The xx インタビュー | 後編「ツアーの必需品はふたりの親友」
ミュージックラバーなモデル・菅野結以が、愛と情熱をぶつけたオリヴァー・シム(The xx)へのインタビュー。後半は、彼女のフランクなパーソナリティーにオリヴァーがより心を開きはじめ、まるで友人に語りかけるように、自身のファッション観やメンバーとの関係性、さらには彼が思う未来への希望などをゆっくりと言葉で表現していく。
ファッションも音楽もアート
スタイルを持つことが重要
ー日本ではThe xxはファッションとの親和性も高くて、ファッション業界の人たちからの支持が高い印象があるんです。
オリヴァー・シム(以下OS) それは最高だね。ファッションと音楽というふたつのジャンルで、お互いがインスパイアし合っているっていう関係性がすごく好きなんだよね。僕自身も〈ディオール〉のキャンペーンに出演したり〈シャネル〉のショーでプレイしたりとか……あとファッションデザイナーの人から僕たちの音楽を好きって言ってもらったり、そういうファッションシーンでの経験が、音楽への自信にも繋がっている気がする。ステージでも自分の好きな服を着ているとプレイの調子も上がるしね。ファッション業界はそんなに詳しいわけではないし、知識があるわけではないけれど、スタイルを持つことにはすごく興味があるよ。
ー今日は私服ですか?
(※この日のオリヴァーはオールブラックのコーディネート)
OS そうだよ。着心地のいいものを着ているだけだけど。最近はもう少しカラフルなものを着ようかなって思って努力しているんだけれど、やっぱり気付くと黒を選んでしまうんだよね(笑)。思えば10代のときから黒ばかり着ている気がするよ。あっ、でも今回のニューアルバムでは、ファッションだけじゃなくていろんな意味で、もう少しカラフルなものに挑戦しているから、ちゃんと努力はしているんだよ(笑)!
ーファッションと音楽は、それぞれ大きな繋がりがあって互いに影響し合うものですよね!
OS もちろん! どちらもアートだしね。ほら、デヴィッド・ボウイとかグレイス・ジョーンズとか彼らのファッションが世代の象徴になっていたりもするし、それが社会現象になるっていうのはとんでもなく素晴らしいことだと思う。
ーぜひ彼らの後に続いて、オリヴァーにはファッションリーダーとして今の世代を背負っていってほしいです!
OS うわー、それは最高だなぁ。もっとファッションとのコラボをやってみたいと思っているよ。今すぐっていうよりは、ずっと先の将来の話だけれどね。
ジェイミーとロミーとは
ずっと兄弟みたいな関係
ー楽しみにしています。これからツアーで各地をまわると思うのですが、ツアーに持って行く必需品は?
OS 「ふたりの親友」だね(笑)!
ーうわぁー、すごく素敵!
OS ははは(笑)。あとは、なにか持って行くというよりは、僕にとって“泳ぐこと”がすごくリラックスできることなんだよね。だから、必ずプールがある滞在先を選ぶっていうのとかはあるかな。
ーツアー中は忙しいと思うのですが、メンバー同士でなにか一緒に楽しむことはありますかりますか?
OS なんだろうなぁ。ジェイミーとロミーは、よくスケートボードをやっているよ。僕はちゃんと地に足をつけているからやらないけどね(笑)。あと最近の面白い習慣は、一緒にスパにいくってことかな。ニューヨークでも3人でスパに行って、スチームのなかでミーティングしたりしたんだよ。あとは、3人で新しい場所をまわって新しい発見をしたりとか、メンバーのおすすめの場所に連れて行ってもらうとかはよくあるかも。ジェイミーだったら、レコードに精通しているから、その土地のレコードショップを案内してもらったりね。
ーライブ前に必ずやることや、自分のなかのジンクスのようなことは?
OS そうだなぁ。そういや最近は3人でライブ前に、楽屋でディスコを聞いて踊ることが定番かも(笑)。はは、信じられないって!? でもほら、ライブだと長くステージに立っているから、みんなで跳ねたりしてダンスしながら体を慣らしているんだよ。踊りはみんな変だしヘタクソなんだけどね(笑)。
ー本当に3人は仲良しですね。
OS そうだね、みんな兄弟みたいな関係かな。バンドって、何年か経つとひとりだけが目立ってしまうみたいなことがこの世界にはよくあると思うんだよね。だから今の僕たちのように全員が近い距離でいられることにすごく感謝をしているし、そのことにすごく価値を感じてしているよ。ロミーに関しては3歳から知っているし、ジェイミーは11歳からの仲だからね。
こんな社会情勢だからこそ
いいことが始まるかもしれない
ー長い間、お互いへのリスペクトを忘れずにいられる関係を保ているってすごく素敵。 今年ももうすぐ終わりそうですが、2016年はオリヴァーにとってどのような年でしたか?
OS とにかく挑戦の1年だったよ。今の時代って、社会情勢の影響もあるし、音楽だったりアートだったりファッションというものに対して、ネガティブな気持ちでいようと思えばいくらでもいられるような状況だと思うんだよね。でも過去を思い返すと、パンクのムーブメントも、イギリスが暗い時期に生まれたものだったし、そう考えると、2017年はなにかいいことが始まるかもしれないなってワクワクしているよ!
ー日本では新年に“新しい年の抱負”を書き初めするという習慣があるんですが、オリヴァーが書き初めをするとしたらどんな一言を書きますか?
OS (大興奮しながら)それは面白いなぁ! 今回の取材で一番ホットな質問だよ! うーん、一言か……「creativity(クリエイティビティ)」かな。
来年もツアーをたくさん控えているんだけれど、ツアー中って何度も同じことを繰り返す作業であんまり作品を作れないというか、クリエイティブになれない環境だったりするんだよね。そういう環境でも、クリエイティビティを持つことができればすごくいい状態になると思うから来年は頑張りたいと思っているよ。
「知性とユーモアがあり、美学と愛がある。 それを伝える言葉を持っていて、表現するこころを持っている。 取材続きで疲れているはずなのに、だれもに等しく優しい笑顔を向けてサービス精神を忘れない。ちょっと褒めすぎなようだけれど、贔屓目抜きに、これがオリヴァーの印象のすべて。
ツアーの必需品は、『ふたりの親友』。
あくまでナチュラルにそう答えた彼の言葉が、The xxというバンドの奇跡的なバランスの尊さを物語っているようだった。“来年また日本に来る”という言葉も聞けたことだし、2017年も彼らから目が離せそうにないですね」
(菅野結以)
The xx
『I See You/アイ・シー・ユー』
(Young Turks / Beat Records)
2017.1.13 Release
前作から約4年間、ファンも首を長くして待っていたThe xxのニューアルバムが2017年にいよいよ到着。サードアルバムは、過去2作の内省的でミニマムなサウンドに、ハウスミュージックなどの要素がクロスオーバーし、よりオープンかつポップに開けたサウンドに仕上がっている。
Interviewer:菅野結以 / Yui Kanno
Photographer : 古渓一道 / Kazumichi Kokei