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聖なる場所

2018.06.10 03:10

Facebook・清水 友邦さん投稿記事 「聖なる場所」

神話時代の人々は自然界の全ての生命、人間も動物,植物、石までが一つの大きな命の一部分であると考えていました。

縄文時代はブナの巨木が至る所にそびえていました。

お金の時代になると森林は欲望の対象となり森は売り渡されました。

ブナやクリなどの広葉樹は大規模に伐採され、生き物の餌となる木の実が激減して獣は姿を消していきました。

森が消え、クマや小鳥が消えてゆく、これは他の生物を巻き込んだゆるやかな人間の自殺です。

ギリシャ文明と森の消滅はほぼ正比例しています。

世界各地の文明は森が消えたために文明が衰え、滅んで行きました。

人間も生きている地球と言う網の結び目の一つです。

すべての生き物はそれから離れる事は出来ません。

日本人は自然を畏怖し、神々や精霊との関係を大切にしてきた縄文の心を古層にもっていました。

現代人は頭の中の思考を自分と思い込み、経済を神と仰ぎ、母なる地球に依存していることを忘れています。

環境破壊で最も深刻な問題が森林伐採です。

生態系破壊は野生生物からの新たなウィルスによる感染症の増加を次々と招いています。

聖なる森は母なる大地との繋がりを思い出させてくれる場所なのです。

深刻な感染症、森林破壊のせいで増加

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/112600684/

牧畜のために伐採されたアマゾン横断道路沿いの熱帯雨林。こうした伐採は、マラリアなどの感染症の蔓延につながることが新たな研究で示された。

 1997年、インドネシアの森の上空は煙に覆われていた。農地を作るための火が、干ばつの影響によって、日本の本州の半分を超えるほどの広さに燃え広がったのだ。煙のせいで木々は実をつけることができず、これを主食とするオオコウモリは食べ物を求めて他の土地へと飛び去った。

 このときオオコウモリと一緒に、ある病気も森の外へ出た。

 オオコウモリがマレーシアの果樹園に住みついてまもなく、近隣地域のブタに病が広がりはじめた。原因はおそらく、オオコウモリがかじった果実を食べたせいだと報告された。(参考記事:「エボラウイルスの感染源に意外な動物」)

 病気は養豚農家の人々にも感染した。1999年までには、265人が重度の脳炎を起こし、105人が死亡した。ニパウイルスの人への感染は、このとき初めて確認され、以後、東南アジア全域で流行を繰り返している。

 森林伐採が急速に進行する地域では、通常は野生生物の間でのみ発生する感染症が人間にまで広まる例が数多く見られる。森林破壊の結果として、ニパウイルス、ラッサウイルス、マラリアやライム病を引き起こす寄生虫など、深刻な病を引き起こす病原体が人間にも広まっていることを示す科学的証拠は、この20年間で数多く見つかっている。(参考記事:「人と動物を襲う感染症」)

 アマゾンのほか、アフリカや東南アジアの一部地域では、今も畑を作るために広大な森が焼かれており、専門家らは周辺地域に住む人々の健康についての懸念を表明している。また、次の感染症の世界的流行が、世界各地の森林から始まる恐れもあるという。

「森林破壊が伝染病を拡散させる強力なきっかけになることは、十分な証拠に裏打ちされた事実です」。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校地球研究所の疾病生態学者、アンディ・マクドナルド氏はそう語る。「人間が森林環境を破壊して生物のすみかを多く奪うほど、感染症の流行が発生する状況を作り出してしまう可能性は高まります」

生物多様性と私たちの生活

http://ea21.jp/files/pdf/2018-tokyo-kichokoen.pdf

国立環境研究所 五箇公一

1 はじめに

生物多様性という言葉がもてはやされて久しくなりますが、生物多様性の意味や重要性に対する理解が十分に多くの人に得られているとは言えません。同時にどれほど生物多様性が危機にさらされているのかも実生活上では実感しづらいところがあります。しかし、生物多様性の衰退は、水・土壌・大気環境の悪化や感染症・有害生物の蔓延というかたちで確実に我々の生活にも影響を及ぼし始めています。本講座では生物多様性の意義と現状、特に外来生物を含む人為的なかく乱要因による生物多様性の危機について、国立環境研究所での研究成果を交えながら、解説するとともに、私たち人類の未来を支えるために生物多様性とどう向き合うべきかを議論したいと思います。

