室内パネルをデザインしました
tentline(テントライン)
マツイリミコ建築設計事務所 一級建築士事務所
松井 理美子
建築設計のお仕事は幅が広く、ランドスケープからカトラリーまで、大きいものから小さいものまで、建築にかかわる様々なモノのデザインをすることがあります。
2年ほど前に室内パネルのデザインを依頼され、2020年に製品化されました。
室内パネルとは、壁面などに張り空間のアクセントにするタイルのようなものです。
その室内パネルのデザインが製品化するまでについて書きます。
4種のデザインを提案し、2種が採用となりました。
そのうち、紆余曲折のうえ製品化にこぎついた「フラワー」をピックアップします。
はじめに手書きスケッチをつくりました。
花をデザインする際、可愛すぎたり女性らしさアピール!的なデザインにならないよう心掛けつつも、優しい雰囲気は持たせたいと考えました。
花弁のカタチを丸くすると甘すぎる気がしたので、可能な限りエッジ(へり、端部)を際立たせ直線で構成された花をつくりました。
平坦なところに花のカタチに浮きだたせる凸デザインを提案しましたが、製作条件として凹凸は3mmまでという条件があったので少し変更しました。
CG、図面をおこしてもらいました。
試作原型ができました。
原型を元にシリコン型をつくり、次に試作品ができ上がってきました。
エッジもきいていい感じです。
ところが、凸デザインだと輸送時にエッジが破損するリスクがあるとのこと。どうしてもこのままでは製品化は難しいと言われました。
主原料であるシラスと石膏はやわらかい材料なので、細かい部分に強い衝撃がかかると耐えられないようです。
凸デザインの試作品がとても気に入っていたのですが、急遽凹デザインに変更し再出発です。
変更後の図面ができました。
そして、とうとう完成しました。
今年の3月に開催された建材の展示会(JAPAN SHOP 2021)に出展されました。
材料の特性を考えたうえでデザインすることの難しさを感じましたが、とてもワクワクできたいい経験になりました。
最後に、商品についての概要です。
土壁と温度調整新素材のハイブリッドパネル「シラス アドイン・クール」高千穂シラス株式会社
http://www.takachiho-shirasu.co.jp/products/add-in-cool/
表面仕上げは南九州の火山噴出物「シラス」を主成分にする100%自然素材なので、合成樹脂ゼロで健康的
ニオイや有害な化学物質を吸着し、室内の湿気もコントロール
特徴:温度調節性能、消臭性能、調湿性能、抗菌効果
デザイン・カラー:デザインは4種、カラーは5色
サイズ:298mm×298mm×厚15mm
設置方法:面ファスナーまたは両面テープにより設置