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気配を感じる

2018.06.12 07:00

Facebook・竹元 久了さん投稿記事 人間の不思議能力「気配」の正体

人が近づいてくると たとえそれが見えず足音や息づかいが聞こえなくても気配を感じるということは、誰しも一度は経験したことがあるように思います。

また、この感覚は人間より一部の動物の方が敏感で イヌは飼い主を何百メートルも離れた場所で察知してしっぽを振ることがあるのだそうです。

人の発する気配の正体は何なのでしょうか?

東京大学生産技術研究所の滝口清昭特任准教授は 人体の周囲を包むように存在する弱い電界(電気力の働く空間)が関係していると考える。これは生体電位と言われる体内の電気的な状態から生じるもので 準電界と呼ばれる。

 《人間を含め生物の体はこうした電界に包まれたアンテナのようなもの》(滝口氏)。準電界の状態は人間が体を動かすと変化する。歩く場合には足の裏の接地面積が変化したり 地面との間で電荷のやりとりが起こったりすることで電界の状態が変わる。

 こうした変化が数m離れた場所にいる別の人間の生体電位に影響を与えることを 滝口氏らは実験で確認している。人体を包む準電界は個人ごとにパターンが異なる。この違いをイヌは鋭く感じ取って 飼い主を認識している可能性がある。

 一方 広林茂樹富山大学教授らは 人間の歩行による電界の変化がどう伝わるかを植物を使って調べている。植物にも生体電位があり 外からの刺激によって変動することが知られている。葉などに電極を付けて測ることができる。

 広林教授らは ゴムの木の生体電位を計測しながら 60cm離れたところで足踏みをする実験をした。すると足踏みのピッチに合致した生体電位の波形をゴムの木から検出した。波形のパターンは足踏みをした人によって異なっていた。

 人の気配が生体電位によって発せられているとして イヌや植物のようにこれを察知する能力は 人間の場合はどこにあるのだろうか。

 滝口氏はそうした未知のセンサー役の候補として 体毛と内耳の二つをあげる。皮膚にある細かい産毛のような体毛の先端は小さな電気刺激に対してもきわめて敏感で ぞくっとするような感覚を引き起こす。物音や空気の動きよりも先に この刺激を感じることもあり得る。

 内耳は《内部にある有毛細胞が振動することによって 電気的な成分が増幅されている可能性がある》(滝口氏)という。五感を超えた感覚に少しづつ科学のメスが入れられようとしている。

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人間に限らず生物は全て微弱な電気を発生させています。歩く場合には足の裏の接地面積が変化したり、地面との間で電荷のやりとりが起こったりすることで電界の状態が変わり、数m離れた場所にいる別の人間の生体電位に影響を与えることで「気配」として察知されるようです。

もし相手の電圧の変化が自然と自分にも伝わっているとしたら、また自分の電圧の変化が相手にも伝わっているとしたら。。。

飛躍のしすぎかもしれませんが、人間の脳にしても神経にしても、その活動には基本的には電圧の変化がからんでおり、そんな変化も自然と伝え合っているとしたら、目には見えないけれどいろいろなコミュニケーションが人と人との間、人と物との間で行われている可能性はありえるのではないかと思います。

よく始原人類やシャーマン,先住民族などは、自然から声を聞いたり、仲間や宇宙との一体感を感じる,離れた距離の仲間との交信を行っていた等いわれることがあります。

もしかするとこれは極限の外圧状況の中で、わずかな外圧の変化,仲間の状態の変化を感知する必要性から発達した感覚機能の一種だったのではないでしょうか。

微弱電流に感応する能力が現代人よりもはるかに鋭敏だった可能性は十分にありえますし、第三の目といわれる松果体との関連もあるように思います。


http://touch100.org/book/201608/contents3.html  【 人には聞けない 耳で感じる気配のヒミツ】より

私たちは、「気配」をどのように感じているのか?本特集では、その音の認知との関係をコミュニケーション科学研究所人間情報研究部 古川茂人主幹研究員にお聞きしました。

Q. 気配とは何でしょうか?

A. エコーロケーションといいますが、目の見えない方は、舌を鳴らして音の反射で距離を測ったり、音の感覚が物体の存在を知る上で重要な役割を果たしています。人によっては、その反射した素材までわかるといい、これまでメディアが大きく取り上げることもありました。このような目の見えない人の特殊感覚といわないまでも、人間は誰でも、環境を“なんとなく”把握する能力があると思います。

私は、音源定位という、音がどこからきたかを人間がどうやってわかるのか、その認知メカニズムの研究をしていました。ですが、自ら音を発しない物体であっても、人間はその存在を感じているのではないかと考えるようになりました。盲人の例のように、別の音源からの音の反射音によって、反射した物体の存在を知ることがあるでしょう。さらに、ざわざわと環境音が鳴っているところに、あるところだけ音がフッと消えることも、物体の存在を示すかもしれません。環境には、いつも何か音が鳴っていますし、そのものが音を発していなくても、それが音を遮蔽して、音が聞こえなくなることが、人間にとっては物が存在していることを意味しているのだと思います。

たとえば、広い場所の真ん中に、目隠しして人に立ってもらって、あちこちからノイズ音を出します。そして、その人の周りで実際に物体を動かすということをやったことがあります(右上の写真では大きな円盤)。真ん中に立って被験者をやると、そんなにビビッドな感覚ではないのですが、何か物があることは “モワっと” 感じるんです。これは、遠くで空調が鳴ってるくらいの、かなり静かな部屋でやっても感じるんですよね。モワッと。

Q. なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

A. おもしろい体験をしたことがあります。音をヘッドフォンで聞きながら、ステレオの(マイクが2つ付いた)ビデオカメラで子どもを撮影していたのですが、ビデオカメラを間違えて横に置くと、収録した音を聞いたとき耳がモワっとするんですよ。カメラを横に置くと、片方のマイクに音が入らなくなるんですね。普段、両耳に入ってくる音のレベルってすごく近い値をとるんですよ。それが、左右の耳に極端な差ができたときに、音が入らない方向にモワっと感じたのです。片方の耳だけ聞こえないということが、何かの気配の原因になっているような。一方、人の声を片方の耳だけレベルを上げて聞くと、耳元でささやかれるって感じが強くなります。もちろん、音自体がささやき声っぽいからそう感じるということもありますが、左右の耳のレベルの差が重要な役割を担っていると考えられます。

1mより遠い音源については、左右の耳に届く音のレベルにはあまり差がなく、あまり距離感を感じにくいのですが、1mより近くなってくると、特に横からくる音については左右の耳にレベルの差が極端に生じて、距離を感じられるようになります。この場合は、ノイズの中で片方の耳だけ聞こえないから近くに何かがあるとか、片方の耳しか声が聞こえないから人が近くでささやいたとか、解釈されるんでしょうね。

昔は、音の情報自体がどういう風に、どれだけの精度で、脳内で伝達されているかということを研究テーマにしていたんですけど、感覚の情報量だけだったら、脳の処理が進むにつれてどんどん劣化していくじゃないですか。でも私たちは、物の存在とか質的なものを感じているわけで、いま私は、脳がどうやってそういうものを作り出しているのか、そのメカニズムを理解したいと思っています。それで、気配というのはそれを調べるためのひとつの糸口なんじゃないかなと思います。