アートを通して茨木の街を歩く!茨木市内のアートプロジェクト紹介
まえがき
いらっしゃいませ〜!!
チーム『飴よりガム派』です!
今回、茨木市の良さを皆さんに伝えるにあたって我々が目を向けたのは、市の振興を目的としたアートのプロジェクトです!
茨木市の紹介をするのになぜにアート?と思われたかもしれません。
が、意外にも同市は、これまでに美術展や写真展、参加型ワークショップや不定期に開催されているストリートアートのイベントであったりと、市を盛り上げるためにアートを積極的に取り入れている街だったりするのです...!
茨木の街を歩く際、周りに少し意識を向けてみれば、その痕跡が至る所で見つかるかもしれませんよ...?
このブログでは、同市が進めている複数のアートのプロジェクトの内、特に力を入れて進めている(っぽい)2つのプロジェクト、その名も「SOU」と「HUB-IBARAKI ART PROJECT」を紹介していきます!
「SOU」
最初に紹介するのは、JR総持寺駅の改札前の壁面を広々と活用したプリントアートプロジェクト、「SOU」です!
「生活の中でアートに出会う環境をつくり、アートを知るきっかけの場に」という想いから立ち上がったこちらのプロジェクト、2018年3月のJR総持寺駅開業と同時に第1回の展示が始まり、半年周期で作品が入れ替えられていて、2021年6月現在は第7回目の作品が展示されています!
絵画や写真、現代アートや児童画...と、展示されているアートのジャンルは多岐に渡り、各回ごとに定められたテーマに沿った作品が選ばれているようです..!
画像のように、展示アートと一緒にその回のテーマと作品の紹介や、それぞれの作品に込められた思いが綴られたものも一緒に展示されているので、作品をより深く楽しむことができますね!
...折角手元に撮ってきた写真があるので、今展示されている第7回のものを少し紹介していきますね!
第7回のテーマは「Days are woven(織りなす日々)」というものです。「人生は、日々の積み重なりから成る」ということを考えれば、そんなそれぞれの日々の一断面には等しく価値があるのでは、という問いが込められており、またその中で選ばれたこれら4作品は、作者の目線からその問いを作品として表現することで、我々観る者にも同様の問いを想起させようとしている...とも感じることができます。
鷲尾 和彦 「Station」
例えば、オーストリアのとある駅で撮影されたこの1枚の写真。これを総持寺という異国の駅の中におくことで、電車を待つ彼らと同じく電車を待つ我々、一体何が違っていて何が同じなのだろうと、観る者に考えさせているように感じます。
井上 有美子 「金の糸をつむぐ部屋」
こちらの絵は、全て糸によって描かれたものだそうです。
...が、同じ糸とはいえ、刺し方の工夫により、それぞれが混じることもなく、1つのアートを生み出しています。
作品紹介の言葉を借りると「それは時と時が混ざることがないのと同じように」とされていますが、同時に、1つとして同じものとして埋もれてしまうことのない、我々の日々にもよく似ていると思いませんか?
岡本 由加 「かぼちゃ」
描かれているのは黒一色のかぼちゃ、それ自体に何かメッセージを見出そうとするのは少し無理があるようにも感じてしまいます。
...ですが、何度も塗り重ねられているその黒色は、とても力強く、表現豊かに感じます。
同じ色でも、使い方次第で如何様にも変わる表現力は、先程の混じることのない糸同様、我々の一見して変わらないように見える日常に通ずるものがありそうです。
大八木 夏生 「新開地を繋ぎ止めて #3」
なんら規則性があるわけでもなく、観る者を不安にさせるような絵、のように感じられます。
しかし、作品紹介の「日常の中に潜む『的を得ないもの』を『得よう』と専心している」という言葉を借りれば、この作品の捉え方は大きく変わるのではないでしょうか...。
言語化できない、形のない漠然とした感情が起こした行動によって日常が少し変化した、という感覚には覚えがあります。
捉え方は観る者次第で変わりますが、いずれにしても『的を得ないもの』と我々の生活との間には、切っても切れない縁があるように思いませんか?
...と、第7回の展示作品について所感込みで紹介してきましたが、これらは2021年の9月までは同様に展示されている、とのことなので、実際に自分の目で観て作品の思惑を感じたい方は、ぜひ道すがら立ち止まって観てみてください〜!
それから、9月から10月の間には新たに第8回の展示も始まるはずなので、下記の公式ホームページも要チェックです!
SOU公式ホームページ
JR総持寺駅
「HUB-IBARAKI ART PROJECT」
続いて紹介するのは、2008年より2度のリニューアルを得て生まれ変わった、「継続的なアート事業によるまちづくり」をテーマに掲げるアートプロジェクト、「HUB-IBARAKI ART PROJECT」です!