2 生物多様性とは

生物多様性とは、遺伝子の多様性から個体群・種の多様性、生態系の多様性に至るさまざまな階層での多様性を包括する概念をいいます。地球上に存在する種は、種名がつけられているものだけでも170 万種以上、未発見の種を含めると 3000 万種とも 1 億種ともいわれています。これだけの膨大な数の種によって多様な遺伝子プールが維持されると同時に、多様な生態系が全地球上に展開され、地球レベルでのエネルギー流動および物質循環が安定して行われています。

図1 生物多様性の階層性

3 生物多様性の創造ー進化と絶滅の歴史ー

地球上に生存する何千万種もの生物は、種ごとに形態も生活史もさまざまであり、それぞれの種内にも豊富な遺伝的変異が含まれています。このような生物多様性は、今からおよそ 38億年前に地球上に生命が誕生して以来、脈々と続いてきた生物進化と絶滅の歴史の繰り返しのなかで誕生したものです。

生物は、その進化の歴史の中で多くの種が絶滅しており、特に大絶滅とよばれる地球規模での生物種の激減を 5 回も経験しています。1 度目の大絶滅は 4 億 4000 万年前のオルドビス紀に起き、それ以降は 3 億 6500 万年前デボン紀、2 億 4500 万年前ペルム紀、2 億 1000 万年前三畳紀、そして 6500 万年前白亜紀と続きます。これらの大きな破局の原因は、大陸移動などの地殻変動や隕石の衝突などの大異変に伴う気候変化と考えられています。

大絶滅のたびに生物種は大幅に減少しました、それは新しい種の進化の場を与えてくれる重要なイベントでもありました。白亜紀後期の恐竜の絶滅によって、それまで影を潜めていた哺乳類が代わって地上で繁栄し、6000 万年以上もの年月をかけた進化の果てにわれわれ人類が誕生したのです。

4 生物多様性の崩壊ー現代の大絶滅ー

人類は先史時代の分布拡大に伴い、地球上の生物たちをつぎつぎに絶滅に追いやってきました。現在の地球上で起こっている生物種の絶滅速度は過去のいかなる絶滅よりも圧倒的に大きいとされます。

恐竜時代の大絶滅ですら、化石データからの検証によれば 200 万年以上の長い時間をかけて徐々に進行したと考えられ、その絶滅速度は 1 年に 1~3 種程度と計算されます。現在の大絶滅では、熱帯林の奥地から極地の氷上に至るまで、地球上のいたる所に人間活動の影響が及び、新しい種を生み出すための遺伝子資源と進化のための時間が急速に奪われています。

図2 絶滅速度の推移

4.1 生物種の生息地破壊

世界規模での生態系破壊の中でも森林破壊は最も深刻な問題です。8000 年前、5000 万~6000万 km2 を占めていた森林は、人間による土地開発および木材資源の伐採のために、その 3 分の 2 に当たる 3454 万 km2 にまで縮小し、今もなお消失し続けています。ちなみに東南アジアで伐採されている木材の 7 割は、日本へ輸出されています。

4.2 化学物質による汚染

人間は、石油化学を駆使して、農薬や化学肥料、プラスティック、医薬品など多くの合成化学物質を生産してきました。しかし、これら化学物質の中には、自然界に流出することで生物多様性に深刻なダメージを与えるものが多数あります。自然生態系の中には存在し得なかった合成化学物質に対して、多くの野生生物は防御機構も分解能力も持ち合わせていません。

4.3 乱 獲

日本は、1982 年時点で象牙世界総取引量の約 60%を、タイマイの甲羅を年間 30~40 トンを輸入していました。さらに、モロッコのタコを毎年 2 万トン以上乱獲し、絶滅の危機に追いやりました。

その結果、アフリカゾウとタイマイは、ワシントン条約により国際取引が禁止され、モロッコのタコは政府により禁漁処置が発動されました。近年、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたことが話題になりましたが、これも日本人が大量の捕獲し食べ続けて来た結果と言っていいでしょう。

5 地域固有性を脅かす外来生物

近年、人間による環境破壊と物資の移送の国際化が急速に進む中、世界各地で外来生物が分布を広げ、地域固有の生態系や人間社会に悪影響を及ぼしていることが地球環境問題の一つとされます。

