Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

詩人・作家 神泉 薫(Kaoru Shinsen)のブログ ~言の華~

【~多田智満子の章~試論集『十三人の詩徒』(七月堂)より⑪】

2021.09.30 00:15


試論集『十三人の詩徒』(七月堂)より、

詩人たちのご紹介も11人目。 


本日は、詩を書き始めたころからの憧れの詩人、多田智満子。

美しい「ひとひらの姿」をご紹介します。 


▶多田智満子(ただ ちまこ/1919~1990) 


東京生まれ。詩人、翻訳家、随筆家。 

全作品を通して、典雅で美しい、独自の形而上学に貫かれています。 


天と地を自在に往還する知の翼は、詩、翻訳、エッセイと

ジャンルを超えて、 生涯揺らぐことなく羽ばたき続けました。


 端正なことばの連なりは、古今の人類の歩みを大らかに見つめ、 

長い時のスパンを悠々と飛躍して佇んでいます。   


 すべては流れるといったとき 

 人はどんな表情をしていたか 

 エフェソスの河のながれは 

 江戸川の水につながる 

 水車はまわり風車はまわり 

 ひまわりはまわりおえて枯れる                 

            

  (「パンタ・レイ」)

  多田智満子『多田智満子詩集』(1972年・思潮社 現代詩文庫)

  (写真:多田智満子『多田智満子詩集』(1972年・思潮社 現代詩文庫)より)


少女期の愛読書は、『平家物語』と『プルターク英雄伝』。 

古歌や和漢の故事を織り込んだ謡曲に親しんだ日々は、 

多田の流麗な文体を形作る基盤となりました。 


多田の詩世界、内宇宙は、常に豊かな生の躍動に満ち、 

初期から晩年まで一貫した美学を貫き、決してぶれることがありません。


文学の世界に徹底して遊ぶこと。 

ことばを持つ人類が、生を受け、移ろいゆく森羅万象とどう関わり、

何を見つめ、 何を思考し続けてきたか。


文学の仕事の尊さを教えてくれる多田の作品群。 

普遍の光には、永遠の叡智(えいち)が宿っているのです。 


▶次回は稲葉真弓をご紹介します。


▶試論集『十三人の詩徒』(七月堂)

9月11日より、七月堂古書部で店頭販売が始まりました。

また、HPよりオンラインでご購入頂けます。

▶七月堂HP『十三人の詩徒』ご紹介&販売ページ

新しい読者との出会いを待っています!


【神泉薫HP】 【神泉薫著作】 【お問い合わせ】