOTC(相対)取引プラットフォームでは、反射的な売りが殺到した後、着実に回復を見せている。暗号データプラットフォームの非小号(コインマーケットキャップの中国版に相当)によると、国内センチメントの重要指標の1つとされる人民元と「ステーブルコイン」のテザーの交換レートは、政府が今月警告した後、一時4.4%下落したが、それ以来値下がり幅の半分以上を回復している。

 ビットコインなどの仮想通貨の過去半年の高騰を受け、中国共産党内では詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)、個人投資家のトレーディング損失につながるとの長年の懸念が再燃し、中国は取り締まりを強化した。だが、国内OTCプラットフォームやピアツーピア(P2P)ネットワークの取引は追跡しにくいため、当局が大規模な禁止措置を実施するのは極めて困難とみられる。

 これは中国の購買力の落ち込みを懸念する世界の暗号資産愛好家に安堵(あんど)感をもたらすかもしれない。

 上海の不動産コンサルタントで、英語のファーストネームだけを明かしたチャールズさん(35)は損失や取り締まりに関して「私は気にしない」と話す。17年以降、仮想通貨を購入してきたチャールズさんは最近の急落時に3日間で1100万ドル(約12億円)を失ったものの、「過去数カ月で稼いだ利益を返す」ようなものであり、10年から20年先を見据えていると語った。

 国営メディアによれば、中国が17年に仮想通貨交換業者を法律で禁止する前の時点で、同国の投資家は世界のビットコインの推定7%を保有し、取引の約80%を占めていた。交換業者が禁止されたため、現時点でこうした数字を測定することは不可能だが、中国の投資家はOTCプラットフォームや、仮想プライベートネットワーク(VPN)経由で海外の交換所を利用し、仮想通貨の世界に依然として大きな存在感を示していると引き続き広く考えられている。

Bloomberg News 2021年5月31日 12:25 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-31/QTY3D9T0G1KY01

 さて、このような状況で経済が回っているということになる。それでも「新規性」に対しては、明確な禁止はしないので、その間に、さまざまな資産の移動がなされる。いや、中国の資本化はいつ自分の国が習近平により「21世紀の文化大革命」が発生するかわからないということから、資産の多くを海外に逃がしている状態にある。中国の経済成長率が6%では足りなく、(2008年までは8%ないと足りないとしていた)今年の全人代では経済成長率は発表しなかったということになっている。

 当然に、中国共産党とすれば、「市場経済」という経済システムを作ってしまったために、結局その市場経済というやり方になじんだ国民(中国の場合は人民というが)の多くが、海外の市場システムに金を持ち込み、そのままその資本を投下してしまう、当然に海外に移動する資本が多いということは、それだけ国内において流通する貨幣が少なくなるばかりか、中国という国家の外貨準備高が減ってしまい、そのことによって中国の国際的な優位性が無くなることになる。

 このことがwか会っていれば、今年の全人代で「仮想通貨の取引に対して規制が入る」ということになるのはよくわかるし、また、中国のデジタル人民元に関しても、その人民元が中国政府が考えるような外貨の流入ではなく、国内資金の海外流出に向かうようになるとなった場合に、そこにどのような規制が必要になるのかということに繋がってくることのなる。もっと言えば、デジタル人民元と為替における人民元のリンクをどのようにするのかということに繋がってくること位なるであろう。

 まさに、そのような規制によって「仮想通貨に嫌気がさす」という人が出てくる。以前このブログで紹介したテスラモーターなどの話もあり、仮想通貨そのものが、徐々に中国御活動によってマイナスになってくる。仮想通貨はあくまでもデジタルで管理されていることから、当然に、金(金塊)のようなそのもので独立に価値があるというものではないということになるのであり、そのことが、今回の内容につながってくるということになるのではないか。

 今後、中国がどれくらい「デジタル通貨に対して規制を作るか」ということと、中国の資本化が、どれくらい「抜け穴があるか」ということになる。中国は例えば「香港における国家治安維持法において、海外での行為も処罰対象としている」ということから、今後規制が厳しくなれば、中国人が海外で取引した内容もすべて処罰対象になる可能性がある。もちろん、中国共産党の幹部がそれを行えば、良いということになるのかもしれない。いずれにせよ、「政治によって経済がいかようにも規制される中国」を、取引の中に混ぜた瞬間に、このような乱高下は予想されてしかるべきのことになる。