中国、新型コロナがもたらした社会変革
黄 文葦
時間を18年前に遡って、2003年のSARSの頃、中国人の生活や仕事の在り方は大きく変わり始めた。現在、最もよく知られているネットショップのタオバオは、2003年に設立された。感染病の感染拡大により、ほとんどの人が家から出るのを恐れたため、ジャック・マー氏はショッピングの新しい需要を見出し、ネットのタオバオモール(淘宝)を作った。
2020年から、新型コロナが襲来。人々は家に閉じこもっていて、必要な時以外は外に出ようとしない。そのため、モールや小売店などの実店舗全体が大きな損失を被り、中国の感染拡大時期に、ほとんど誰も利用しなくなった。代わりに、街中では宅配便やデリバリーボーイの姿をよく見かける。
というわけで、大きな社会的事件が発生するたびに、何かが変わる。その期間には、何人もの人が倒れ、もちろん何人もの人が立ち上がる。 これは、社会発展の法則であるかもしれない。すべての変化は、ルールを変えるチャンスであり、ルールに固執し、変化しない人は、いずれ社会からフェーズアウトされる。この世界では、変わらないものは「変化」だけだ。
新型コロナがもたらした社会変革はすでに中国社会に深い影響を与えている。
◎オンラインという生き方が浸透しつつある オンラインの観念は、人々が持っていた伝統的な習慣の一部に取って代わるだろう。ほとんどの人がすでにオンラインショッピングを経験しているにもかかわらず、実に多くの農村地域の人々にとってオンラインショッピングの習慣はまだ形成されていないが、コロナの後、この新たな習慣の深化が進むと予測される。実店舗の機能がさらに縮小し、ネットショップが拡大し続けている。
ネット上、中国人の日本商品を爆買いが続けている。外国からネットで買い物する「越境EC」で、日本は中国人にとって最大の購入先。旺盛な需要で航空貨物が急増しており、旅客機を貨物臨時便になる。 オンライン教育が従来の教育モデルをさらに置き換える。遠隔教育は長年にわたって発展してきており、さまざまな教育機関がオンライントレーニングモデルを本格的に展開してきたのが、対面式の家庭教師のような教育形態を代替することはできなかった。
コロナの後、オンラインが一気に加速した。また、オンラインクリニックやオンライン自動車保険などは、必要としている人々を助けている。 新型コロナ時代、人々がオンライン形式で学習やトレーニングの形に慣れてきている。これにより、人的・物的コストを大幅に削減できるだけでなく、地理的・客観的環境の制約を打ち破ることができる。
テレワークが急速に拡大している。ほとんどの企業、特に実体経済の一部に大きな影響を与え、致命的なダメージを与えている。多くの人が家から出られない状況の中で、多くの企業が、携帯電話やパソコンを使って自宅で適切な仕事をこなすオンラインオフィスモデルを採用している。
◎政府の効率的な管理が求められる 政府による、より効率的な管理と都市統治ができている。新型コロナの発生源は、武漢の海鮮市場だとみられる。感染拡大という社会的事件の原因は、単純に政府の管理不行き届きによるものだと思われる。コロナが発生後、当地政府はタイムリーに地域社会に開示しなかったため、その後の一連の連鎖反応を引き起こした。その後、政府はより効率的に都市ガバナンスの取り組みに高い優先順位をつけ始めている。 昨年から、中国の官僚に対しての「コロナ処分」、「コロナ免職」がしばしば生じている。一つの地域で感染者が出てきたら、行政トップが責任を取らなければならない。
◎ビッグデータの価値が証明された ビッグデータという言葉が使われるようになって久しいのが、一般の方にはよくわからないのではないだろうか? 新型コロナの後、携帯電話事業者や公共交通機関などから提供されたビッグデータは、新型コロナの予防と制御に重要な役割を果たした。もちろん、その背景には人工知能の力をも発揮させられている。 突然の出来事に直面して、ビッグデータはその価値が証明された。そのため、新型コロナのビッグデータや人工知能技術を活用したスマートシティの構築が、次の方向性として求められている。
◎無人化機器が大量に導入された スマートデバイス、無人化機器が大量に導入された。伝染病予防と制御の鍵は、人との接触を避けることであるため、新型コロナ時期、インテリジェントなデバイスだけでなく、無人のデバイスも数多く導入されている。 住宅コミュニティの入退室管理には体温を自動監視する機能があり、政府機関では、大量の人が集まる場所を避けるためのパトロールにドローンを導入している。 企業は生産や仕事にスマートデバイスを利用している。新型コロナが終わっても、導入された機器は様々な仕事で活躍してくれることだ。
5GネットワークとVR技術(Virtual Reality バーチャルリアリティ)が進化し続けることで、高速ネットワークと没入型エンターテインメントは、すべての人に新しいインタラクティブ・エンターテインメントの方法をもたらす。 民衆に、完全にネットワークに接続された暮らしを奨励するものではないが、オンラインの社会的・娯楽的な生活とオフラインの現実的な生活は、仕事や余暇生活を形成するために、よりよく組み合わされる。 病院を直接訪れることによるクロスコンタミネーションへの懸念から、多くの患者がオンラインでの診察、オンラインでの医薬品購入、遠隔診断を試している。
◎民衆の日常が変化しつつある 2003年に発生したSARSでは、手洗いとマスクの着用の重要性を教えてくれたが、今回のコロナは、すべての人にとって健康的なライフスタイルを学ぶ機会となる。 消毒液、ハンドソープ、消毒用ティッシュ、マスクなどは家庭の必須アイテムとなっており、特定の衛生用品を備蓄することが習慣になっているほどだ。また、最も重要なのは、大勢の人には外出時にマスクをつけることが習慣になっている。
中国での初期の新型コロナの感染態勢は、中国が急速な都市化の中で大量の人口が集中していることから生じる医療のニーズに対して、まだ準備が整っていないことを示しており、医療インフラの分野への投資や医療システムの近代化が加速する可能性がある。
民衆の中での大きな変化は、中国人は大勢で大きなテーブルを囲んで食事をしていたが、新型コロナの後は一緒に食事をする人が少なくなった。一人で食べることの方が多くなった。