家をよくしたくて、私が試行錯誤したこと、学んだこと。
夢を実現した家を見学して、住んでいる人から話を聴く。
最初は住宅展示場に行って、住友林業やスウェーデンハウスを、いいな、と思いましたし、無印良品の家も、まあ、なかなか、と思ったりしました。
私が好きだったのは、代官山のBESSの展示場と、大倉山にある「もくもくはうす」でした。オープンハウスにも何度も足を運び、夢を実現した家を見学して、住んでいる人の話を聴いて刺激を受けていました。それと、不動産屋さんで面白そうな物件を見つけては内見し、できるだけ住んでいる人と話しました。
その人がどんなこだわりをもっていて、どんな暮らしをして、どんな幸せを味わっているのかを目の当たりにして、自分と照らし合わせていました。
もし、家を建てたい、と思っているようでしたら、住宅展示場に行くよりも、こだわって建てた家を3軒見学して、その人から直接話を聴くことを、ぜひおすすめします。
😃わが家も喜んでお見せします!お気軽に連絡ください。😃
気になる建築家に会いにいく。
また、当時、「住む」という雑誌が好きで、その雑誌に載っている建築家に会いに行って夢を膨らませました。私は中村好文さんという建築家のファンだったのですが、他にも気になる建築家が何人かいて、ワクワクしながらやりとりしました。
会って話すことで、相性がわかるし、自分の考えが整理できます。私が今住んでいる家は、「住む」に出ていた寺林省二さんと建てたのですが、話して、私のことを私以上にわかってくれている、という印象を受けました。よい方とよいご縁が結べました。
↓ちなみにこちらは、志田茂さんのHPです。家と暮らしについてわかりやすく書かれていて、読めぱ家のモヤモヤが解消するかもしれません。
でも、その前に、とても大きな出会いがありました。
木を自分で敷く。
それが、SMALL WOOD TOKYOの「敷くだけフローリング」です。東京の杉・ヒノキの間伐材を有効活用すべく、DIYで床に敷くことをコンセプトとして商品化された無垢フローリング材です。
SMALL WOOD TOKYOは、安田さんと小田原さんという2人の編集者がつくった合同会社で、残念ながら今はありません。当時、井の頭公園のそばに小さな2階建てのオフィスがあり、そこに敷きつめた杉・ヒノキをみて、これだ!と思いました。
おそらく、ほとんどの人は、木を自分で敷ける、とは思っていないでしょう。当時の私もそうでした。木の家に住みたい、という欲望を叶えるには、リフォームや新築をするしかない、と、勝手に思いこんでいました。
それまでいろんな「自然素材の家」を見学して、木の家が気持ちいいのは、木の床が気持ちいいからだ、と、感じていましたが、じゃあ、自分で木を床に敷けばいい、とは思いませんでした。
なぜでしょう・・・
どうやら日本人は、料理は自分でつくるけど、住まいに手を入れるのは自分でやるのは難しい、という考えの人が多いようです。調理道具は持っていても、DIY道具をもっている人は相対的にかなり少ないはずです。それと、床は下地に「貼る」のが一般的であって、それゆえに大工さんのような技術がないとダメ、という認識があります。床に「敷くだけ」でいい、とはふつうは思いません。だから、当時の私が、自分で敷けばいいんだ、と気づけなかったのも無理からぬことだと思います。
それまで私はDIYをしたことがなかったですが、杉とヒノキのなんとも居心地のよい空間を目の当たりにして、目からウロコが落ちました。リフォームや新築で何百万、何千万もかける前に、やれることがあったのです。
とりあえず敷こう、でいい。
そもそも「理想の家」を建てようとして、たくさん調べて、自分の好みを理解して、いい設計士や工務店に巡りあえても、住んでみないとわからないことはたくさんあります。家族がそれぞれ成長すれば、必要な空間は変わりますし、自分の好みだって変わるかもしれません。私もふたりの子がいて、当時はふたりとも幼児でした。今建てるよりも、まずは木を敷いてみる、という選択は、そういう意味でもよい気がしました。
別にDIYでなくても、掃除でも、モノを捨てることでも構いません。家に手をかけることで、空間に何かを生み出しているのです。
後から思えば、家を建てる前に、気になるところを自分の工夫で解消できたのは、とてもよかったです。家を自分で変えられる、という手応えを手にすることができましたし、自分がDIYでどこまでやれるかをつかむことができました。そのうえで、人生を差し出すようなお金を次の大きな機会にとっておけました。
DIYは料理と同じ。要は慣れです。何より楽しいし、精神的に豊かになれます。
夢が叶った。
ところで、ブラザーズの相棒であるS氏は、私より少しだけ遅れて「敷くだけフローリング」を敷きはじめたのですが、そのまま今もずっとDIYによる家の木質化を突き進んでいます。床も壁もぜんぶ杉。濃密なパワースポット空間です。(笑)
いっぽう、私はマンションの床に敷き詰めた後、空間を工夫で変えられる限界も感じとりました。木の家であることは満たされましたが、もっと自由で楽しい空間が欲しくなりました。
それと、「人とつながる」という漠とした(根源的な?)欲求が私にはあって、その舞台となるような住まいにしたい、と夢を描きました。うんと悩んだ末に、寺林さんと、その夢を内包した家を建てました。外とのつながりとおおらかさを持った木の家です。住みながら手を入れる前提の、つくりこまない、素直な家です。
実は、家が完成して引き渡されたときは、こんなもんか、という感じで、あまり感慨がありませんでした。でも、その家で「住み開き」をして、わが家に40人くらいの人たちがワイワイ集う様子を眺めたとき、「夢が叶った」と、深く感じいったことを覚えています。
敷いてよかった!を広げたい。
家を建てる決断をしたこともそうですが、その前に「敷くだけフローリング」に出会ったことが、のちの人生を変えたと思います。カッコよくいえば、木の床を敷くことで、「生きることはつくること」という哲学が芽生えた、と、いえるかもしれません。
それは、自分が経験してよかったから、だけではありません。床を木にすることが、空間を劇的に変えることを確信しているからです。