1年につき作家1名を選出し、その年の専任作家として市内各所で独自のアートを展開していくものであり、展開されるアートは絵や彫刻には限りません..!
例えば今年、2021年の専任作家に選ばれた黒田 健太 氏は、ダンサーとして活躍されている方で、アートの内容も、「彼の身体表現を介して、茨木市内のストリートで活動している様々な表現に触れていく」ことを目的としたダンスパフォーマンスです。
このように、年によっては形として残されるアートを扱わない場合もあり、今、実際に訪れて楽しめる作品というのは非常に限られてしまいます...。
不定期に開催されるイベントであったり、展示期間が限られているものも多いため、HUB-IBARAKIの公式サイトは随時チェックしておきましょう!
以下では、HUB-IBARAKIとしては珍しく(?)現在にも続いて観にいくことが叶う、2017年のアート作品と、HUB-IBARAKIのルーツでもある彫刻の1つを写真に収めてきたのでそれぞれ軽く軽く紹介していきます!
中島 麦 「WM」
2017年の選定作家である中島 麦 氏は、これまでのHUB-IBARAKIの作品の殆どがイベント終了後に撤去されていたことに対し、環境を含めて存在し続け、かつ地元だからこそできる作品の制作方法を実践したいと考え、市内の複数の施設の壁面や備品に直接ペイントを施したり、絵画を展示するといった形で多くの作品を作り上げました。
タイトルの「WM」の読み方は「ウム」であり、有る無しの有無から想起したと、氏は語っています。
まだら模様になるようにペンキを振りかける、といったような特徴的なペイント手法を用いて描かれており、見つめているとなんだか吸い込まれてしまうような感覚に襲われます...。
壁面や備品といった、そうそうなくなるものではないモノに描くことにより、その作品が痕跡として街に残り続ける、ということ。そして、その作品にまつわる「記憶」や「想い」を後に繋げていくことで、まちや人々の生活に新しい景色が見られるだろう、という思いが「WM」には込められています。
そんな「WM」の特徴的な制作過程の映像が、HUB-IBARAKIのホームページにて公開されています。必見です!
その上でさらに興味が湧いたのならば、各施設を巡って作品の痕跡を探しに行く、というのも面白いかもしれませんね..!
「WM」作品展示施設
ヤノベケンジ 「サン・チャイルド」
そしてこちらが、今回最後に紹介することとなった彫刻作品、阪急南茨木駅のすぐ近くに設置されている、ヤノベケンジ氏の「サン・チャイルド」です..!
そも、HUB-IBARAKI ART PROJECTは、元を辿れば、2008年度に始まった「茨木市彫刻設置事業」をルーツとして生まれたプロジェクトです。
当初は、茨木市にゆかりのある現代美術家の彫刻作品を市内の野外に恒久設置する、というプロジェクトであったものが、2013年度に「HUB-IBARAKI ART COMPETITION」という、現在の作家公募と一定期間の展示の形式にリニューアルし、その後、2015〜16年度からは名称を現在の「HUB-IBARAKI ART PROJECT」に改め、選定作家を1名に絞り、さらに積極的な企画を展開するようになったことで今に至ります。
「サン・チャイルド」は、茨木市彫刻設置事業の一環として設置された彫刻作品というわけですね。
作者のヤノベケンジ氏は、ディストピア的な世界に向かいつつある日本や、あるいは世界の状況を、一昔前のおもちゃのような可愛らしい造形で表現することで有名な、現代美術家の方です。
この作品は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被害から復興する人々に対し、希望を与えるモニュメントとして2012年の同日に設置されたものです。
この少年は黄色い放射線防護服に身を包み、しかし同時に、右手には希望の象徴である太陽を、左手には防護服など身に付けなくてもいい未来を表すかのように、脱いだ防護マスクを抱えています。
傷ついた人々に、明るい未来を見据える活力を与えたいという、作者の願いが感じられますね...!
サン・チャイルド
HUB-IBARAKI ART PROJECT公式ホームページ
あとがき
いかがでしたでしょうか...?
茨木の街はアートを通して今後も発展し続けていく、多くの人のそんな願いが垣間見えたのではないでしょうか?
ここで紹介したプロジェクトの他にも、紹介できなかったアートにまつわる取り組みが茨木にはいくつも存在しています。
そんな茨木のアートに少しでも興味を持っていただけたのなら、ネットを活用してそれらに触れてみたり、実際に訪れて自分の目で観て感じてみたりするのはいかがでしょう...?
観る者によって全く違った感想が生まれえるものがアートですから、きっと皆さんにとって新しい発見がある筈です!!
最後まで読んでくださってありがとうございます。『飴よりガム派』でした。