わが国でも既に多くの外来生物が定着して在来の生物相に甚大な被害をもたらしています。そうした中には日本人自らが意図して持ち込んだものも少なくありません。特に明治時代以降、食用目的で導入された外来生物が現在問題を引き起こしているケースが目立ちます。

例えば、ブラックバスと呼ばれるオオクチバスは、北米原産の大型の淡水性肉食魚ですが、1925年に食用目的で芦ノ湖に導入された種です。白身でフライなどにするとおいしいのですが、戦後、食用にされることはほとんどなくなり、スポーツフィッシングの対象として国内各地の内水面に放流され、在来魚類の減少を招いているとされます。

ウシガエルやアメリカザリガニも食用目的で北米から輸入されました。戦後の食料難には貴重なタンパク源とされたが、今や畜産・養殖魚で食卓は満たされ、侵略的外来生物として環境省の「ブラックリスト」に名を連ねています。

飽食の時代を迎え、新たな外来生物問題も浮上しています。意図せずして侵入してくる外来生物、すなわち「非意図的外来生物」の増加です。貿易の自由化が進むとともに農産物や工業産物の国際間移送が活発となり、それらの物資に付着して昆虫類やダニ類、菌類などの目に見えない外来生物が侵入し、分布を拡大し始めています。日本でも 90 年代以降、オーストラリア原産のセアカゴケグモや南米原産のアルゼンチンアリが数を増やしています。

そして最も侵入を警戒されていた外来毒アリ・ヒアリが昨年夏、日本各地の港湾でコンテナによって持ち込まれていることが確認され、日本中がパニック状態に陥りました。本種は1900年代までは北米にのみ侵入していましたが、2000年代に入ってから急速に太平洋沿岸諸国に分布を広げ、わずか5年の間にニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、中国南部、そして台湾にまで到達しました。日本への侵入は時間の問題と考えられていたのです。

この背景にも世界経済の発展が深く関わっています。かつてジャングルの国であった南米諸国はブラジルを中心に農業生産が拡大し、世界有数の食料輸出国となり、食料供給国であった中国や東南アジアが最大の食料消費国へと発展し始め、資源の流れが大きく変わりました。この潮流に乗って、ヒアリもやってきたのです。

今後も、資源開発競争、市場獲得競争は激しさを増し、中国に続き、インド、アフリカと市場経済の中心は流転していくことでしょう。それとともに新たなる外来種問題が日本へ次々と押し寄せてくることになると考えられます。また目に見える種だけではなく、デング熱やジカ熱などのように目に見えない感染症の病原体もまた外来生物として、グローバル化と都市化が進む中、いつどこから侵入して来るかわからない時代になったことにも警戒が必要です。

6 私たちの生活と生物多様性

今、地球上で進行している生物多様性減少の根本原因は、人間という生物が爆発的に増加し、地球上のエネルギーの大部分を独占していることにあります。本来、地球上の生物は、生態系というシステムの中で物質循環を行い、その生息数のバランスをとってきました。そうした自然循環システムから逸脱した生活を人間が送るようになったことから、生態系に大きな負荷が加わるようになり、生物の生息環境の悪化を招いています。生物多様性の減少は、私たち一人一人の生活様式と密接に結びついた問題といえるのです。

人間は、誰しもが幸福で豊かな生活を望みます。だからこそ、文明を発達させ、経済を発展させてきたのです。そして、発展の裏で、多くの自然と生物を犠牲にしてきました。しかし、人間の経済発展を成功させ、維持するための土台は地球環境であり、それを支えているのは、多くの生物種なのです。人間は自らの幸福と発展のためにも、生物と共生して生きていかなくてはなりません。今後、個人レベル、国家レベル、そして地球レベルで、これまでの消費型経済活動から、持続利用型の経済活動へとパラダイムの変換が求められます。

図3 健全な生態系と人口爆発後の崩壊した生態系

参考図書

五箇公一(2010)クワガタムシが語る生物多様性. 壮美社(集英社)

五箇公一(2016)感染症の生態学、日本生態学会編、共立出版

五箇公一(2017)終わりなき侵略者との闘い~増え続ける外来生物~ 、小学館