租税回避を報告?
梅雨は終わったのかというくらい、広島はいい天気が続いてます。緊急事態宣言下、観光客がまったくいない平和公園周辺は、寂しいながらも、幸か不幸かゆったりとした雰囲気です。
さて、僕は日税連の国際税務情報研究会という研究機関で委員をさせてもらっていますが、現在の自分の担当として、イギリスの租税回避スキームの開示制度について調べています。
この制度はDOTASと呼ばれるものですが、簡単にいうと、知恵を絞って考えた節税(租税回避)のための作戦を実行するときには、それを速やかに税務署に報告しなさいというルールです。
私的な取引をいちいち税務署に知られたくないのがふつうの納税者の感覚だと思いますが、このDOTASは、きわどい節税作戦を実行するときは税務署への報告を義務付けて、その報告をしないと罰金をかけるという制度です。
ちょっと強権的な制度のようにみえますが、イギリスではもう2004年から導入されていて、いままで途切れることなく存続しています。その背景にはおそらく、極端な節税作戦をパッケージとして販売する業者が横行してしまったことがあるのだろうと思います。
節税作戦の報告を怠った納税者に対して税務署は罰金をかけ、報告を受けたら場合によってはそのスキームを否認するための検討をするわけなので、納税者にとってはまったくいいことがないじゃないかという印象です。
実はこの点について、イギリスではDOTASによって報告をきちんとした納税者に対しては、たとえ否認されたとしても加算税を免除したりする道が開けています。つまり、納税者にとっても、その作戦をちゃんと開示することで、注意義務を果たせば、制裁を受けにくくなるという利点があるわけです。
日本でもこの義務的開示制度の導入が検討されている?ようですが、少なくとも正直に開示した納税者を優遇する何らかの制度が必要だと思っています。明日の会議で本格的にこのテーマでの研究がスタートします。