DJIの野外フェス撮影手法 - Rising Sun Rock Festival
DJI JAPANが、2015年から公式クルーとして、空と地上から撮影を行ってきたRising Sun Rock Festival。今回は野外フェスならではの撮影手法について紹介していきます。
この動画はDJIが撮影した2016年開催のハイライト映像です。
使用機材
空撮:DJI Inspire 1 RAW、DJI Phantom 4
地撮:DJI Osmo RAW/Pro/X3、Ronin-M
野外フェスのようなイベントは、国土交通省が定める飛行ルールにおける規制事項の一つ「祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空」での飛行に該当するため、ドローンパイロットには高度な飛行技能に加えて必須となる安全飛行対策についても触れていきます。
Rising Sun Rock Festivalとは
Rising Sun Rock Festival は、1999年に初めて北海道は石狩の大地で開催されてから2016年で18回目を迎えました 。日本初の本格的オールナイト野外ロックフェスティバルとしての地位を確立し、日本の主要フェスの一つに位置付けられています。
広い敷地にテントエリアが設けられ、フェス参加者がキャンプを楽しみながら、音楽に酔いしれる自由でゆったりとした環境と空気感は、日本ではRising Sun Rock Festivalを除いて他ありません。Rising Sunと名がつく通り、最終日には朝日とともにイベントが幕を閉じます。
DJI JAPANが公式撮影クルーとして参加するきっかけは、フェス主催者が映像制作にも非常に力を入れており、早期からドローン空撮に注目していたことです。
2015年には、空撮ドローン「DJI Inspire 1」や「DJI Phantom 3」シリーズを使って空から撮りながらも、地上撮影に関しては、当時は手ぶれを抑えられる手持ち型4Kカメラ「DJI Osmo」が登場する以前であったことから、 カメラを載せた3軸ジンバル・カメラスタビライザー「DJI Ronin」だけでなく、DJI Inspire 1やPhantom 3を掲げて歩き回っていました。
ドローン自体がまだまだ珍しいこともあり、会場内を飛び回るInspire 1やPhantom 3を見上げては、初めて見るドローンに驚かれたものです 。
2016年はというと、老若男女問わず「ドローンだ!」と指差しながら、ドローンが飛ぶ様子にまるで慣れているように笑顔を向ける様がとても新鮮で、DJIとしては嬉しい場面が多々ありました。
野外フェス空撮に向けた安全対策
個人または法人問わず、ドローンパイロットが空撮する前にまず確認しなければならないことは、安全飛行のための対策が十分であるかということです。
国土交通省が定める飛行ルールに照らし合わせて飛行規制対象になっているのか、規制区域外での飛行であっても、飛行場所で事故がないように飛ばすことができるのかを検討しておかなくてはなりません。もちろん、地図だけでは全てを見知ることが難しいため、当日の現場で飛行前確認が重要です。
DJIのホームページでは、安全飛行に関わるルールや飛行規制区域が検索できるフライトマップを公開していますのでぜひ活用してください。
DJI JAPANのドローンパイロットは、国土交通省から全国での飛行承諾を得ていますが、「祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空」に該当する野外フェスでは、別途飛行申請を行い撮影に臨んでいます。
DJIはドローンメーカーであり、 DJI製品に特化した法人向け飛行技能検定「DJI Camp」を主催するなど、安全飛行に対する啓発活動を率先して行う立場にあることから、現場での空撮はまさにDJIにとってもデモンストレーションの機会でもあります。
DJI JAPANが空撮を行う際には、常にドローンパイロットと映像ディレクターがタッグを組むことで、編集時に”使える”映像の撮影を可能にしています。Inspire シリーズを用いる際には、飛行とカメラ操作をそれぞれ分担することができるため、より各々の役割に集中することができます。
どのような機種を使うかに関わらず意識すべきポイントは、カメラを軸に飛ばすということを終始心がけることです。高度な飛行技術がなければプロの現場では通用しませんが、技術だけがあってもいい映像が撮れるわけではありません。ドローンパイロット自身も撮影から編集までの映像制作ワークフローに関わる知識を得ることが、素晴らしい作品作りに繋がるのです。
Rising Sun Rock Festivalの空撮は、広大な会場と各ライブステージ、そこに集うフェス参加者を空から俯瞰的に捉えることで、イベント会場の様子をダイナミックに観る人々に伝えています。まるで人々の真上を飛んでいるような映像も、飛行させるに安全な場所から撮影しており、こうした空撮には高度な飛行技術とカメラワークの双方が求められます。
DJIの空撮ドローンの強みは、飛行を支援する最先端の技術を実装していることです。GPSセンサー、機体の位置認識を行うビジョンポジショニングセンサー、衝突回避センサーなどに加え、被写体の追尾、旋回機能など様々な自動飛行技術が備わっており、初めてコントローラーに触った人でもすぐに飛行させることができるようになります。
プロのドローンパイロットは、こうしたセンサー機能を意図的にすべてオフにして風に機体を流させることで、より滑らかな映像を撮ったりする撮影手法を用いることもあります。DJI JAPANのパイロットが語る空撮ノウハウをテーマにしたブログ記事をいずれ執筆予定ですのでお楽しみに!
DJI流の地上撮影
(繰り返しになりますが)DJIの製品ラインアップには、地上撮影ツールとして、ドローン空撮時の映像のブレを低減させるジンバル技術を応用した手持ち型カメラ「DJI Osmo」シリーズや3軸ジンバル・カメラスタビライザー「DJI Ronin」シリーズがあります。
皆さんがお使いのスマートフォンのカメラでブレない動画が撮れる「DJI Osmo Mobile」といったユニークな製品も発表しています(以下はOsmo Mobile紹介映像です)。一昔前までは、スタビライザー製品といえばプロが使うものでしたが、今日では誰もが楽しく動画で思い出を残せるようになっています。
こうしたツールを使えば、動き回りながらの撮影が可能になることから、広大な敷地で行われる音楽フェスティバルのようなイベントでは特にその威力を発揮します。
Rinsing Sun Rock Festivalでは、ステージでライブの撮影を行う一方で、OsmoやRoninを使って、イベントを楽しむ人々の様子も撮って周りました。特に片手で持てるOsmoシリーズ(Osmo Pro/X3)は、非常に小型な製品であることから、カメラを向けられた被写体に構えられることなく、ライブ会場内やテントエリアで過ごす人々の自然な表情を撮ることができました。Rinsing Sun Rock Festivalが持つ自由な空気感を伝える上では、Osmoシリーズは必須のツールです。
DJIが目指したもの
DJI JAPANが2015年、2016年の公式撮影クルーとして作りたかった映像は、単にイベントのプロモーション動画ではなく、Rising Sun Rock Festivalに参加した人々が観る度に、楽しかった思い出が褪せることなく昨日の事のように蘇り、楽しめるものです。そのような作品はきっとさらなる音楽ファンをRising Sun Rock Festivalへと惹きつけると信じて。