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近藤昇オフィシャルサイト

口八丁手八丁の人の価値が高まる時代

2021.06.10 01:05

仕事を長年やっていると、どんな職業でもたいてい口がうまくなるものだ。

口八丁手八丁という有名な言い方がある。悪い意味でも使う場合もあるが、本来の意味は良い意味で使う。

しゃべるのも行動も、一流であるという意味である。実際、仕事の世界では、できる人はこのバランスが良い。

しかし、なかなかどんな仕事でも一流の世界には到達しにくい。


昔は、不言実行の人は徳があるとされた時代も確かにあった。男は黙って勝負しろという風な感じで。それが最近は、有言実行がより上を行く姿として認知されてきた。

有言実行の方が、オープンだしコミットメントを伴う時もあり、難易度が高い。


しかしながら、言うだけの人もまた増える一方のような気がする。


口がうまい、弁が立つなどは色んな意味合いで使われているが、こちらはあまり良い風には使われていないように思う。特に、“あの人、口がうまいね。”という言い方を日常会話で使うとしたら、どうもあの人、信用できないよね。多分、言うだけだよねというニュアンスが大きい。


口八丁手八丁の対義語を調べると、口たたきの手足らずとある。なんともシビアな響きだ。


話は変わるが、正直、年を重ねて経験を積んでくると、自分の実力以上に話が大きくなったり、すごく見せようとしたりしたときに、昔よりはそれが出来てしまう自分に気づく。


20年ほど前に、韓国でビジネスをしていた時は、彼らのハッタリ度には驚いた。

私は正直その頃は、100を120ぐらいに大きくして自己PRをしていた。韓国はそんなレベルではなかったのである。なんと、100を200に言うのが当たり前だった。


今、韓国人と仕事していないので変わってきたかもしれないが、新興国で仕事していても感じるのは、やはり日本だけがとても謙虚過ぎると思う。

この背景には、ハングリーであるとか、リスクテイクできる度胸があるか、余裕がないからここぞという時のパワーの出し方は凄いとか色々とある。


だから、プレゼンなどは、日本は総じて押し出しが弱いと言われる。

もちろん、口八丁手八丁の話は、こういう話とはニュアンスが違う。どんな場合でも、口だけの人というのは、信用されない。

要は、実行が伴わないからだ。


だから、大きな話をしてもそれを実行しようとする押し出しの強い人は違う。

こちらは、決して言うだけの人ではない。


私が思うに、口がどんどんうまくなればなるほど、謙虚になれるかどうかだと思う。

実れば実るほど首を垂れる稲穂かなに通ずるものがあるが、口が上手になればなるほど、こちらでは勝負しない。常に言うことよりも実行や行動の方が説得力あるようにふるまう。


こういう姿勢がバランスを失わない一番のポイントではと思う。


もっといただけないことがある。

何か不注意やスキル不足でミスをした時。あるいは、納期遅延が発生した時、顧客からクレームを受けた時。こういう時に、言い訳の口が先に動くようでは、成長はおぼつかない。


こういう時こそ、正直にあるがままをしっかり、しかるべき人に報告することが重要だ。こういう時に、取り繕うように、口でごまかさないことである。仮に些細なごまかしでもこれが積もり積もれば悪い習慣が身につく。

これはまるで口だけの人になるトレーニングをしているようなものである。


これからの日本は、世界をリードできる分野は沢山ある。そのためにも、真の口八丁手八丁を目指したいと思う。私も書くからには、有言実行しようと思う。


以上