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「アンソロジー」の意味と使い方とは?オムニバスとの違いも解説

2018.06.25 03:21

https://biz.trans-suite.jp/35691  【「アンソロジー」の意味と使い方とは?オムニバスとの違いも解説】より

「アンソロジー」というカタカナ語は、マンガや小説が好きな方は聞いたことがあると思いますが、その詳しい意味をご存知ですか。今回は「アンソロジー」の意味と使い方、類語の「オムニバス」や「コンピレーション」とアンソロジーとの違いに併せて英語表現も紹介します。

「アンソロジー」の意味とは?

「アンソロジー」とは「特定のテーマの下でまとめられた作品集」

「アンソロジー」とは「さまざまな芸術分野において特定のテーマでまとめられた作品集」という意味です。以前は詩を集めた作品集のみを指し「詞華集」とも言われていました。

アンソロジーは古代ギリシア・ローマ時代にはじまる

かつてアンソロジーとして集められた作品とは、古代ギリシア・ローマの詩形のひとつであるエレゲイアと呼ばれる形式の碑文でした。碑文とは、奉納物や墓碑に刻まれる言葉です。

15世紀以降、西ヨーロッパに伝えらえるとアンソロジーの編纂が盛んになり、テーマ別だけでなく年代別や種類別などさまざまなアンソロジーが出版されるようになりました。

日本のアンソロジーは「万葉集」や「古今和歌集」

日本を代表するアンソロジーと言えば、20巻にも及ぶ古代の最大の和歌集として著名な「万葉集」や、平安時代の最初の勅選和歌集として有名な「古今和歌集」などがあります。

アンソロジーの編纂が盛んにおこなわれた近世以降のイギリスでは「トトル詩選集」(1557)が有名で、それまで一般読者には知られていなかった宮廷詩を紹介してエリザベス調文化を広く伝えました。ポールグレープ編纂の「ゴールデン・トレジャリー」は年代別に詩を編纂し、アンソロジーの古典として知られています。

「アンソロジー」を使った例文

「友人に勧められたアンソロジーを読む」

「作者の死後に数多くのアンソロジーが刊行された」

「アンソロジーに収録されなった詩がこの詩集には載っている」

「作家活動と併せてアンソロジーの編纂者としても成功した」

詩や和歌以外の「アンソロジー」とは

現代のアンソロジーはジャンルを問わない

かつては詩や和歌を集めて編纂したものをアンソロジーと呼んでいましたが、現在ではジャンルの垣根を超えて作られた作品集のことをアンソロジーと呼ばれます。

小説や漫画・コミックなどの文学において特定のテーマで様々な著者や作者の作品で編纂されたものはアンソロジーですし、卒業文集もアンソロジーの一種と考えられています。

また文芸以外では、歌曲や絵画の作品集をアンソロジーと称していることもあります。

「アンソロジーコミック」とはパロディ漫画の作品集

特定のテーマで複数のコミック作品を集めた作品集は「アンソロジーコミック」と呼ばれています。アンソロコミックと略されることもある「アンソロジーコミック」には2種類あり、1つはコミックやゲーム、小説、アニメ作品の主に短編のパロディを集めた作品集、もう1つは特定のワードのもとに集められた漫画・コミックの作品集です。

ある特定作品のパロディ作品集には「同人誌」もありますが、「同人誌」は同人誌のほとんどが自費出版であるのに対して、アンソロジーコミックは出版社から刊行されて市場に流通するという違いがあります。

「アンソロジー」の類語との違い

「オムニバス」は複数の独立した作品を集めて一つにまとめたもの

「オムニバス」とは、独立した作品をいくつか集めて一つの作品としてまとめたもののことです。文学、演劇、映画、ドラマ、音楽などさまざまな分野で使われています。作者を問わず同ジャンルや同テーマでまとめられてオムニバスと呼びますが、文学作品に関しては、異なる著者の作品を集めたのではなく、一人の作者の複数の作品を編纂したものを「オムニバス」と呼びます。

分野ごとにオムニバスの使い方が違うとはいえ、オムニバスは様々な芸術分野で使われているのに対して、「アンソロジー」は文芸関係に限られて使われます。

「コンピレーション」とは音楽作品をまとめたもの

「コンピレーション」とは音楽作品に限った言い方で、ある特定のテーマで楽曲を集めてレコードやCD等の形式でアルバムとして編集されたアルバムのことです。ミュージシャンの代表的な曲を集めた者やジャンル別のヒット曲集などがあります。「コンピレーション」とは英語の「compilation」から派生したカタカナ語で、「編集」や「寄せ集め」という意味になります。

様々な楽曲を集めたミュージックアルバムが「オムニバス」と呼ばれることがありますが、「オムニバス」は特定のテーマを決めずに楽曲を編纂したアルバムなのに対して、「コンピレーション」は特定のテーマがあるというように使い分けられています。しかしこのような使い分けは日本独特で、海外ではテーマの有無に限らず楽曲を編集したアルバムは「コンピレーション」と呼ばれます。

文芸作品の作品集なら「アンソロジー」、音楽なら「コンピレーション」と覚えておくとわかりやすいでしょう。

「合同誌」とは参加者全員が分担して行うもの

「アンソロジー」に似た言葉に、「合同誌」というものがあります。「アンソロジー」は作品集をまとめる主催者(個人や企業など)が出費・編集・販売をとりまとめることになりますが、「合同誌」は出費・編集・販売を参加する作家全員で分担します。

つまり、「合同誌に参加してほしい」と言われた場合、作家側にも印刷代などのカンパを求めていることになります。条件はさまざまですので、責任者に確認を取ることをおすすめします。

「アンソロジー」の英語表現

「アンソロジー」とは英語で「anthology」

「アンソロジー」は英語で「anthology」と言い、同テーマまたは同形式の芸術作品を集めたもののことを指します。「anthology」はアンソロジーのようにかつては詩選のことでしたが、今では芸術の分野は関係なく使われています。

「アンソロジー」を使った英語例文

“An anthology of modern Japanese poems.”

「現代日本の詩のアンソロジー」

“The anthology of his popular short novels was published.”

「彼の人気のある短編小説のアンソロジーが出版された」

まとめ

「アンソロジー」は本来は詩選という意味で使われていましたが、現在では詩以外での他の芸術の作品集という意味で使われている言葉です。日本では古くは「万葉集」に始まり、アンソロジーコミックや競走馬名にも用いられる「アンソロジー」は幅広く使われている言葉のひとつです。