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深夜の散歩

2021.06.08 00:30


深夜1時過ぎに散歩に出掛けた。


この1年ほどの間、私がマスクをしていたのは「過度な心配をする他人を不安にさせないため」だった。


自分に風邪のような症状が無い場合で、「ここならば許されそうだな」という場所では、マスクを外している。 例えば、自宅、馴染みの飲食店、スーパーマーケット、コンビニエンス・ストア。


散歩のときは、もちろんマスクを外している。


世の中がここまで来てしまったとはね。 一昨日あたりから、もう他人に会うのも嫌になった。 会いに行けば、私以外の全員が「風邪のような症状が無いにも関わらず」マスクをしているような馴染みの店、参加しているバンド。 私が仕事として、それぞれ週に一度伺っている10軒のご家庭のうち7軒は、私にマスクを強要しない。 私は家庭教師をしている。



さて、深夜の散歩だ。 他人がいない。 他人の家の庭先に咲く花が香っている。 一切のフィルター無しに、その香りを楽しむ。 ぶらぶら、ぶらぶらと歩く。


私と同じことを思ったのだろうか。 規則正しく街灯が立ち並ぶ、幅6m の道路の向こうから他人の影が歩いてきた。 数秒後、さらに近づくと、街灯に白々と、その人が着けているマスクが映し出された。 彼だか彼女は「重い病」に冒されているのだろう。 気を遣った私は、直角に、また直角にと進路を変え、その道路の反対側を歩いた。


きちんとした情報を提供できていれば、それだけで完治する「重い病」だ。